廊下を走るのはロボット掃除機!変わる学校の掃除

NHK
2024年2月6日 午後5:13 公開

廊下を走るロボット掃除機…ここはオフィスではありません。実は中学校の廊下です。

ほうきとちりとりでゴミを集め、雑巾で床を磨く…。多くの人が経験してきた「学校の掃除」。こうした昔ながらの掃除は海外でも注目される一方、最新の技術を取り入れる動きも出てきています。

(NHK長野放送局 浅野怜央カメラマン おはよう日本 佐々真梨恵記者)

学校掃除にも最新技術

全校生徒100人あまりの岐阜県美濃市の昭和中学校で、放課後、廊下を掃除するのは3台の「ロボット掃除機」です。

少ない人数で、3階建ての校舎を隅々まで掃除するのが負担となっていた中学校では、毎日行っていた掃除を、おととしから週3日に減らしました。1回の掃除に集中してもらうことや、生徒や教員の負担軽減などにつなげるためです。そして、掃除をしない残りの2日、生徒側からの提案でロボット掃除機を使うことにしたのです。

最新技術の導入は、生徒たちにも好評です。

(掃除の時間が短くなることによって)委員会の時間が伸びてより話し合いができたり、勉強する時間も増えるので生徒にとってメリットは大きいと思います

ボタン1つで廊下を掃除できて、朝学校に来る時には充電されているので、すごく効率がいいなと感じています

青山智彦校長も、導入のメリットは大きいと言います。

珍しい光景ですが、いい手段だなと感じました。1回の掃除を大事にしてほしいという願いがあったので、時間を有効に使うことも含めていい取り組みになったと感じています

起源は室町時代

そもそも、なぜ学校で子どもたちが掃除をするのか、学校の掃除に詳しい大東文化大学の山本宏樹准教授は、起源は室町時代にまで遡ると言います。

大東文化大学文学部教育学科 山本宏樹准教授

当時の学校であるところのお寺で、お坊さんたちが修行の一環として掃除を大事にしていた。それが江戸時代に寺子屋にも引き継がれ、さらに明治期に学校が全国津々浦々にできた際にそこでも引き継がれた。“心を磨いていく”という教育の風習につながっている

こうした“心磨き”の効果は、海外からも注目を集めています。社会性や協調性を養えるとして、エジプトやシンガポールなどでは“日本式”の掃除を取り入れた学校もあります。

長野の伝統“無言清掃”

さらに長野県では、一風変わった掃除も取り入れられています。それが“無言清掃”。

長野市内の豊野中学校では、放課後のおよそ15分の清掃中、生徒たちの会話はなく、校内は静まり返ります。反省会まで、一切言葉を発してはいけないルールです。

中村明史 教諭

掃除を一生懸命やることで自然と無言になるというのが自分たちの目指している姿。掃除を通じて人間性を高める、人間磨き、心磨きみたいな部分も大事にできたらと思っています

長野県内の学校数が多い長野市、松本市、上田市、飯田市の4自治体の公立中学校を取材すると、7割以上の中学校が「無言清掃」を取り入れていることが分かりました。

なぜ長野県で「無言清掃」が広まったのか。山本准教授はその背景に“1970年代の荒れる学校”の立て直しがあったといいます。

中学生の非行が社会問題になっていた時期、県内の著名な教員が目をつけたのは福井県・永平寺で修行で行われていた無言清掃でした。これを長野県に持ち帰り、数年で荒れていた学校を立て直したことから注目を集め、その後、多くの学校が取り入れて県内に広まったのではないかといいます。

大東文化大学文学部教育学科 山本宏樹准教授

もともと長野は教育に熱心な土地柄だ。教員組織もしっかりしていて、誰かが考えた教育方法をみんなで一緒に実践してみようという風土があった。だから長野の中で広まりやすかったのではないか

掃除のあり方 対話や創意工夫で

最新技術の導入や地域に根差した昔ながらの手法など、さまざまな特色のある学校の掃除。今後のあり方について山本准教授は、そもそも学校の掃除の目的は教育であるべきだと明確に位置づけた上で、次のように述べていました。