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高速道路のトンネルの非常口の先は?おはよう調査班が行って調べました

NHK
2021年7月7日 午前11:11 公開

高速道路を走行中、必ず目にする「非常口」。
実際に使ったという人もあまり聞いたことがありません。
でも、たまたま高速道路を走っていて災害や事故に遭遇したら非常口を使う必要があります。
あの扉の先がどうなっているのか、あらかじめ知っておいた方がよいと思います。

今回、「おはよう調査班」に疑問を寄せてくれたのは、なんと、小学6年生の男の子です。
調査開始をご報告すると、お父様から返信がありました。

「息子はもちろん、家族、親族全員、本当に楽しみにしております!」

プレッシャーがかかります…期待にこたえることができるのか、調査報告です!!

深夜の調査 大都会のトンネル

夜11時。
調査班が訪ねたのは首都高速道路にある山手トンネルです。
1日およそ100万台もの車が通る大動脈、災害や事故が起きれば多くの人が使う非常口です。遅い時間に調査を設定したのは、この時間に行われるトンネルの設備点検に合わせたからです。
案内してもらったのは、2つの路線が合流する大橋ジャンクションです。
都会のど真ん中にあり、深さは地表からおよそ35メートルもあります。
高速道路の中のトンネルを歩いたことがある人はあまりいないと思いますが、どんな感じだと思いますか?
調査班のメンバーが驚いたのは、暑いことでした。取材したのは5月中旬。
都内のこの日の気温は14度でしたがトンネルの中は少し歩くだけで額に汗がにじむほどでした。

おはよう調査班 信号機の設置基準とは?

都内の高速道路を管理している「首都高速道路」の担当者が非常口まで案内してくれました。
いよいよ非常口を開けます。いったい何があるのか?

私たちの目に飛び込んできたのは「らせん階段」。許可をもらって、調査班のメンバーが登りました。
登っても登っても階段。日ごろの運動不足がたたって息があがります。
ビル7階分ほどの階段を登ってようやく出口に到着しました。
大きな扉があります。
レバーを操作するとドアが開き、ちょっとした「秘密基地」の雰囲気を味わいました。
扉の先にあったのは驚きの光景でした。(下の写真)

ふだん、私たちが歩いている歩道の脇に出たのです。
長い地下階段で高速道路のトンネルにつながっているとは、この目で見ない限りちょっと信じられません。

交通量が多く、避難時には大勢の人が利用する非常口なので「トンネルの外と直結」する避難経路が採用されたと言います。こうした非常口が、もし自分がよく歩いている場所にあったら驚きますよね。

一般的なトンネルは反対車線に

交通量が多い都市部のトンネルは外と直結する避難経路ですが、数が多いのは別のタイプです。
非常口から避難通路を経由して出ると…そこは、やはりトンネル。
非常口の先は反対車線のトンネルでした。

非常時には反対車線の車の通行を止め、避難路として活用するのです。
避難のためのトンネルや通路、出口が最小限で済むため、もっとも数が多いのはこのタイプだということです。

海底トンネルからの大脱出

では、ここで応用問題。海底の高速道路の非常口はどうなっているんでしょう。
やってきたのは、東京湾アクアライン。
海に浮かぶパーキングエリア「海ほたる」でおなじみです。

全長15キロあまりの東京湾アクアラインの半分以上はトンネルです。
地上とトンネルの間を隔てるのは海水。トンネルを脱出できても溺れてしまっては意味がありません。
実際にトンネル内の非常口から、海底からの脱出を模擬体験してみました。

非常口をあけてみると、意外なものがありました。滑り台です。
海底トンネルの避難経路は、海面に向かって上に向かうのではなく、下に向かっていました。

滑り台の先はどうなっているのか。
下の断面図をご覧ください。

海底で安全が確保されているのはトンネルの中だけ。だから、避難経路もトンネルの中にあるのです。
車が通行する面より、下に避難用の通路が作られています。
「滑り台」が採用されたのは、階段だと踏み外したり、後ろから押されて将棋倒しになったりする危険があるからだということでした。

173台の車が燃えた事故が安全対策のきっかけに

災害や事故の時の脱出ルートの整備が進んだ背景には、過去の大事故があったと言います。
トンネル工学が専門の東京都立大学の砂金伸治教授が教えてくれました。
1979年、日本坂トンネル(静岡県)で追突事故から火災が発生しました。東名高速道路で最も長いトンネルで起きたこの事故で、173台の車が燃え、7人が亡くなりました。この事故をきっかけに、トンネルに非常口など避難経路をつくる基準が設けられたのです。

教訓を活かし作られた「関越トンネル」緊急車両も駆けつけ可能!

こうした基準のもと初めて作られたのが群馬県と新潟県を結ぶ全長約11キロの「関越トンネル」でした。

関越トンネルの避難通路は、これまでご紹介したどのタイプとも違います。
ふだんの通行には使わない、避難用のトンネルがあるのです。下の写真で、上り線と下り線の間にある小さなトンネルがそれです。

実は建設時、地質調査などに使われていたトンネルを避難通路として流用したのです。
上り線からも下り線からも避難できるように、30以上の非常口でつながっています。
怪我人や高齢者など脱出が困難な人のために緊急車両が通れる道幅になっています。
ふだんも設備点検のために活用されていて、作業車などが通行しているとのことでした。

万が一、トンネル内で交通事故に遭遇したら・・・

高速道路の非常口について調べれば調べるほど、事故が起きた時、速やかに避難することの大切さを実感します。
先ほど、ご登場いただいたトンネル工学の専門家・東京都立大学の砂金伸治教授に大切なポイントを教わりました。

東京都立大学 砂金伸治教授 「トンネルに入って渋滞で身動きができなくなり、異変を感じたときはカーラジオなどで情報を入手し、すみやかな避難を考えてほしい」

今回の調査結果に依頼人は?

街中に、海に、山に、さらに40年以上前の事故の歴史にまでさかのぼった今回の調査。
依頼人は納得してくれたのでしょうか?
放送後、依頼人の小学6年生の男の子のお父様からメールをいただきました。

「放送拝見しました。息子も、トンネルの中に様々な仕掛けがあって、一言で非常口と言っても、あんなにいろんな仕様があることには驚いており、日本各地もさることながら、世界のトンネルの非常口に興味が出てきたそうで、色々調べてみたいと申しておりました」

なんと世界にまで興味が広がったようです。
世界のトンネルのユニークな工夫がわかったらぜひ、教えてください。

ちなみに、日本ではトンネルの避難通路の見学会が一部の高速道路会社で行われています。
各高速道路会社のホームページで調べてみて下さい。

最後に、調査班へのユニークな依頼を引き続きお待ちしています。

(おはよう日本 アナウンサー 黒田信哉)
(おはよう日本 ディレクター 河野公平)

【2021年5月22日放送】

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