香取慎吾さんの新境地! 軍人“山本五十六”に挑む 特集ドラマ撮影秘話も

NHK
2021年12月28日 午後6:51 公開

年末にNHKが放送する太平洋戦争80年・特集ドラマ「倫敦ノ山本五十六」。
香取慎吾さんが演じるのは海軍軍人・山本五十六。
太平洋戦争のきっかけとなる「真珠湾攻撃」作戦を立案した人物として国内外に知られる、開戦のカギとなる人物です。
頭を丸刈りにして撮影に臨んだ香取さんに、新たな境地に挑戦した思いを聞きました。

(インタビュー:桑子真帆アナウンサー / 取材:三木謙将ディレクター)

ドラマの見どころは “ギャップ萌え”(?)

桑子「きょうはありがとうございます」

香取「ありがとうございます」

桑子「髪が短いと印象が全然違いますね」

香取「そうですか?すっきりしました。撮影時は6ミリでした」

桑子「今回、“慎吾ちゃん” というイメージとかけ離れた役ですよね」

香取「“ギャップ萌え” 的な。あはははは(笑)。やっぱりいろんな自分になれたり、いろんな面が見えたりする人って僕自身が好きで、魅力を感じるので。だからそういう顔になったら、応援してくれる皆さんが喜んでくれるかなあって」

桑子「確かに今までには見られなかった香取さんの一面っていうのを見られた気はしました」

香取「17年ぶりなんですけど、NHKのドラマに出演させていただくのが。やっぱり、(17年前に主演した)大河ドラマ「新選組!」は人生でも、とっても大きいもので。あのとき、20代で近藤勇(役)をやらせていただいたっていうのが、今回の山本五十六役にもつながっているというか」

桑子「違う時代だし、人物も違いますけど」

香取「(山本五十六は)それこそ、“香取慎吾”の中にはないもので・・・。どこかにあるかな、自分の引き出しの中に・・・。(これまで)香取慎吾が経験した役とか、引き出しがいっぱいあるんですね。その中のどこかっていったときに、やっぱりなんとなく、大河ドラマ「新選組!」近藤勇だった。大勢の人間を従えて、まっすぐな思いでとか、どこか(山本五十六に)通ずるものはあったかもしれない。あの頃はまだ、自分の年齢も含めて、経験が浅い部分が、17年間の中で溜まった新たな経験値もあったりして、クリアできた感じですかね」

桑子「ドラマのオファーが来たとき、どう感じられましたか?

香取「個人的に偶然が重なってというか」

桑子「偶然?」

香取「僕、いろんなことやらせてもらっていて、歌をうたったり、バラエティの番組だったり、絵を描いたり。いろんなことをしているなかでも、お芝居っていうのがちょっと苦手な分野で・・・緊張するし・・・」

桑子「そうですか?」

香取「はい。というのもなんですけど、今まであまり経験していない感じに、1つの役に対して、例えば髪を全部切ってとか、そのぐらいの役というのもやってみたいなあって。以前だと、いろんなレギュラー番組がいっぱいあってとかだと、なかなかできない部分もあったりとかして」

桑子「そうですよね」

香取「今だったら少し時間にゆとりもあったりして、1つのお仕事に対して、ぐっと集中できる時間もできているので、もしそういう役があったらなあ、なんて話をした数週間後にこの話が来て・・・」

桑子「そうだったんですか。偶然に偶然が重なった?」

香取「偶然の偶然で、本当にびっくりです」

桑子「へえー」

香取「ちょっとその、ドッキリじゃないかって。あまりにもタイミングが良すぎて。それでもう、まずそっちの偶然に驚いての、もう是非やらせていただきたいですってお答えして、すぐに、この役の重みがその後に・・・大変な役を引き受けてしまったなあと。そこからぐわーっと、のしかかってきた感じですね」

山本五十六の “葛藤” を演じる難しさ

ドラマが描くのは戦争へと突き進む時代の日本。
山本が開戦の7年前にアメリカやイギリスと行っていた軍縮交渉の舞台裏がNHKの独自取材を元に描かれています。

香取さんが演じる上で苦労したのは、海軍という組織のなかで、自分の理想と組織の思惑の狭間で「葛藤」する場面だったといいます。
実は山本はアメリカとの戦争を避けるべきだと考えていました。
しかし、軍備拡大を目指す海軍の上層部に押さえ込まれ、アメリカ・イギリスとの軍縮交渉は決裂。そして日本は軍拡、戦争へと向かっていくのです。

香取「ノーと言えないっていう部分が、こんなになんだっていうのが・・・。どこかノーと言えない時代なんだろうなと感じてはいましたけど。お芝居で今までやったことがない、ノーと言えなくても、心の中にはノーっていうのを表情で少し出したりして、ノーじゃなくて、イエスと答えたりするんですけど。その表情のお芝居がいらないというか。いけないんですよね」

桑子「それすらもいらない?」

香取「(海軍の)上層部の方に、心の表情でさえも、見えちゃいけない。だけどお芝居だとありそうというか。ちょっと、自分の本意と違うんだけど、わかりました、っていうのではダメなんですね」

桑子「難しいですね、芝居だけど芝居じゃないっていう。全てを殺してイエスというっていうことですよね」

香取「そうなんですよ。だけどお芝居なので、心の奥ではそうじゃないっていうのを、(ドラマを)見ている皆さんには見えて欲しいなって思いながらも、目の前にいる上層部の人間には見えちゃいけないんですよね。でもカメラにはお芝居としては映りたい」

桑子「とっても難しい役ですね」

香取「うーん、いろいろそういう難しいところがあったんですけど、今回は監督さんが(雰囲気を)作ってくれて・・・。だから最初は不安やプレッシャーがたくさんあったんですけど、けっこう早い段階で、この人がいれば(大丈夫だなと)」

桑子「何度も撮り直しをさせられたのが、イギリスとの交渉の場面で、淡々と、もっと淡々としてくれっていうふうにお願いされたと」

香取「そうなんですよ。単純に台本のせりふだけ見ると、熱い思いで、強く言いそうなせりふほど、“温度下げて”というか、“冷静に”というか。“僕(山本五十六)は熱くなってない。皆さん(会議に参加している他の人たち)に熱くなってほしいんです”みたいな。そういうせりふ回しは初めてだったなあ」

役を通じて深まった 戦争に対する理解

国民の命や国家を背負って繰り広げられるアメリカ・イギリスとの交渉。
香取さんはこの役を演じたことで戦争への理解が深まったといいます。

香取「ドラマのメインになっている軍縮会議自体がどういったものか、僕は全然知らなかったから。戦争ってもっと抑えきれない気持ちが、ぱーんと破裂したら戦争が起きてっていう(風に思っていたけれど)、それだけじゃなくて、各国、アメリカやイギリス、日本で、集まって何日も会議を開いて、軍というものをどうしようという話し合いがもたれていた。で、その中で、個として気持ちが通じている人もいたり、通じていない人がいたり、でもそれぞれが背負ってきているのはそれぞれの国であったり・・・。

戦争というものに対して、知っている部分もありながら、でも知らないところのほうが多くて。そんな中で、今回のドラマには知らなかったことが、たくさんつまっているから。知るだけでも良いと思うんですよ。あの時代がああでこうで、ということも大事なんだけど、まずはその一歩踏み出すには、とても大きなドラマになっている。このドラマに出会えて、そこを知れた、戦争ってどういうものだったかっていうものを知れたから。一人でも多くの人にも知ってもらいたいですね」

香取慎吾さん 踏み出す新たな境地

バラエティやコメディなど多彩に活躍してきた香取さん。
今回のドラマは俳優・香取慎吾としての大きな一歩だと語りました。

桑子「香取さんって自分の事を紹介する時に今も“慎吾ちゃん”ですか?
それとも次のステージに今いらっしゃるのか」

香取「今回の役をやらせていただいて思ったのは、どこかやっぱり自分も年を重ねてきて、いろんな役の幅が増えたというか。やっぱり人の重ねてきた経験というものが、役にもにじみ出るのかなあと。ずっと「子どもでいたい」と言っているような人だったんですけど、でも「いつかこんな大人になりたいな」というところに今入ってきている感じがして。そうすると今まで出会えなかった役とか、お仕事も含めて、これからもっと出会える気はしています。今回の役はそれの始まりでもあります」

インタビューを終えて

インタビュー会場に香取さんが来た時にスタッフの雰囲気がたちまち和んだことが印象に残っています。とても明るい方で、まさにドラマの山本五十六役との“ギャップ萌え”を私たちも感じました。
今回の役を通じて、新たな境地に踏み出したように見える香取さん。今後の活躍がますます楽しみです。

【2021年12月24日放送】

太平洋戦争80年・特集ドラマ「倫敦ノ山本五十六」
総合 12月30日(木)夜10時~11時13分

番組HPはこちら

【あらすじ】

太平洋戦争が始まる前の1934(昭和9)年、のちに真珠湾攻撃を立案することになる海軍少将・山本五十六は、ロンドンで開かれる軍縮会議予備交渉の首席代表を命じられる。交渉が決裂し、日本が国際社会から孤立すれば、イギリスやアメリカとの溝は深まり、やがて戦争になるかもしれない。アメリカの強大な国力を知り、戦争は避けるべきだと考える山本。軍縮体制から脱退し、軍拡への道を望む軍上層部からは「結論ありき」の交渉を命じられ-。優先すべきは、国民の命か、国家の誇りか。苦悩の末、山本はある秘策に打って出る。