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コロナ禍で注目!“小さな村連合” 

NHK
2021年4月13日 午前11:48 公開

北海道から九州の人口数百人から1000人余の小さな村。島をのぞくと、そのほとんどが周辺の地域で最も人口が少ない村です。この7つの村がタッグを組み、地域の活性化を目指すユニークな取り組みが5年前から行われてきました。その名も小文字で「g7サミット」。小さな村が結束することで発信力を高め、外部の力を借りながら厳しい現状を打開しようというこの取り組み。コロナ禍で、地方での暮らしやビジネスに関心が高まるなか、注目を集めています。

売り上げ好調!7つの村の特産品

去年4月、東京・大田区のJR蒲田駅の駅ビルに、7つの村の商品を販売する店がオープンしました。各地の特産品など、扱っている商品は70種類以上。全国的には、ほとんど知られていない村ばかりですが、売り上げは、当初の2倍以上に増えています。

「今(コロナ)の時期だし行けないけど、こういう所がとっても興味深いですね」

駅ビル運営会社 木下聡さん

「“7つの村”と聞いたときにすごくおもしろいなと、1つ1つ丁寧に仕事をされていて、商品に真心がこもっている」

都市部の企業との連携で活性化!

5年前から毎年開かれてきた「g7サミット」。近年、特に力を入れているのが、都市部の企業などとの連携です。

去年、都内に7つの村の情報をとりまとめる事務局を新たに設置。村の活性化に協力してくれる企業などを募集し、橋渡しをしています。

事務局には、地方でのビジネスを検討している企業などから、問合せが数多く寄せられています。

g7事務局 小村幸司さん

「小さな村を“場”としての魅力としてとらえてもらって、その場を使って何かやりたいという人が現れてくれたら、アイデアはあなたにお任せしますと。それをいかに7つの村でマッチングさせていくか」

7つの村の呼びかけに応えた企業のひとつが、都内で介護事業を手がける会社です。これまで、高齢者向けの体操やヨガなどの動画を制作し、全国の介護施設などに有料でネツト配信する事業を行ってきました。

しかし去年、コロナ禍でデイサービスなどの休止が相次ぎ、契約が減少。新たな事業展開を模索していました。

そこで注目したのが、 7つの村のひとつ、山梨県丹波山村です。人口は540人あまり。その半数近くが高齢者ですが、大きな病院はなく、住民の健康維持が課題となっていました。体操の動画に需要があると見込んだ会社は、丹波山村のために、新たな動画を制作。村のケーブルテレビを利用して、放送することにしました。自宅にいながら気軽にできる健康体操。住民の福祉サービス向上にもつながっています。

住民

「毎日(体操を)やっている。腰が痛いから」

住民

「テレビでこうやって映れば、この方が便利です」

今回の取り組み、企画から放送開始までに要した時間は、わずか2か月。小さな村ならではの「意思決定の早さ」も事業を始める決め手だったといいます。

介護事業会社 小瀧 歩 社長

「担当の課長さんが『わかりました、やってみましょう』と即決していただいたので、そういう意味では大きな市町村ではなくて小さな村だったから良かった」

7つの村の連携が企業参入のメリットに

全国の7つの村が緊密に連携していることも、企業にとって大きなメリットになっています。

3月中旬、健康動画の制作を行っている会社の社長らが訪れていたのは、丹波山村の温泉施設。露天風呂やサウナ、50畳の休憩スペースなどがありますが、新型コロナの影響もあり、利用する人は多くありません。会社では、こうした施設を都市部の企業に利用してもらう「ワーケーション事業」を、全国で展開したいと考えていました。

まずは月1万円の法人会員を募り、丹波山村でサービスを開始。今後は連携するほかの村にも、ワーケーション事業を広げ、 7つの村を周遊できるようなプランを検討しているのです。

介護事業会社 小瀧 歩 社長

「まず7分の1がこれで動き始めたので、残り7分の6。この丹波山村で成功したモデル、小さな輪を全国につくっていく」

ワーケーシヨンで訪れる人たちに向けて、丹羽山村では、特産品を割安で販売することも計画。地元の産業も巻き込みながら、全国に村のファンを増やしていきたいと考えています。

山梨県丹波山村 岡部岳志 村長

「こういう小さな村で抱えている問題は、(全国の自治体でも)同じようなことがたくさんあると思う。新しい力・知恵をいただいて、それで村が存続する。小さいけれどもそこから日本に頑張っているという力を発信していこうと」

ほかにも、東京の調理師専門学校が 7つの村で生徒の実習を行い、それぞれの村の特産品を使ったオリジナルメニューを開発するなど、g7を応援しようという動きは広がっています。地方の活性化というと移住促進や観光客誘致などが各地で行われていますが、自分たちのまちの強みを生かしたアイデアや戦略が、今後いっそう重要になりそうです。

(仙台放送局アナウンサー 岩野吉樹)

【2021年4月5日放送】