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“より早く 多くの人に” 食料支援で困窮者を救え! 

NHK
2021年4月9日 午後0:54 公開

新型コロナの影響が長期化する中で、こども食堂やフードバンクなど生活に困っている人たちへの支援が各地で広がっています。こうした支援団体の多くは、困っている人の声を受けて、支援を始めるケースがほとんどですが、今回ご紹介するのは、団体の側から積極的に動いて、困っている人を見つけ出し、支援につなげる先進的な取り組みです。迅速な支援につなげるためのカギは「連携」と「情報共有」にありました。

新型コロナで収入激減 困窮者への食料支援

生活に困っている家庭への食料支援を行っているのは、大阪の支援団体、富田林市人権協議会です。行政から委託を受け、月に2回、家庭を回って食料を届けます。

この日訪れたのは、2歳の娘を育てる10代のシングルマザーの自宅。女性は飲食店の仕事で生計を立てていますが、新型コロナの影響で出勤日数が減り、給料は半分の5万円以下になりました。当初は支援を受けられることを知らず、半年以上、食費を切り詰めながら生活してきたと言います。

女性:「コロナが始まって生活はギリギリになりました。とても助かっています」

地域の「連携」「情報共有」が迅速な支援のカギ

 女性が支援につながるきっかけとなったのが、支援団体の先進的な取り組みです。地域住民の状況に詳しい保健師やケースワーカーと連携し、その情報を基に困っている人へ食料を届けます。支援を知らない人や、自ら声をあげるのをためらってしまう人にも、いち早く手を差し伸べるのがねらいです。

取材したシングルマザーの女性も、保健師の家庭訪問によって初めて収入が大幅に減っていることが分かり、去年12月から支援を受けられるようになりました。

富田林市人権協議会 長橋淳美さん

「保健師のような、家庭についてよく知っている人が入ってくれることでより深い支援ができる。できるだけ早くその人たちにつながって、必要な支援を届けるというのはとても大事なことだと思います」

広がる支援 学生も対象に

これまで状況を把握するのが難しかった学生たちの支援にも乗り出しています。去年12月から学生支援を行うNPOと連携し、新型コロナでアルバイトができなくなった1人暮らしの大学生など10人の支援を始めました。

支援を受けた1人、山本祥子さんは、奨学金で大学に通い、飲食店のアルバイトで生活費をまかなってきましたが、収入が激減。貯金は数千円にまで減り、携帯料金の引き落としができず督促の通知が届いたこともあったといいます。両親は広島で飲食店を営んでいますが、新型コロナで経営は厳しく、頼ることはできませんでした。

山本祥子さん

「1日1食200円までと決めて、親も大変だし助けてとは言いづらい。この前いただいた食べ物があると思ったら、安心にもなるし、助かっています」

食料支援を受けながらこの春、無事に大学の教育学部を卒業することができた山本さん。4月からは地元広島で、小学校の先生として教壇に立っています。

コロナ禍の1年で支援するようになった家庭の数は前年度のおよそ1.6倍。支援団体では今後さらに多くの関係機関と連携して、困っている人を見逃さないようにしたいとしています。

富田林市人権協議会 長橋淳美さん

「自分で頑張らないといけないと思っている人たちが、とても多いと思います。そういう人たちを支援していくのが僕らの仕事だと思う」

さらに支援の輪を広げるために

より多くの人を支援するためには安定した食料の調達も欠かせません。支援団体と連携する社会福祉協議会は、3月、関西を中心に展開する大手スーパーと協定を結び、店頭の商品の入れ替えで発生する野菜などを提供してもらうことにしました。より新鮮で豊富な種類の食料を提供するのがねらいです。

また、支援団体は今後、市民が持ち寄った食料なども利用して支援の輪を広げたいとしています。困っているときには支援を受け、逆に自分に余裕があるときは食料を提供する側になる。そのように、住民同士が互いに助け合うことができる仕組みを目指しています。

支援団体では食料支援だけでなく、その人の状況に応じてハローワークに同行したり、必要な給付金や手当が受けられるよう窓口につないだりしています。食料を渡して終わりにするのではなく、関係機関と連携しながらその人に最も必要な支援につなげていくことが、これからの支援でより重要になってくると感じました。

(大阪放送局 記者 橋野朝奈)

【2021年3月27日放送】