おしえて大ちゃん!~フィギュアスケート髙橋大輔選手~

NHK
2022年6月30日 午後3:00 公開

現役続行を決めたフィギュアスケート・髙橋大輔選手。
5月、ふるさと倉敷でNHKの単独インタビューに応じ、
その決断の背景や、36歳で迎えるシーズンへの思いを語ってくれました。


Day1(2022/5/30 ON AIR)

―――アイスダンス転向2シーズン目を終え、今後はどう考えていますか。

もう1年は、続けてみようかなと思っています。
アイスダンスで現役をやるのが簡単なことではないので、本当にもう毎日、天秤にかけながらずっと過ごしていて、気持ちとしてやっぱりもう1年やってみたいなって気持ちでいたんですけど。でもやっぱり、自分自身1度落ち着いた時にどう感じるかを確認したいっていうのもあったので、パートナーの村元さんに「2週間くらい待ってくれる?」という感じで伝えた。
それで2週間後に「現役をもう1年だけは続ける」と。
1年だけは、というのも確定ではなくて。1年後にどういう気持ちになるか、僕だけじゃなくてパートナーがいるので、村元さんがどう感じるかっていうのもあるので。
まずは次のシーズンはもう1度目指してやっていきたいということ。

―――現役続行の理由には、北京五輪の代表を逃した悔しさもある?

五輪は男子シングルで知ってはいるので、そんな簡単なことじゃないっていうのは分かっていた。ただ目標は大きく掲げていたほうがいいし、同じ方向を向いていると盛り上がりやすいっていうのもあると思っていたので掲げていた。
正直行けなかったのは悔しい部分があったけど、どっちかって言うと全日本選手権の選考会で力を出し切れなかった悔しさ。欲を持った中で自分たちの演技ができなかった、その悔しさの方が大きかったかな。

―――悔しさと同時に、もっと進化できるという前向きな思いも感じている?

悔しいと思わなくなったら多分もう辞めると思いますし、まだ可能性はあるんじゃないかっていう部分が大きいんじゃないかなと思います。
2人の距離感も近くなったし、リフトの安定感は増したので、落とさないように気をつけたところを、よりよくどう見せるかってところに気が回るようになった。
2シーズン目でやっとアイスダンサーとしてスタート地点に立てたんだなっていう感じで、でもすぐ終わってしまったので、まだやり残したことがあるじゃないですけど、やりきってない感覚っていうのもちょっと残っていた。

―――1年続けるということは、4年後のイタリアでの五輪は?

まったく考えていないですね、今は。
そこまで考えるほど、自分自身のメンタルも強くないですし、やっぱり年齢的なこともあって、やりたいけど体が動かないとか実際にやってみないと分からないので。
そこを約束をできるほど自分を過信していないというか、本当にギリギリのラインでやらせてもらってる部分もあるので。

―――これからのシーズンは?

変わらずですね。
まだまだ成長できる部分があると思うので、もう1年どれだけレベルアップできるかを楽しみにやっていきたいと思います。

―――ワクワクしている?

ワクワクでもないですけど、なんて言ったらいいかな。
すごく、凪いでいる感じ。
『なぎ』って、こうシーンとしている感じですよね。
そういう感じです。
かといってパワーが無いわけじゃなくて。やっていくうちにワクワクしてきたり、ギスギスしてきたり、いろいろな感情が出てくると思うんですけど。
新たにもう1回、気合いを入れ直してスタートなのかなっていう感じですかね。


Day2(2022/5/31 ON AIR)

フィギュアスケートの髙橋大輔選手に、ふるさと・倉敷への思いを聞きました。

ーーー次々とトップレベルの選手が育つ倉敷のリンクには秘密がある?

ちょっと倉敷は特殊ですもんね、プロフェッショナルのコーチがずっといない。今の状況は100%分かってはいないんですけれども、みんなで選手を育ててる空気感っていうんですか、親御さんも含めて。1人のコーチに習うんじゃない。何かみんなで、このスケートリンクで一緒に練習してみんなで育てていくっていう空気感があるので、スケートの楽しさっていうのをまず最初に感じてるのかな。上手になろうじゃなくて、スケートが楽しいっていう。遊びながらやっていたりとか、だから長くやってる選手が多いかな、倉敷でやっている子って。
僕もちゃんと目標を持ったのがほんと18歳といっても過言ではないくらいなので、その前はこのスケートリンクに来ることが楽しかったですし、スケートで滑って遊ぶことが楽しかったですし、遊びをすごくやらせてもらったイメージで。そういうことがやっぱり長く続けられる秘けつなのかなと思う。

ーーーそれが土台にあって今がある。滑る楽しさっていうのは今も?

もうね、今はもう何ていうんですかね、仕事じゃないですけど、ライフワークみたいになってるんで、楽しい…。お仕事されてて楽しいかどうか正直わからないときいっぱいありませんか。

ーーーきつい部分の方が?

多いですからね、多いですよね。だけど楽しいからやってるんだろうな、こんなに長く。好きだからやってるだろうっていうのを何か実感はしないですけども、認めるようにはなってきたかなという感じはあります。


Day3(2022/6/1 ON AIR)

髙橋大輔選手にライバルとパートナー、それぞれとの関係について聞きました。

ーーー北京五輪に向けて、地元の後輩の小松原美里選手、ライバルとしてどう見ていたんですか?

競う相手がいるってことはモチベーションにもなりますし、そういった意味で何かすごくいいモチベーションを保たせてくれた、そういう存在だったかなと思います。
美里ちゃんもちっちゃいときから知ってますし、懐かしいような、同志みたいな感じも感じますし。
アイスダンスに転向して最初のシーズンは勝てる感じじゃなかったので、全然。2年目の昨シーズンもどうなるか本当に、一緒に世界に出てみてどういう評価をもらえるかってのも分からなかったので。ライバルと仮定はしますけど、どっちかっていうと、自分たちのベストの演技をどれだけできるか。じゃないともう話にならないってところの考え方の方が大きかった。

ーーーアイスダンス転向2シーズン目。村元哉中選手にはどんな声をかけられる?

「けっこう目が合うようになった」って言われる。「私の顔を見てるんだけど見てなかった。今は本当に見てちゃんと演技ができる」って。演技まで余裕がちょっと出るようになってきたっていうことだと思うんですけど、そういったことは、共同インタビューで「ああそうなんだ」って知ることはあります。直接はそんなにないですけど、お互い必死なので、そうやっていることが必死なので。

ーーーインタビューの時に、そう感じてたんだって知る?

お互いそうだと思います。なかなかそんな言わないですよね、ふだん。例えば夫婦とか、言わなくないですか、気持ちをいちいち。何かそういう感覚に近いです。
夫婦じゃないんですけど、やっぱりこう子育てを一緒にしているパートナーって言うか、僕たちはアイスダンスでいい作品を作る、ある意味子育てですよね。そのパートナーなので、お互い必死だから、余裕がない中でやってるって感じではありますね。


Day4(2022/6/2 ON AIR)

髙橋大輔選手が、地元のかわいい後輩について語ってくれました。

ーーーバンクーバー五輪のあとに放送したNHKの番組「おしえて高橋大輔選手」。

ありましたね、これ星南(せな)が出たやつでしょ。

ーーー当時、倉敷のリンクで練習していたのが小学3年生の三宅星南選手。20歳となった現在は、男子シングルの国内トップスケーターに成長しました。16歳差の三宅選手も今では同じ国際大会(四大陸選手権)に出場。どう見てみますか?

いやもう素直にうれしいですよね、やっぱり。あのちっちゃかった子が世界で戦えるようになったっていうのはうれしいです。それがね同郷の子で、やっぱりなんかただの後輩ではないですよね。うん、すごく近い。コーチも一緒でしたし。

ーーー言葉は交わす?

交わしますよ。
でも星南が緊張するから、僕がしゃべりかけたらしゃべってくれますけど、いつもすごい緊張するって。「ハイ、ハイ!」って。そりゃそうですよね、僕は16歳年上の先輩に自分からなれなれしく声かけられないです。本当に親のような気持ちで、応援してましたね。
すごく素直にうれしいですね。


Day5(2022/6/3 ON AIR)

髙橋大輔選手がアイスダンスへの挑戦、そしてその先への思いを明かしてくれました。

ーーーシングルとアイスダンスは別物なんですよね?

すごく気を付けてる部分がまず違いますから。ステップ、エッジワーク。ジャンプがない分、そこで勝負していく。あとはリフトとか、やっていること全く違うし、靴も違うし、エッジも違うし、同じ滑るカテゴリーではあるんですけど、フォーカス部分が全く違うっていう感じです。

ーーーそこに挑むっていうのは結構大変ですよね?

僕もラストチャンスだなと思ったから思い切りいけたっていう部分があるんですけど。
これがもし25歳とかだったら、まだもうちょっとしてからでもいいかなと思ったかもしれないですし、これがもう36歳からのスタートだったらもう無理かなみたいな。ちょうど転向が33歳、34歳だったので、ぎりまあいけるかなみたいな。すごくそういったところのタイミングも良かったので。
中堅っていうんですか?僕ら。まだ?40代くらいかな。で言うと、一番悩みますよね。
安定する人生を目指していくか、もっとチャレンジする人生を目指すか、一番振れやすい部分なのかなっていうのあるんで。
何だかんだ飽き性っていうのがあって、飽き性だからこう何かやってないとたぶん。本当はやりたくないんですけど、ナマケモノでいたいんですけど、根本的に何か新しいことをやってる方が好きなんだろうなって最近ちょっと思って来て。

ーーーそういう意味でも、挑戦でできることを増やしていく?

挑戦っていう感じもあまりなくて。
僕はこのアイスダンスやるにあたってもエンタテイメントの仕事をしていきたいと思っていて。それをどんな形であれ、自分がパフォーマンスできるうちはしていきたいし、できなくなったとしても、エンターテイメントがやっぱり好きなんで、そういう世界に携われたらな。そのためには何が自分の武器なんだろうって、武器が増えている方がいいじゃないですか。その武器を増やしたいなって気持ちがすごく大きいので、スケートだけにかかわらずですけどね。


※掲載内容は「もぎたて!」で2022年5月30日~6月3日に放送したものです。
※掲載内容は予告なく変更する場合があります。  
※掲載動画は2022年11月17日(木)まで、日本国内でのみ再生可能です。