災害時こそ地域で支え合い、共に生きる社会をつくるために

NHK
2023年12月8日 午後5:58 公開

出演:香川県防災士会・防災士

秋村 英里さん

(2023年12月8日(金)放送)

障害などがある方のさまざまな不安とは

 万が一の災害を前に現状で一番気になっているのは、災害が起きた時、障がいなどがある方が、さまざまな不安を抱える可能性があるのではないかという点です。例えば、

〇災害が起きた時に、自分自身がどうなるか想像ができない。
〇避難情報を的確に受け取れるかどうか。
〇体を補助する装具を、急いで着けることができるか心配。
〇他の人に迷惑をかけてしまうと思うと、助けてもらうことをためらってしまう。
〇障がいが重度のため、避難はできないと思っていて、その覚悟もできている。そのため、災害が起きても、避難所に行こうとは思わない。
〇誰がどんなことをしてくれるか分からないので、支援が必要な人をあらかじめ登録しておく市町村の名簿に名前を載せるかどうか迷っている。また、個別の避難計画に、避難などの手助けをしてくれる人の名前などが記入できない。
〇地域の避難訓練などに参加してみたいけれども、案内がない、などなど。

このように、障がいなどがある方には、実はたくさんの不安があるのではと考えています。

支援が必要な人に対する地域の現状

 こうした不安の背景には、障がいのある方など、災害が起きた時に支援が必要な人たちに対する、地域での取り組みに課題があるのではないかと感じています。
 避難に支援が必要な人の情報自体は、現時点でもコミュニティーセンターなどにはあります。また、町歩きで避難経路の確認をして、危険個所の把握や見直しを行っている地域もあります。
 その一方で、障がい者などに対して、地域の防災情報や避難経路・避難場所などの発信が十分にできていない地域も多いと感じています。
 また、地域で行われている避難訓練では、健常者が障がい者役となって車椅子等で参加することもあるために、障がいがある方についての正確な理解が進まないケースもあるのではないか、とも考えています。
 発災時には、安否確認や正確な情報を伝える仕組みが必要なのですが、そうした計画の作成についても、地域によって様々というのが現状です。 

避難所の課題とできることをやってもらうという発想

 避難するときに支援が必要になる人は、対応できる設備や人材の整った、いわゆる「福祉避難所」で生活が送れると一般的には思われていますが、地域によってはこうした福祉避難所の登録が少なく、受け入れ人数も少ないので、全員を収容するのは難しい状況です。このため多くの人たちは、一般の避難所で地域の方たちと共に生活することになると思います。
 このような状況を少しでも改善するには、一般の避難所の中で「介護や医療相談を受けられる空間」を確保する取り組みが必要だと思います。
 一方で、障がいがあっても「できることをやってもらう」という発想も大事です。
たとえば、一般の避難所で地域の方々が中心になって環境の整備などを行なう時、そこで生活を共にする障がい者にも何かできることはないかと、役割や出番等を一緒に考えることも大切だと思います。

自身も相談支援専門員として活動

 私は、防災士と合わせ「相談支援専門員」としても活動しています。
「相談支援専門員」の役割は、障がい等がある本人やその家族が抱える困り事を聞いて、それを解決するために、福祉サービス事業所や地域と困っている人を繋げたり、情報提供や助言を行ったりすることです。
 災害時に支援が必要な人がどんな不安を抱えていて、どう行動しようとしているかなどを、各地区のコミュニティの代表者と話をして、その地域のなかで情報共有ができるようにお願いしています。
 また、自治体が発行するハザードマップや避難所の確認、連絡手段などの協議を、地域で活動をしている関係者の方や、障がいなどがある方と一緒に行いたいと思っています。

災害時も共に生きていくために必要なこと

 いざ災害が起きたときにみんなで共に生きていくためには、例えば仮に救助ができなくても、声掛け支援など、地域ですぐに対応できるような体制を整えておくことが必要だと考えます。そのためには平常時から、地域や行政、関係機関などが横の連携を密にして、支援のプランを共に作り上げていく仕組みが大切です。
 障がい者と一緒に考える機会を作ることや、障がい者が自主的に行う訓練も大切です。日頃から、障がい者の地域での居場所や活動の場を作ることができれば、孤立も防げます。
 「地域との関係づくり」「顔の見える体制づくり」に、これからも取り組んでいきたいと思います。