災害を自分ごととしてとらえ、どう行動するかを体験しよう!

NHK
2023年10月27日 午後6:37 公開

出演:日本(にほん)防災士会愛媛県支部・防災士

越智 理恵さん

(2023年10月27日(金)放送)

防災士として、いま気になること

 私は、防災士として、災害のメカニズムや避難所の運営について学習を繰り返しています。そのなかで感じるのは、災害が発生した時の避難の仕方や命の守り方について、議論される機会が少ないということです。
 最近では、例えば水害の場合は、少しでも高い所に避難する垂直避難も大切だとか、地震の場合は、避難のときにどの道が通れるのかを普段から調べておくのが大切、などといったことは、知識としては広く知られるようになっていると思います。ただ、それぞれの人が、自分ごととして被害の予測が十分にできていないのではないかと心配になります。
 例えば、いま自分がいる場所ではどんな地震が起こる危険性があるのか。地震の揺れの強さに応じてその場所では何が危ないのか。こういったことを知ることが、習慣化できていないのではないかと感じています。

これまでの地震訓練の課題

 例えば、わたしたちは小学生のころから、地震が起きたらまず「頭を守って」「机の下へもぐって」と教えられていて、訓練もしています。
 でも、一体何から頭を守るのか、ひとりひとりがどこまで考えているでしょうか。固定されていない机が、果たして頭をどこまで守ってくれるのか、もし机がなければどうするか、と本気で考えたことはあるでしょうか。
 多くの人がなんとなく「落下物から頭を守る」と考えているだけなのではないか、と心配になります。より安全に避難するにはどんな行動をとればよいかや、被害をより少なくする対策は万全なのか、きちんと自分ごとになっていないと災害時にとるべき行動がとれない恐れがあります。

確実に逃げるために考えておきたいこと

 先日、災害にどう備えるかの課題を考える講習に参加して、少しわかったことがあります。それは「確実に逃げる」ための訓練が必要だということです。
 子供の頃の防災訓練で、頭を抱えて机の下にもぐるということは教えられましたが、そのあと状況をみながら「いかに逃げるのか」の訓練はなかった気がします。そういった訓練をしなければ、避難の先頭に立つ学校の先生も適切な指示が出せないのではないかと感じます。
 例えば、建物の中で、どこをどう逃げればより安全か、知る必要があります。
体育館のように広い建物はよく避難所になりますが、過去の地震では体育館の天井の一部が落ちてしまったことがありました。仮に、建物の外壁が補強されていても、内部の構造がどうなっているか、あらかじめきちんと知っておく必要があると感じます。
 地震が起きた際、安全に避難するためには、自分のいる場所での震度に応じて、揺れがどのくらい続くのかなどをあらかじめ知っておく必要もあります。
 屋内か屋外か、建物が木造か鉄筋コンクリートかによっても変わります。こういったことは「気象庁震度階級関連解説表」を見ると詳しく書かれています。
 まずは「知っておくこと」が被害を減らす一歩であると思いました。

災害を自分ごととして体験しておく

 自分のいる場所で、被害がどうなりそうかを想定したら、次はどう行動するかを「体験しておく」ことが大切だと思います。
 例えばこれまでは、地震の時その場で「ダンゴムシのポーズ」をとることがすすめられてきました。でも私は、強い揺れを体験したとき、このポーズをとっていたのでは揺れにつられて、転がってしまいそうになるのを感じました。
 そこで、さきほど紹介した「気象庁震度階級関連解説表」をヒントに考えてみました。そこには、震度6強以上では「這わないと動くことができない」と書かれています。逆にいえば、落下物などの危険を予測しながらですが、這っていけば逃げられるともいえるわけです。
 これをもとに、ダンゴムシのポーズを床に貼りつく感じの「カエルのポーズ」に変えたところ、周りをよく観察しながら這って前に進むことが体験できました。この体験で、逃げ切れる希望が出た気がします。ですからみなさんも、主体性を持って災害から身を守る心構えをしてほしいです。
 例えば、私の暮らす愛媛県内では来月(11月)に「愛媛防災フェア」が開かれます。5日には宇和島市、19日は松前町、23日は新居浜市で、防災体験イベントが行われます。みなさんもぜひ、こうした機会にいろいろな体験をして、災害を自分ごととして考え直す機会にしていただきたいです。