災害への身近な備え

NHK
2023年3月11日 午後3:47 公開

出演:防災士会愛媛県支部・防災士

神野 哲行さん

(2023年3月10日(金)放送)

災害と私

 私が最初に大きな自然災害に遭遇したのは、父の転勤で三重県鈴鹿市へ引っ越した小学校2年生の時で、1959年の伊勢湾台風の直撃を受け大きなショックを受けました。

 その後、2001年の芸予地震で出身地の松山市の親戚の家で屋根の防水シート掛けを行ったのをきっかけに、災害ボランティアチームや社会福祉協議会のボランティアセンターの存在を知り、オートバイの機動力を活用する愛媛RB(レスキューサポート・バイクネットワーク)に加入して、ボランティア活動を始めました。

 2004年の新居浜・西条の大水害や、2005年の山口県の錦帯橋が破損した水害では、ボランティアセンター運営や被災者宅での泥出し、泥にまみれた家具の搬出などを行い、2018年の西日本豪雨でも宇和島市吉田町、大洲市等の災害ボランティア活動に参加しました。

 私が住んでいる愛媛県は、大きな自然災害が少なく穏やかで住みやすいところです。
その分、災害に対する意識が低く、職場での災害への備えも形だけのものが多く、各家庭での災害に対する意識がほとんど無い状態だと感じています。

 このような状態で大きな災害が起きると、備えが無い分、大きなパニックになるのではと恐れています。これを避けるために、各家庭で出来る身近な備えについてお話ししたいと思います。  

地震への備え

 私の家で実践している、地震への身近な備えを紹介します。

 一つ目は「家具・大型家電等の固定」です。

 地震の大きな揺れでタンスが倒れたり、冷蔵庫が置き場所から勝手に動いて通路を塞いだり、そして大型液晶テレビは画面が重たいので飛んで来るそうです。そこで、タンスや食器戸棚等の家具、スチール棚等は、市販の固定具を使って柱等へ固定し、冷蔵庫も後部の移動用の取っ手と柱等を繋いで固定しています。

 テレビは、付属している固定用の用具でテレビ台と固定しています。これだけでもテレビが飛んでくることは無いようですが、更にテレビ台と柱等を繋いで、動かないようにしています。

 寝室のタンスは、眠っている間に大きな地震が発生した時は、倒れてきて眠っている人を押しつぶしたり、人が動けなくなってしまう恐れがあるので特に危険です。出来れば寝室にタンスはおかない方が良いと思います。
 さらに家具を固定するだけでなく、上に物をおかないようにする方が良いと思います。

固定出来ないディスクトップパソコンやプリンター、FAX等は耐震ジェルで張り付けています。

 二つ目は「脱出用の靴やヘルメットの準備」です。

 眠っている間に大きな地震が起きた時のために、枕元に人数分の最低限の避難用品を置いています。

 地震で割れたガラスや瓦礫等の上をはだしで歩くと足の裏を怪我して歩けなくなるので、必ず「運動靴」を用意します。

 瓦礫に頭をぶつけたり、上からの落下物から頭を守るために「ヘルメット」を用意しています。さらにパジャマだけでは寒かったり、がれきから身を守ったり、恥ずかしかったりを防ぐための「上着」や、応急処置や物をまとめたりと、多用途に使用できる「日本手ぬぐい」を用意しています。

 暗い中でも安全に避難できるように、「懐中電灯」を準備し、月一回は電池をチェックします。  

水害への備え

 このところ、毎年のように日本各地で大雨等による水害が発生しています。

2018年6月末から7月にかけて発生した西日本豪雨は、愛媛県にも大きな爪痕を残しました。
 家が流されてしまうような大きな水害では逃げ出すしかないのですが、大規模ではない浸水害は非常に多く発生し、私たちの生活に大きな影響を与えています。

 注意したいのは、一番発生の多い「床下浸水」は、保険の対象にならない場合がある事です。
 被災地のボランティアに行って一番多いのは床下浸水で、被災者の方も「床下だけだから」と高をくくっていますが、床下に流れ込んだ水は時間と共に腐敗したり、建物にしみ込んだりして、放置すると大変なことになってしまいます。

 我が家での対策は、大雨が降りだしたら床下の通気口を「板とタオルを組み合わせた」自作の「塞ぎ板」で全て塞ぎます。完全密閉ではありませんが、水がにじむ程度で、床下への浸水を防ぐ事が出来ます。そして玄関等の出入り口は、ブルーシートと呼ばれる防水シートをブロック等で押さえて、浸水を止めています。

 また、パソコンのハードディスク等は、部屋の天井近くに棚を作ってそこに置いて、

床上まで浸水した場合に最悪でもデータだけは助けられるように備えています。  

備蓄のポイント

 非常持ち出し袋と、常備品の備えをしておきましょう。非常持ち出し袋については、色々なものが市販されています。
 購入して自分なりにカスタマイズしてもよいし、売られているものを参考にして自分で揃えても良いのですが、欲張って入れすぎて重くなり過ぎると、避難に支障が出るので注意が必要です。
 我が家では、普段使わないザックに持ち出し品をまとめて入れて、廊下の隅っこの持ち出しやすい場所に置いていて、一年に一回は中身をすべて出して確認しています。

 また自宅避難に備えて、家の中に備蓄しているものもあります。お米等の保存の効く食品を少し余分に購入し、古い物から順次消費するローリングストックをしています。
 そして、電気、ガスが止まった時に備えて、卓上ガスコンロのカセットボンベを少し余分に購入して、こちらもローリングストックしています。最近流行っているキャンプの道具も、非常時に役に立ちます。

 これで少しでも安心感が増せば、もしもの時も大きなパニックに陥ることが無く、慌てずに対応できるのではないでしょうか。