ダムの緊急放流に備える

NHK
2023年6月16日 午後7:09 公開

出演:肱川ダム統合管理事務所 副所長

南本 秀行さん

(2023年6月16日(金)放送)

緊急放流とは?

 緊急放流とは、多量の雨が降ることによってダムに貯まっている水の水位が、洪水の時にダムに貯められる上限の水位を超えると予測される場合に、ダムから放流する水の量をダムに流れ込んでくる水の量と同じ程度にまで、徐々に近づける操作を行いますが、この操作を「異常洪水時防災操作」、いわゆる「緊急放流」と呼びます。
 「緊急放流」を行った場合、ダム下流の河川では水位が急激に上昇して河川が氾濫したり、すでに氾濫している箇所は範囲が拡大する恐れがあります。

流域住民にはどのように伝わる?

 円滑な避難が出来るよう「緊急放流」を行う3時間前と1時間前に、関係自治体、関係機関へ連絡が行われるほか、「警報所等」からサイレンや情報表示などにより周知を行うと共に、事前に「警報車」からの警報と報道機関等への連絡を行っています。
 もし連絡があった場合には、関係自治体や報道機関の方々には、入手した情報をいち早く発信して頂きたいと思います。
 また、ダムの下流に住むみなさんは「緊急放流」の情報が発信されたときには、自治体の避難情報に従って直ちに命を守る行動をとっていただくことが大切です。

西日本豪雨から学んだことは?

 前もって災害の発生を想定して行動できるように、日頃から準備しておくことが必要です。
 情報の発信については私たちが「伝える」ということよりも、みなさんに「伝わる」ということが重要であると感じました。「住民の方々が行動していただけるような情報発信」を行う必要があると考えています。
 野村ダム、鹿野川ダムでは、警報の放送が雨音で聞き取りにくいということから、ダムに関する情報等のユニバーサルデザイン化をおこない、情報表示板や回転灯を4色のカラー表示に変え、緑・黄・赤・紫と、色が変わるごとに危険度の段階が上がるのを識別できるようにしています。
 また、警報の放送や表示板では、より緊迫感が伝わるように表現を変えました。

西日本豪雨を経て変わったことは?

 野村ダム、鹿野川ダムにおいては、令和2年(2020)3月にダム下流の河川整備の状況に応じて、放流に関する操作のルール(操作規則)を見直しています。
 野村ダムでは、ダムの水を使う権利を持つ関係利水者などの協力を得て治水協定を結んでいます。これによって、もともとあった洪水を調節するための容量・350万m3に加えて、事前放流が411万m3分できることになり、合計で、ダムの容量のうちおよそ760万m3を確保しています。
 現在、この事前放流で確保できる、洪水を調節するための容量を有効に活用出来るよう、新たな放流設備を増設しています。河川改修も進んでいるため、これによって仮に5年前の豪雨と同じ規模の雨が降ったとしても、肱川の氾濫を防ぐことが出来るのではないかと考えています。
 肱川流域の自治体・県・国・気象台・警察・消防とは「肱川流域緊急対応タイムライン」を作成していて、肱川流域住民の人的被害ゼロを目指して、情報の共有、流域自治体の意思決定の支援、関係機関の連携強化を図っています。
 また西予市野村地区では「緊急放流」を想定した住民参加型の防災訓練が行われています。

出水期を前にメッセージ

 自治体が発行している「ハザードマップ」の情報を確認して、みなさんがお住まいの地域にどのような危険があるのかを認識していただきたいです。
 河川に関する防災情報は、インターネットの「川の防災情報」や、河川・ダムを管理している機関のホームページ、NHKのデジタル放送のdボタンからも確認することができます。
 また、気象情報をこまめに確認して、自治体から出される「防災情報」や「避難情報」を確認したうえで、ぜひ、はやめの避難・行動をお願いします。