『失われた夢を求めて』
~誰が何と言おうと、あなたは聖母ですよ。私の愛する母さん。~
【NHK FM】
2023年6月24日(土) 午後10時~午後10時50分(全1回)
★「聴き逃し」サービス ※配信期間は放送から1週間
演出の小見山です。
1986年放送の大河ドラマ「いのち」でご一緒した三田佳子さん。それから三十有余年経ちました。でも、その時の三田さんの印象と、今三田さんに会って感じる印象は、私にとっては全く変わらないのです。「そんなことないわ!」と三田さんは言うかもしれないけれど、嘘じゃありません。勿論、その歳月は大きな大きな時の流れではありますが、今回再びご一緒して、そのことを強く感じました。三十有余年前、大河ドラマでは二十歳を演じてくれた三田さんが、今回は九十歳を演じます。
【三田佳子さんからのメッセージ】
まだ学生だった私が、縁あって森繁久彌さんの娘役でNHKのラジオドラマに出演したのが、芸能の世界に入るきっかけでした。マイクの前に立って「音だけで表現する」難しさと楽しさは、今も私のあこがれです。
演出の小見山佳典さんと、初めて竹山洋さんの作品に取り組んだのが、2018年の「友はいずこに」でした。頂いた台本が全編一人芝居と分かった時はびっくり!!
小見山さんとタッグを組んだ2作目「レオナルド・ダ・ヴィンチの恋人」には、歌唱シーンまであって!
このシリーズは、どんどんハードルが高くなっていく様で刺激いっぱいです。
そして、今回の「失われた夢を求めて」を手にした数日後に知った竹山さんの訃報。
いつものように制作現場にはいらっしゃらなかったけれど、竹山洋さんにもきっと満足していただける作品に仕上がったと思います。
どうぞお楽しみに。
(主演・三田佳子さん)
【出演者】
三田佳子 竹中直人 篠田三郎 冠野智美
【作】
竹山洋
【音楽】
小六禮次郎
【あらすじ】
8月15日。それは戦争が終わった日ではなく、自分の存在が決められた日だった。終戦の日に、ヨシ子(三田佳子)は、海軍上等兵の国木新一(篠田三郎)にトマト畑で求婚され、結婚した。だが、その結婚は長くは続かなかった。新一の不倫相手が妊娠し、二人の結婚生活は破綻した。
それから70余年。春。桜が満開だった。母のヨシ子が別れた夫のお墓参りがしたいと言い出した。父の新一が亡くなって22年。一度も母は父の墓に手を合わせることはなかった。母は90歳。息子の私(竹中直人)は67だ。母親の車椅子を押しながら、母の記憶をたどる。人が生きる上で大切な“記憶と感情”。これは、ある記憶をめぐる母と息子の物語。