『失われた夢を求めて』出演の篠田三郎さんからメッセージをいただきました。

NHK
2023年6月17日 午後1:00 公開

『失われた夢を求めて』

~誰が何と言おうと、あなたは聖母ですよ。私の愛する母さん。~

【NHK FM】

2023年6月24日(土) 午後10時~午後10時50分(全1回)

★「聴き逃し」サービス ※配信期間は放送から1週間

演出の小見山です。

篠田三郎さんは、永遠の青年です。このドラマの冒頭で、二十歳の青年を演じていただきますが、私にとっては何の違和感もありません(おそらく、聞いていただける皆さんにとっても)。連続テレビ小説「京・ふたり」(1990年放送)は、京都の老舗漬物屋を舞台にした、娘と家族の物語でした。今回のドラマと同じく竹山洋さんの脚本です。娘と父親役の篠田さんの温かいふれあいが、今とても懐かしく思い出されます。

【篠田三郎さんからのメッセージ】

終戦を告げる天皇の玉音放送がラジオから流れる中、男と女は出会い結ばれる。庶民は長く続いた戦争に疲弊し傷つき、日々お腹をすかして生きるのに精一杯だった時代。

この度のFMシアターはそんな時代背景の中で青春を過ごし 昭和、平成を生きて来た三田佳子さん演じる母親・ヨシ子と竹中直人さん演じる息子・淳之介が、父親(私の役)の墓前で、これ迄固く口を閉ざして来た、家族の過去のある秘事を語り合います。

母は何故あんなにも大きな出来事を忘れてしまったのか!

息子・淳之介が少年の頃に負った深い心の爪痕とは!

そして愛しい家族の絆!

この脚本を書かれた竹山洋さんは本年4月に他界されました。常に第一線で骨太のドラマを紡がれて来た竹山さんの突然の訃報には本当に驚き、悲しかったです。

とってもシャイで、とてもとても優しい方でした。

リスナーの皆様!是非「失われた夢を求めて」をご視聴下さい。

【出演者】

三田佳子 竹中直人 篠田三郎 冠野智美 

【作】

竹山洋

【音楽】

小六禮次郎

【あらすじ】

8月15日。それは戦争が終わった日ではなく、自分の存在が決められた日だった。終戦の日に、ヨシ子(三田佳子)は、海軍上等兵の国木新一(篠田三郎)にトマト畑で求婚され、結婚した。だが、その結婚は長くは続かなかった。新一の不倫相手が妊娠し、二人の結婚生活は破綻した。

それから70余年。春。桜が満開だった。母のヨシ子が別れた夫のお墓参りがしたいと言い出した。父の新一が亡くなって22年。一度も母は父の墓に手を合わせることはなかった。母は90歳。息子の私(竹中直人)は67だ。母親の車椅子を押しながら、母の記憶をたどる。人が生きる上で大切な“記憶と感情”。これは、ある記憶をめぐる母と息子の物語。