『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』原作者・天童荒太さん(その2)

NHK 写真・坂本真典
2023年9月21日 午後5:00 公開

『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』

~戦わないで大切なものを守ることにした。これは僕らの途中報告書。~

【NHK FM】

2023年10月21日(土)・10月28日(土)午後10時~午後10時50分(全2回)

★「聴き逃し」配信あり(放送から1週間)

 天童荒太さんからのメッセージ(その2)

今回、拙作『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』が、FMシアターで、前後篇の二回にわたって、ラジオドラマ化されます。

実は、わたしはもう三十年あまり前、FMシアターで、ラジオドラマの脚本を五本か六本、書かせてもらった経験があります。

そのとき、俳優および声優陣の声だけで演技をする表現力の高さと、効果音をつける技術スタッフのテクニックと引き出しの多さ、それらを導く演出スタッフの情熱に、深いリスペクトをおぼえました。

それでも長い小説を、制限された時間内で表現するというのは、大変難しいものだと思います。

けれど、送られてきた『包帯クラブ ルック・アット・ミー!』の脚本は、実に素晴らしいものでした。

一作目の『包帯クラブ』のエピソードを巧みに織り込みながら、『ルック・アット・ミー!』に込められたメッセージを誠実に受け止めて、笑いの要素も忘れず、感動的な物語に再構築されていました。

ことに、音楽の要素を、物語の核心として、大切に扱われているのを感じました。

ラジオドラマとしての、大きなアドバンテージであり、冒険だと思います。

我らがThe Bandage Club Bandの音楽が、現実にラジオを通して聴けるというだけで、驚きですし、感動します。

包帯クラブのメンバーたちの歌が、ラジオからどんな風に流れ、それを聴いて、どんな風に感情が揺さぶられるのか……本当にわくわくしています。

『包帯クラブ』を知っている人も、知らない人も、ふだんラジオドラマに興味がないという人も、きっと素晴らしい体験になると思います。

一人だけれど、きっと一人ではないという想いを胸に……ラジオの前で、一緒に耳を澄ませてみませんか。

【出演者】      

高畑こと美 百瀬朔 久井正樹 八幡みゆき 

清田みくり 横山友香 米山千陽 木下政治

山縣美礼

【原作】

天童荒太

【脚色】

三國月々子

【音楽】

滝澤みのり

【あらすじ】

誰かが辛い思いをした場所に包帯を巻きつけ、人の心の痛みを共に感じようと活動を始めたワラ(高畑こと美)、ディノ(百瀬朔)、ギモ(久井正樹)ら、6人の高校生。彼らはそれぞれに傷ついた少年少女だ。苦しい時には「助けて」と声を上げてもいいじゃないか!戦わないで、傷つけないで自分自身の大切なものを守りたい、そんな思いで始めた「包帯クラブ」。あれからから16年。その活動は、「バンデイジ・クラブ」として世界中に広がっている。互いの痛みを認め合い、周囲を巻き込みながらも成長していく彼らの姿を描く。