演出の吉田です。
9月3日(土)から始まりましたFMシアタ-『ヘルプマン -俺たちの介護物語- 』。
このシリーズはFMシアター「初」の連続5回!
10月8日(土)まで若き介護士たちが「理想の介護」を目指し、巨大社会福祉法人マンモス・ケアとたたかいます(聴き逃し配信は10月15日まで)。
お楽しみに!
今回は、第1回で沢田千鶴子役を演じていただいた左時枝さんからのメッセージです。
10月8日(土)の最終回では町田チヨ役を演じられます。お楽しみに!
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【左時枝さん メッセージ】
「ヘルプマン」てなんなんだろうと首を捻りながら台本を読み続けました。思わず25年程も前の事が私の胸の中で蘇ってきました。
私の母のことですが、時間を見つけては母が入居していた施設に1週間に一度洗濯物を取りに行く事が決められていて、そこで母と話をしたり歌を唄ったりするのです。合間を見つけて近くのファミレスに行き、美味しいものを食べるのが習慣でした。
途中信号で立ち止まった時、
当時私は、少し大きめのカメラを持っていたので、
「お母さん」と声をかけるとまるで幼女の様な笑顔を見て、思わず、
「お母さん可愛いい」と口から出てしまいました、その時の母から帰ってきた言葉は、
「お母さんを写そうと思って、カメラを持ってきたあんたの気持ちが嬉しい。」と言ったのです。時々思いもしない言葉を発するので、時々、ノートに走り書きしていたことがあります。
母は明治の生まれ、あの厳しい時代を8人も産み育て生活苦にも負けず、生きてきた人です、2人でいる時に、しみじみと呟いた言葉は、今でも忘れられません。
「苦しかった事が、本当に苦しかったのか、楽しかった事が
本当に楽しかったのか、今では分からん」と、当時まだ元気だった主人に母の言語録を聞かせた時、主人は、
「歳をとったら、神様に近づくんだね」と、
このヘルプマンのドラマをお聴きになった方はきっと、懐かしく思い出される事が沢山あるかもしれません、ね。
左時枝でした。
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第1回、千鶴子先生のお芝居、いかがでしたか?
元・高校の国語教師でプライドが高い。少しでも子供扱いされたら、介護のすべてを拒絶する。トイレ誘導さえ拒否、その場でおしっこをもらしてしまう……そんな沢田千鶴子さんには、どんなお芝居をされても、かわいらしさある左時枝さんしか思いつきませんでした。
僕がラジオドラマをはじめて脚色・演出したのは1993年、青春アドベンチャー『ふたり』。
『ふたり』では左さんには主人公・北尾実加の母・北尾治子をお願いしました。番組後半で岸部一徳さん演じる夫・雄一の不倫からだんだんと精神が歪んで、狂気の世界に入っていく……名優の芝居とはこういうものか……今でもスタジオの光景を覚えています。
狂気を演じながら「このくらいがいいかしら」とその分量をケロッと聞いてこられるところに、ご本人のかわいらしさが残っていて、そこがとても悲しく、尊い。今でも、その印象は変わりません。臈長けている。
台本をお送りして、「千鶴子さんは私だと思います」とお返事をいただいとき、ホッとすると同時に、はやく、現場でお芝居を見たい! その焦燥感にかられました。
そのお芝居は……第1回の聴き逃し配信をお聞きいただけないのが、残念でならない。
しかし、第1回だけでは名残惜しすぎる左さんには、最終回で、在宅介護を受ける町田チヨさんという役をお願いしました。
お芝居のひと声、ひと声が、語尾の感情のにじませ方まで、どうすればこういうお芝居ができるのか? 現場、編集室、スタジオで何度拝聴しても、名優の芝居が持つ崇高さを、新鮮に感じます。
左時枝さんの最終回、名優のお芝居、ご期待ください。
FMシアター「ヘルプマン-俺たちの介護物語-」(全5回)
~ひとは最後まで輝き続ける~
【NHK-FM】
2022年 9月 3日(土)よる10時~10時50分(第1回「ヘルプマン覚醒!」)
(第1回と第2回の間のみ1週間あきます)
2022年 9月17日(土)よる10時~10時50分(第2回「希望は、あるか?」)
2022年 9月24日(土)よる10時~10時50分(第3回「極楽へ行こう!」)
2022年10月 1日(土)よる10時~10時50分(第4回「告発」)
2022年10月 8日(土)よる10時~10時50分(最終回「そして、夢へ」)
★「聴き逃し」配信あり(放送から1週間)
【原作】
くさか里樹
【脚色】
井出真理
【介護指導】
加藤忠相(第1回~第3回)
鈴木真(第4回・最終回)
【ホストクラブ指導】
手塚マキ
【スタッフ】
制作統括 : 藤井靖
技術 : 山賀勉 大塚茂夫 山田顕隆 木本耕平
音響効果 : 菅野秀典
選曲 : 石原慎介
演出 : 吉田浩樹
【出演】
浅利陽介 渡部豪太 瀧内公美
かたせ梨乃 高田聖子 小手伸也 左時枝
高橋長英 市毛良枝 津田寛治 片岡礼子
大方斐沙子 藤本沙紀 蔵下穂波 渡部紗弓
梅沢昌代 朝倉伸二 永嶋柊吾 小山剛志
野村昇史 名取幸政 有福正志
高間智子 福井裕子 三沢明美 元井須美子
園山敬介 外崎友亮
【あらすじ】
介護に「夢」を持つ若き3人の介護士、恩田百太郎、神崎仁、小池桃代が「理想の介護」を目指し、介護のマニュアル化を進めるマンモス・ケア・グループと闘う連続5回シリーズ。
介護の現場は慢性的な人手不足……その問題を解消するため、社会福祉法人マンモス・ケアは食事・入浴・排泄の三大介護の「完全マニュアル介護」を推し進める……食事・入浴は個別に対応せず、トイレ誘導拒否なら紙オムツ。
しかし、それで利用者さんは幸せなのか? 利用者さんに喜んでもらわなければ、俺たちだってツマんねぇだろうが!?
デイケアで、特別養護老人ホームで、そして在宅介護の各現場で、若き3人の介護士は、家事・内職はじめ、利用者さんの希望をかなえる「個別ケア」で「理想の介護」を目指す。
ホストのヘルプから介護のヘルプマンへ。百太郎たちの介護物語が始まる。