5月20日(土)夜10時から放送のFMシアター『扉を開ければ そこは』、全出演者の皆さまからの声をお届けしています。
【奥田一平さん】メッセージ
僕はラジオドラマを収録するスタジオの空気感がたまらなく好きです。
音響効果を高めるために部屋中が防音素材で作られていて、そこに流れる空気は「無色」なんで
す。
それが、芝居や人が纏う雰囲気によって様々な色に変わります。
明るいシーンでは朗らかな空気に
怒りのシーンでは荒々しく
そして、芯に迫る演技や、思わず涙してしまう演技の際には
その台詞以外の雑音が一切流れず、聴き入ってしまう。
現場にいる全員の集中力が研ぎ澄まされて、一点に集まるあの空気感が好きなんです。
今回の現場でも、その空気がジェットコースターのように目まぐるしく変化する収録でした。
楽しくお聴き頂ければと思います。
たしかに普通の劇場や稽古場にはある声の残響というものがが、音声スタジオにはありません。
どこともつかない「無色」な空間で発せられる声をマイクを通して録音し、そこに車の走行音だったり、海の波風や鳥の鳴き声だったり、居酒屋の喧騒だったり、さまざまな効果音を重ねることによって場面を作っていきます。
声の反響すら奪われた特殊な環境で、ご自身の想像力を頼りに状況設定を踏まえた演技をして下さる俳優さんの身体感覚……。若手時代から継続的にオーディオドラマにご参加いただいているお芝居巧者の奥田さんならではの卓見、非常に興味深いです。
『扉を開ければ そこは』キャストボイス、次回は中村彰男さんからのメッセージをお届けします。
『扉を開ければ そこは』(全1回)
~世界は俺を置き去りにして、どんどん先へと進んでいく。~
【NHK FM】
2023年5月20日(土)午後10時~午後10時50分(全1回)
★「聴き逃し」配信あり(放送から1週間)
【出演者】
平埜生成 鈴木壮麻 毬谷友子 奥田一平
中村彰男 細見大輔 常住富大 岩男海史
【作】
細見大輔
【音楽】
木原健太郎
【スタッフ】
技術:増子留偉
音響効果:太田岳二
制作統括と演出:藤井靖
【あらすじ】
2年前、プロジェクトのリーダーを任されたものの思うように結果を出せず、皆の前で上司に罵倒されたことをきっかけに会社を辞め、自宅の離れのプレハブ小屋に閉じこもるようになった礼文(平埜生成)は、もう2年もオンラインゲームに明け暮れる毎日。ゲームで一緒に闘うメンバーが、今の人間関係のすべてだ。
息子のことを案じながらも、どうすることもできず見守る父・則夫(鈴木壮麻)と、小屋に食事を運び続ける日々を嘆く母・雅美(毬谷友子)。この現状を抜け出すため則夫は、ちょっとフツウじゃない家族旅行を計画する……。「第36回NHK名古屋放送局 創作ラジオドラマ脚本募集」で佳作入賞した脚本をオーディオドラマ化。