2/6(月)から5回にわたって放送の青春アドベンチャー『マクロプロスの処方箋』、今日は鈴木壮麻さんからのメッセージをご紹介します。
【鈴木壮麻さん メッセージ】
「マクロプロスの処方箋」の舞台は、中世の街並みが至る所に息づく世界で最も美しい都市の一つと誉れ高いプラハ。僕も大好きな街だ。その中心を南北に貫くヴルタヴァ川沿いにそびえるのは荘厳な国民劇場。主人公エミリアの切なくも魅惑的な歌声が響き渡るところだ。何と素敵な設定だろう!
作者カレル・チャペックは、チェコ語の使用が抑圧されていたハプスブルクの支配下を経て連邦国家として歩み出した母国の激動の時代を生きればこそ、彼ならではの独特な視点でこの幻想的な作品を産み出したように思う。
永年の時空間の響きを宿した大空ゆうひさんの変幻自在な声音を核として、僕ら世俗の人間たちの種々の声が人間の業を色濃く映し出しながら作品を織り成して行く様は、まさにラジオドラマの現場ならではの醍醐味!実際、精鋭なスタッフの方々と共に演者六名で紡いで行くこの物語の収録は、緊張感を持ちつつも、まるで誰もがムードメーカーのような和やかで楽しい瞬間の連続でした。是非、お楽しみに!
思えば中欧、東欧を舞台にした作品にご出演いただく機会が多い鈴木壮麻さん。
ウィーンを舞台にした『帝冠の恋』の収録の際、「シェーンブルン宮殿は庭みたいなもの」と場を和ませて下さった記憶があります。ミュージカル『エリザベート』で皇帝フランツ・ヨーゼフを演じられていた経験からの冗談でした。
作品の世界観から舞台となる都市の空気感まで踏まえつつ、いつも笑いの絶えない現場にすべく心を砕いて下さる頼もしい存在です。本番の一瞬に集中力を高めてベストパフォーマンスを発揮するため、その合間には、隙あらば誰かが面白い発言をしてリラックスに努める…。そのリズムが良いお芝居に連鎖的につながっていくのでしょう。
今回の役はヤロスラフ・プルス男爵。100年争われた裁判の当事者であり、単なる世襲貴族ではなく野心的で、「大人の男」の余裕を湛える自負心にあふれた企業家でもあります。
『マクロプロスの処方箋』キャストボイス、次回は音くり寿さんのメッセージをお届けします。
『マクロプロスの処方箋』(全5回)
~エミリア・マルティ。あなたには何か秘密がある……!~
【NHK FM】
2023年2月6日(月)~2月10日(金)午後9時15分~午後9時30分(1-5回)
★「聴き逃し」配信あり(放送から1週間)
【出演者】
大空ゆうひ 音くり寿 鈴木壮麻
石橋徹郎 大久保祥太郎 林次樹
【原作】
カレル・チャペック
【訳】
阿部賢一
【脚色】
鈴木アツト
【音楽】
日高哲英
【スタッフ】
技術:林晃広
音響効果:野村知成
制作統括と演出:藤井靖
【あらすじ】
1922年プラハに現れ、人々を魅了するオペラ歌手エミリア・マルティ(大空ゆうひ)。エミリアに憧れ、自らも歌手を志すクリスティナ(音くり寿)は、ある100年に及ぶ裁判をきっかけに、彼女の秘められた過去に興味を持つが……。
もし死を克服して長命を可能にする不老不死の技術を手にすることができたとしたら、それは人間の存在に何を突きつけるのか? 『山椒魚戦争』など寓意的な想像力に富んだ作風で知られ、『ロボットRUR』ではロボットという概念を創唱したチェコの国民的作家カレル・チャペック(1890-1938)による先駆的な戯曲をベースに、劇作家・鈴木アツトによるオリジナル脚本でオーディオドラマ化。