6/20(月)から二週にわたって放送の青春アドベンチャー『黒い瞳のボヘミアン』、出演者の皆さまからのメッセージをお届けしてまいります。
今回のトップバッターは、saraさんです。
【saraさん】メッセージ
小さいとき、父とのドライブで流れていたラジオの音。
いつの間にか眠ってしまう私を、遠くに聞こえる楽しいラジオの音が、いつも優しく起こしてくれました。
上京してからは、ひとりでラジオを聴くように。
今度は静かな語りのオーディオドラマを聴くのが好きになりました。
私だけじゃなくて、どこかで同じようにこのお話に耳を傾けている人がいる。
その人もまた、大切な誰かのことを考えているのかな。
そう思うと、耳を傾けることで広がる輪が、もしかしてその知らない誰かと繋がっていたりして…と妄想が広がっていきます。
いつ離れ離れになるか分からない激動の時代を生き、運命に翻弄されようとも互いの愛を信じ続けるローズと一孝の想いは、ままならない今の時代を生きる私たちの胸にも訴えかけてくるものがあります。
1日15分、この作品に耳を傾けるひとときが、誰か大切な人を想う時間になったら素敵だなと思います。どうぞ、お楽しみください。
今回の舞台は19世紀末パリ。華優希さん演じるヒロインのローズが踊り子を務めることになるキャバレー・パピヨンルージュで、海宝直人さん演じる日本人青年と出会うところから動き始める物語です。saraさんに演じていただいたのは、ローズの同僚マリ役。
ちょっと蓮っ葉な口調で、たくましく世の中を渡るマリをチャーミングに造形してくれました。きっと聴いて下さった方は、やや低めの印象的なsaraさんのハスキー・ヴォイスを覚えてしまうことでしょう。これからのご活躍が楽しみな演劇界のホープです。
メッセージでsaraさんが触れて下さったとおり、ラジオを通じて、ひとつの物語を見知らぬ遠くの誰かと同時に聴くこと。さらに1日15分ずつ物語を受け止めながら日常の時間を過ごすことには、独特の感覚があります。
今は1週間の「聴き逃し配信」によって、まとめて追いつくこともできます。それも含め、まるで同じ劇場の客席に座って時間を共有しているような気持ちになれたという感想をいただくと、わが意を得たり!という歓びに包まれます。
『黒い瞳のボヘミアン』キャスト・ボイス、次回は桜咲彩花さんからの声をお届けします。
『黒い瞳のボヘミアン』(全10回)
~まなざしが、世界を止める。あたしを向こう側へ解き放つ。~
【NHK FM】
2022年6月20日(月)~6月24日(金)午後9時15分~午後9時30分(1-5回)
2022年6月27日(月)~7月1日(金)午後9時15分~午後9時30分(6-10回)
【出演者】
華優希 海宝直人 伊礼彼方 桜咲彩花
sara林次樹 村井成仁 大滝寛
皆本麻帆 鍛治直人 金沢映実
井手柚花 安藤紬
【作】
山谷典子
【音楽】
関向弥生
【スタッフ】
技術:今井雄基 林晃広
音響効果:野村知成 新井未央
制作統括と演出:藤井靖
【あらすじ】
舞台は19世紀末のパリ、“ボヘミアン”と呼ばれる貧しい芸術家たちが集うキャバレー・パピヨンルージュ。安酒と絵の具の臭いと欲望にまみれた街。倦怠、退廃、新しい芸術の息吹が混然一体となって毎夜ばか騒ぎが繰り広げられる。新入りの踊り子ローズ(華優希)は、男たちの視線を浴びて激しく踊ることで、たった一人の最愛の妹を貧しさと病気で喪った過去を胸に押し込め、虚しさをやり過ごしている。以前は空中ブランコのスリルで紛らわせていたが、落下事故が元でサーカスを辞め、この店に来た。そんなローズのモノクロームの世界が、日本人青年カズタカ(海宝直人)の出現によって大きく動き出し、鮮烈な色彩を帯びていく……。