演出の吉田です。
7月3日(月)よりギャビン・ライアル『深夜プラス1』が始まります。
元イギリス諜報部ルイス・ケインはフランス・ノルマンディーからリヒテンシュタインまで72時間後の深夜零時まで武器商人マガンハルトを送り届ける……。しかし向かう先々で、警察、ガンマンが現れ、行手をはばまれる……。
そのマガンハルトの秘書ヘレン・ジャーマン役、清水葉月さんからメッセージをいただきました。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
【清水葉月さん メッセージ】
わたしが演じたヘレン・ジャーマンは、育った環境と背負ったものの大きさに負けないくらいの優しさと逞しさを持ち合わせた女性でした。
物怖じせず、少々勝ち気な女性ではありますが、
どんな立場であれ、彼女自身が目の前の人と真摯に向き合い、寄り添い、自分の頭で考え、自分自身の声を素直に聞けることが彼女の強さに感じました。
そしてケイン、ハーヴィーと出会い、自分の生き方を見つけていく姿に、人と関わることを諦めてはいけないなと学びました。
収録現場では、この物語が抱える重たくデリケートな部分を、演出の吉田さんがどの人物にも愛情を注ぎ、寄り添い、指揮してくださいました。
それに応えるよう、登場人物ひとりひとりがそれぞれの角度から懸命に向き合い、自分の思う正義と悩み戦いながら生きていく、生き抜く様子を共演者の皆さんと呼吸を合わせて挑みました。
マイクの前に立つと、みなさんの声と吉田さんの熱い想いによって、ひとりで台本と向き合い準備し想像していたものを一瞬で超えてしまう瞬間ばかりで、心動かさずにはいられませんでした。
あの場で渦巻いていた熱気はとてつもないものでした。
わたし自身、完成をとても楽しみに、放送日を待っています!!
どうか、たくさんの方に届きますように。
傷つくことを恐れ、
人と関わることをどうか諦めませんように。
感じていただけたら嬉しいです。
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★
清水葉月さんはとても不思議な雰囲気を持つ俳優です。
僕がはじめて清水さんのお芝居を観たのは、5年前の2018年、「イキウメ」という劇団の公演でした。舞台の上に立つ清水さんの存在感とそのコケティッシュなお声のギャップがたまらなくてたまらなくて……僕の目はずっと清水さんにくぎ付けになっていました。
清水さんにはじめてご出演いただいたのは、その公演の翌年2019年の青春アドベンチャー『北海タイムス物語』の北国、北海道でアイヌの血を引く社会部の記者・浦ユリ子さん。ちょっと胸が詰まる役で、どこか謎を秘めた存在感はやはり素敵でした。
そして、今回は、武器商人マガンハルトの養女であり、秘書であるヘレン・ジャーマン……。僕が『深夜プラス1』を読んだのは高校時代です。何とも言えない雰囲気の絶世の美女が、ガンマンたちと旅を続ける中、男たちと軽口をたたくようになり、父親のもとを離れ始め、物語の最後でついにリムジンのアクセルを踏む! その瞬間、高校生の僕はヘレン・ジャーマンのとりこになりました。
たった三日間の旅ですが、その中で、「少女」から大人の女性になっていくヘレン・ジャーマン……清水さんに演じていただいて、高校時代、ヘレンに恋した感動が胸によみがえってきました。
名優・清水葉月さんのお芝居、お楽しみに!
青春アドベンチャー「深夜プラス1」(全10回)
【NHK-FM】
7月 3日(月)よる9時30分~ 第1回「ロンドンから来た男」
7月 4日(火)よる9時30分~ 第2回「死の商人マガンハルト」
7月 5日(水)よる9時30分~ 第3回「墓標の村ディナダン」
7月 6日(木)よる9時30分~ 第4回「ヘレンの叫び」
7月 7日(金)よる9時30分~ 第5回「戦争の犬たち」
7月10日(月)よる9時30分~ 第6回「ジネット・ド・マリス」
7月11日(火)よる9時30分~ 第7回「スイスへ」
7月12日(水)よる9時30分~ 第8回「フェイ将軍」
7月13日(木)よる9時30分~ 第9回「要塞」
7月14日(金)よる9時30分~ 最終回「リヒテンシュタイン」
【出演者】
古河耕史 津田寛治 浅野和之 千葉雅子
清水葉月 山崎たくみ 石井愃一 朝倉伸二
長森雅人 梅沢昌代 平松來馬 児島功一
銀河万丈
【原作】ギャビン・ライアル
【訳】鈴木恵
【脚色】池谷雅生
【スタッフ】
制作統括:藤井靖
技術:山賀勉 木本耕平
音響効果:加藤直正
選曲:石原慎介
時代考証:大森洋平
演出:吉田浩樹
【あらすじ】
元イギリス諜報部員ルイス・ケイン(古河耕史)が受けた依頼は、シンプルなものだった。
武器商人マガンハルト(浅野和之)と秘書のヘレン・ジャーマン(清水葉月)をフランス・ノルマンディーからリヒテンシュタインまで送り届ける。
タイムリミットは72時間後の深夜零時1分……。
ボディーガードのハーヴィー・ラヴェル(津田寛治)とともにリヒテンシュタインを目指すが、なぜか次々と警察、ガンマンが現れ、彼らの行く手をはばむ。
ケインのかつての恋人、伯爵夫人ジネット・ド・マリス(千葉雅子)の手助けでスイスに入国。謎の情報屋、フェイ将軍(石井愃一)と取り引きの末……リムジンの轟音とどろかせ、リヒテンシュタイン国境突破を試みる!