6/20(月)から二週にわたって放送の青春アドベンチャー『黒い瞳のボヘミアン』、出演者の皆さまからのメッセージをお届けしております。今日は、海宝直人さんの登場です。
【海宝直人さん】メッセージ
青春アドベンチャーの収録が終わって、収録を思い返すと、見たことがあるはずのない街の景色や部屋の風景、触れたことのないはずの肌の温もりや香りが鮮やかに蘇る、そんな不思議な経験をします。
音だけで世界を生み出すオーディオドラマ。人間の想像する力を実感する瞬間です。
今回、絵描きの日本人青年、一孝を演じさせていただきました。
人生が変わってしまうような出逢いと、創作への情熱…
彼が経験する、水面に反射してきらきらと輝く光のような瞬間が鮮明に心に残っています。
今回もローズ役の華さんをはじめとした素晴らしいキャストの皆さんとご一緒して、とても楽しく刺激的な収録となりました。
さらに効果音や関向さんの音楽が入ってどのような世界が広がるのか、僕自身も楽しみです。
皆様も是非、オーディオドラマならではの無限の想像の世界で物語をお楽しみください!
今年は元花組トップ娘役の華優希さんと共演していただきました。
ミュージカルやコンサートの舞台、そして「青春アドベンチャー」でも昨年の『1848』での真彩希帆さんや『ベルリン1989』の咲妃みゆさん、『暁のハルモニア』の朝夏まなとさん、『斜陽の国のルスダン』の花總まりさん・・・など、すっかり元タカラジェンヌとご縁が深まっている海宝直人さん。
今回演じていただくのは、遠く日本からパリを訪れた青年カズタカ。華優希さん演じる踊り子ローズとカズタカが絵画をめぐって交わす対話は、それぞれに舞台人として“演じること”を突き詰めてこられた華さんと海宝さんによるセッションのようで、熱を帯びた場面になりました。習い覚えた流暢で丁寧なフランス語で喋る日本人青年カズタカを想像しながら、ドラマの展開に耳を傾けていただければと思います。
海宝さんは『ノートルダムの鐘』や『レ・ミゼラブル』でパリとご縁が深いのもさることながら、2018年にロンドンのウェストエンドで舞台のメインキャストを務められたり、第二次大戦下のアメリカの日系人を描いた『アリージャンス』に参加されたり。ここ数年で海外における日本人のあり方について思いを深めてこられたことと思います。
時代設定が19世紀末で、日本人青年と踊り子という組み合わせからは、没後100年・生誕160年を迎えた明治の文豪・森鷗外の代表作『舞姫』を連想されることでしょう。1890年に発表された『舞姫』には1880年代の鴎外・森林太郎自身のドイツ留学の体験が反映されています。海宝さん演じるカズタカを、エトランゼとして迎えるパリの人々の側から描く今回のドラマは、ちょうど『舞姫』と逆の視点になるわけです。
『黒い瞳のボヘミアン』キャストボイス、次回は主人公ローズを演じていただいた華優希さんからの声をお届けします。
『黒い瞳のボヘミアン』(全10回)
~まなざしが、世界を止める。あたしを向こう側へ解き放つ。~
【NHK FM】
2022年6月20日(月)~6月24日(金)午後9時15分~午後9時30分(1-5回)
2022年6月27日(月)~7月1日(金)午後9時15分~午後9時30分(6-10回)
★「聴き逃し」配信あり(放送から1週間)
【出演者】
華優希 海宝直人 伊礼彼方 桜咲彩花
sara林次樹 村井成仁 大滝寛
皆本麻帆 鍛治直人 金沢映実
井手柚花 安藤紬
【作】
山谷典子
【音楽】
関向弥生
【スタッフ】
技術:今井雄基 林晃広
音響効果:野村知成 新井未央
制作統括と演出:藤井靖
【あらすじ】
舞台は19世紀末のパリ、“ボヘミアン”と呼ばれる貧しい芸術家たちが集うキャバレー・パピヨンルージュ。安酒と絵の具の臭いと欲望にまみれた街。倦怠、退廃、新しい芸術の息吹が混然一体となって毎夜ばか騒ぎが繰り広げられる。新入りの踊り子ローズ(華優希)は、男たちの視線を浴びて激しく踊ることで、たった一人の最愛の妹を貧しさと病気で喪った過去を胸に押し込め、虚しさをやり過ごしている。以前は空中ブランコのスリルで紛らわせていたが、落下事故が元でサーカスを辞め、この店に来た。そんなローズのモノクロームの世界が、日本人青年カズタカ(海宝直人)の出現によって大きく動き出し、鮮烈な色彩を帯びていく……。