演出の吉田です。
4月3日(月)から始まる青春アドベンチャー『シャドー81』。
まず放送開始が、よる9時30分、と変わります。どうぞご注意ください。
物語はベトナム戦争の時代、新型の戦闘機TX75Eがロサンゼルス空港を飛び立った旅客機PGA81便をハイジャック。原子力潜水艦との戦いあり、F-4ファントムとの戦いあり、原作を思い切りパワーアップしたアクションが全10回、炸裂(さくれつ)します。
今回、ハイジャックされるPGA81便のパイロット、バートン・ハドレー役、古河耕史さんからメッセージをいただきました。
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【古河耕史さん メッセージ】
調べてみると、ハドレー機長の年齢ならば十代で第二次世界大戦があり、その後の繁栄と栄光の60年代に社会人となったと思われます。
そこで、俳優の先輩方の中でも高度経済成長期に働き盛りを迎えられた方々を思い出し、その雰囲気や気風をちょい足ししながら演じてみました。
収録現場では戦闘機のパイロットを演じる機会もあり、急加速急旋回に耐える興奮を味わいました。一方で、機長の芝居は会話の相手がほとんど無線の向こうだったので、現場でも相手の表情の見えない場所で収録しました。今まであまり経験のないことだったので、非常に面白かったです。
そんなこんなで目の回るような展開を、演出の吉田さんが最終的にどんな作品に仕上げられたのか。僕も今から楽しみで仕方ありません。
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1973年、ストックホルムで実際あった銀行強盗の事件から(あの時代は、こうした事件やハイジャックが本当に多かった!)「ストックホルム症候群」は、人質にされた被害者が犯人とある心理的なつながりを築くことを指しますが……。
この1972年設定の「シャドー81」は、ハイジャックするグラントとされる側のハドレー機長は、拘束下のストレスから共感を抱く「ストックホルム症候群」とは違って、互いの信条から真の友情を抱くにいたる男たちのドラマです。しかし、この状況下で、その友情をストレートに表現しては噓になる。
シブい男であり、抑制の効いた芝居で、その背後にある感情を表現できる俳優となると古河耕史さんです。
はじめはグラントに反発するハドレーですが、いくつもの試練をともに乗り越えていく中で、友情を育む。だが最終回になってもそれを出さず抑制するところが、古河さんの恐ろしいところ。自分の見せ場として感情を出すところを出さない。逆に「何を思っているんだろう」とこちら側の関心を引き寄せてしまう懐の深い俳優です。
古河さんには第1回から戦闘機のパイロットとしてもご出演いただきました。そこには47歳のシブい男ではなく、古河さんの実年齢に近い若々しい飛行機乗りがいます。
ほぼ毎回、違った役を演じていただいているので、そちらもどうぞお楽しみに。
ただ声は同じでも、キャラクターから変えて演じられているので、もしかして分からないかもしれないところが、また恐ろしい俳優です。
青春アドベンチャー「シャドー81」(全10回)
【NHK-FM】
4月 3日(月)よる9時30分~ 第1回「プレイボール」
4月 4日(火)よる9時30分~ 第2回「即時、停戦せよ!」
4月 5日(水)よる9時30分~ 第3回「誇りのために」
4月 6日(木)よる9時30分~ 第4回「季節外れのサンタクロース」
4月 7日(金)よる9時30分~ 第5回「原子力潜水艦、浮上せよ」
4月10日(月)よる9時30分~ 第6回「待ち伏せ」
4月11日(火)よる9時30分~ 第7回「サンタクロースの正体」
4月12日(水)よる9時30分~ 第8回「ファントム・アタック」
4月13日(木)よる9時30分~ 第9回「ドッグ・ファイト」
4月14日(金)よる9時30分~ 最終回「ラスト・ダンス」
【出演】
落合モトキ 陰山泰 朝倉あき 小山剛志
銀河万丈 古河耕史 千葉雅子 山崎たくみ
朝倉伸二 政岡泰志 澤田育子 福森加織
児島功一 伊達暁 小坂幸乃
【原作】ルシアン・ネイハム
【脚色】三上幸四郎
【音楽】和田貴史
【軍事考証】菊池雅之
【スタッフ】
制作統括 : 藤井靖
技術 : 山田顕隆 浜川健治
音響効果 : 菅野秀典
時代考証 : 大森洋平
演出 : 吉田浩樹
【あらすじ】
ベトナム戦争末期1972年10月、ロサンゼルスからハワイに向かう旅客機PGA81便がハイジャックされた。犯人が乗るのは米空軍の最新鋭戦闘機TX75E。コールサインはシャドー81。だがその戦闘機は旅客機の死角に入り、決して正体を現さない。
ハイジャック犯の要求は、ベトナム戦争の即時停戦。地上ではシャドーの仲間がサンタクロースの扮装で銀行、宝飾店を襲撃し、ニクソン大統領はじめ政府、軍、FBIを翻弄、やがてサイレントマジョリティーであったはずの民衆が反戦への声を上げ始める……。
戦争停戦のため、シャドー81は原子力潜水艦、F4ファントムと死闘を繰り広げ、その先に意外な事実が浮かび上がる。
国家による戦争への痛烈な批判とともに息詰まるサスペンスが全10回展開される!