伝統つなぐ木組みの街 トロワ/フランス

NHK
2022年5月31日 午後9:00 公開

初回放送 2022年5月31日

撮影時期 2022年 3月

  語り キムラ緑子

中世、フランスのシャンパーニュ地方の中心都市として栄えたトロワ。旧市街には中世の雰囲気を残す、木組みの建物が多く残ります。木のぬくもりに包まれて、伝統を大切につないで暮らす人々に出会います

◆街の基礎情報

  • 場所    フランス北東部
  • 人口    61996(旧市街・新市街)2018年現在
  • 景色    旧市街には「コロンバージュ」という木組みの建物が立ち並ぶ。
  • 人々    穏やかで優しく、ちょっと控え目
  • 産業    繊維業・観光業など
  • 街の交通  電車、バスなど
  • 行き方   日本〜パリ(直行便で約12時間)パリからは電車で約1時間半。
  • 通貨    ユーロ、1ユーロ=約138円(2022年5月11日現在)

◆街の歩き方

歩き始めは旧市街の中心から。にぎわいを見せる市場に向かうとシイタケを売るキノコのお店や、生きたニワトリを売るお店を発見!トロワの名産・アンドゥイエットの味を守る親子にも出会います。地元でも狭くて有名な「猫の小道」を抜けた先では、ワインの試飲会にも参加。運河沿いをのんびり歩き、大聖堂の裏では16世紀の木組みの家に招き入れてもらいます。夕方は、再び旧市街の中心へ。100年続く店を守る母娘、街のおいしいものを歌にして盛り上がる陽気な楽団と地元の人々とふれあいます。

◆街を歩いてみて<ディレクター談>

木組みの建物がシンボルのトロワですが、観光地化されすぎず素朴な雰囲気を残しているのが魅力です。出会った人々も素朴で優しい人たちばかり。老若男女が集うバーに常連のおじいさんがやって来ると皆で手助けして、温かく迎え入れている光景が印象的でした。

◆街のなりたち

トロワは12世紀から13世紀にかけて、西と東の交易の重要な拠点として栄えた街。歩いて1時間ほどで回れる旧市街には、教会が10もあり、当時の繁栄をうかがうことができます。豊かな森林に囲まれていたトロワでは、木組みの家が多く建てられました。しかし、1524年の大火でその多くは焼失。現在目にすることができるのは、火事の後に再建されたもの。17世紀には防火のために建物の正面を覆うよう勅令が出ますが、1990年代からは石こうなどを剥がし、木の梁(はり)を表に見せる修復が行われています。

◆出会い

街の「アンティークショップ」

店の前にいろいろな商品が並んでいるのを発見し、中に入ってみると、店内にはあふれんばかりに品物が並んでいました。トロワ出身のご主人が「すべての物には魂が宿っていて物語がある、そして物語の詰まったトロワで仕事ができて幸せだ」と話してくれました。

街の「木組みの家に暮らす家族」

レトロな看板を発見し、何かのお店?と近づいてみると、中に入っていく男性が。聞けば、ここは男性の家族が住む家なんだそう。「木は生きているから、家も私たちと一緒に生きているように感じるわ」と奥様が話してくれました。

街の「陽気な楽団」

ご機嫌な歌に引き寄せられて行ってみると、レストランの外で3人組の楽団とノリノリで歌うお客さんたちの姿が。歌っていたのは、トロワの名産のお酒の歌。トロワのおいしいものを歌にして盛り上がる街の人々。皆さんの街への愛が伝わってきました。

◆グルメ

【第1位】子牛のシャンパン煮込み

トロワの家庭料理。子牛とたまねぎやにんじん、ハーブなどを煮込んで取ったスープで、バターや小麦粉を伸ばし、そこへシャンパンを注ぎ入れます。子牛や野菜を戻し、1時間半ほど煮込んだら完成。優しい味の一品です。

(材料費7人前)50ユーロ  (約6900円)

【第2位】プリュネル酒入りティラミス

プリュネルという果実の種から作る、トロワ名産の「プリュネル酒」。これを、マスカルポーネチーズと生クリームと一緒に泡立てたクリームを入れて作る、ティラミス 。ほろ苦さの中にも、プリュネル酒の甘みが引き立ちます。

14ユーロ(約 1900 円)

【第3位】スズキのロースト シャンパンソース

白とロゼ、2種類のシャンパンを使う、見た目もきれいな一品です。ローストしたスズキに、生クリームでとろみをつけて泡立てた白のシャンパン入りのソース、ロゼのシャンパンと寒天で作ったベールをかけます。シャンパンの風味が効いていて、味も絶品です。

32ユーロ(約 4400 円)

◆ちょっとより道

フルーリー・ラ・リビエール ~ブドウ畑に“海”!?~

トロワから車でおよそ1時間半。シャンパンの産地として知られる小さな村です。この村に、海がある!ということで探しに来たものの・・・辺りは一面のブドウ畑。貝の看板を頼りにある建物に入ってみると、招かれたのは洞窟のような場所。大きな貝の化石があちらこちらに並んでいます。実は4500万年前、ここは海だった場所で、大きな貝はこの場所から掘り出したものだと教えてもらいます。この場所で採れるブドウから作るシャンパンには、海の香りが移っているそう。ブドウ畑の真ん中でいにしえの海に出会います。

語り:片桐仁