初回放送 2023年1月17日
撮影時期 2022年11月~12月
語り 松田洋治
イタリア半島のつま先に当たるカラブリア州。その中心のレッジョ・カラブリアは古代ギリシャの時代から栄えてきた宝石のような街。歴史を誇りに、不屈の精神で再生を繰り返してきた街の人々と出会います。
◆街の基礎情報
- 場所 イタリア南部
- 人口 約18万(2017年現在)
- 景色 イタリア半島のつま先の部分。メッシーナ海峡を挟んでシチリア島が見える
- 人々 不屈の精神を持つ
- 産業 農業、製造業、観光業など
- 街の交通 バス、タクシー
- 行き方 羽田からローマへ直行便で約15時間。ローマからレッジョ・カラブリアまでは国内線で1時間強
- 通貨 ユーロ、1ユーロ=約142円 (2023年1月11日現在)
◆街の歩き方
駅からメインストリートのガリバルディ通りを進んでまずは街のシンボル、アラゴネーゼ城を目指します。魚屋さんには貝専用の洗濯機があったり、肉屋さんの店先では豚1頭分を豪快に煮ていたり、おいしそうな出会いがたくさん!歌声に誘われてのぞいた建物の中では伝統楽器の演奏で子どもたちが民族音楽を練習していました。海岸沿いの「イタリアで最も美しい1キロ」と言われる通りからシチリア島に沈む夕日を眺め、夜の広場では“イタリア最高”のストリートフードに遭遇。街の歴史を愛する人々と出会います。
◆街を歩いてみて<ディレクター談>
取材中「ナカムラ!」と何度も声をかけられました。かつてレッジーナにいた中村俊輔選手のことです。サポーターの集会所には彼の写真が今も飾られ、芸術的なフリーキックについて熱く語る人たちがいます。この街がぐっと身近に感じられるようになりました。
◆街のなりたち
レッジョは、ギリシャ、ローマ、ビザンツ、ノルマンとさまざまな時代を経てきました。中でも古代ギリシャの影響は大きく、哲学からオリーブオイルに至るまで偉大なるギリシャの文明がこの地を経てローマに伝えられたのです。街の歴史を語る上で避けて通れないのが度重なる大地震です。特に1783年の地震は街の形を激変させました。避難しやすいまっすぐな道で碁盤の目に整理された街並みは、風通しも良くなり衛生環境が向上。都市計画によって整備された、当時世界最先端の街となったのです。
◆出会い
街の「フリットレ」
豚のあらゆる部位をラードで煮込むフリットレは、街中の肉屋さんが味を競う名物料理。でもこの店の調理担当・ロッコさんの本職は刃物の研ぎ師です。フリットレづくりは長年の趣味で、腕を買われて協力するようになったそう。炭火を使うのが彼のこだわりです。
街の「私設博物館」
街の目抜き通りで、1878年創業のお店を見つけました。1908年に街は大地震に見舞われましたが、現在のご主人の祖父や曽祖父ががれきの山と格闘し、数々の美しいものを子孫に残しました。往時のレッジョの優雅な文化を語り伝える博物館のようです。
街の「フードトラック」
夜の住宅地で揚げピザを売るかわいい車。店主のジョヴァンニさんは6年前、15年暮らしたローマから故郷のレッジョへ戻ってきました。長年都会で過ごすうちにふるさとの魅力を再認識したのだそう。生地から仕込むピザは大人気で、深夜まで客足が絶えません。
◆グルメ
【第1位】ンドゥイヤ
ペースト状のサラミで、材料は豚肉、塩、たっぷりのトウガラシ。専用の器具でちょっと温めてパンに塗ったりして食べます。新大陸から伝わったトウガラシは気候が似たカラブリアに深く根づき、この街の人々にとって辛味は欠かせないものになったんだそう。
€10〜17/kg (約1,400〜2,400円)
【第2位】ストッコのストロンカトゥーラ
ストッコとはノルウェー産の干しダラのこと。11世紀にカラブリアを支配したノルマン人から伝わり、農民を中心に広く定着しました。ザラザラとした食感のパスタ、ストロンカトゥーラがソースと絡んで、最高のおふくろの味です。
€15 (約2,100円)
【第3位】ベルガモットのカクテル
アールグレイ紅茶の香りづけにも使われるベルガモットは街の特産品。主に香水などに使われてきましたが、最近は美食の世界でも注目されています。海の近くで育った柑橘(かんきつ)ならではの風味はカクテルの香りを高め、爽やかさを際立たせてくれます。
€7〜12(約1,000〜1,700円)
◆ちょっとより道
ペンテダッティロ~美しきゴーストタウン!?
ペンテダッティロはレッジョ・カラブリアからタクシーで40分。不思議な形の岩山に張り付くように家々が並ぶ小さな村です。一度は廃虚になりかけたけれど、近ごろ移り住む人が増えているそう。生ハムからチーズまで自給自足で暮らすご婦人、16年間毎日他の街から通って猫の保護活動をしている男性、1年前から村に住み始め、インテリアのお店を開いた女性。岩山の絶景に囲まれた美しきゴーストタウンには、ゆったりとした時間が流れていました。
語り:濱田マリ