初回放送 2022年3月29日
撮影時期 2022年1月
語り 田畑 智子
シチリア島の西端、地中海に面したトラーパニ。漁業が盛んで、毎朝とれたての魚介を売る船上市場がにぎわう。旧市街には、アラブなどがこの地を治めた歴史の足跡が。港町でのんびり楽しく暮らす人々とふれあいます。
◆街の基礎情報
- 場所 イタリア、シチリア島の西端
- 人口 約6万8000(2019年)
- 景色 青い空、青い海、歴史ある建物が多く残る街
- 人々 のんびり、明るい、街を愛している
- 産業 漁業
- 街の交通 電車、バス
- 行き方 シチリア州都のパレルモからバスで2時間、電車で4時間
- 通貨 ユーロ 1ユーロ=約129円(2022年3月現在)
◆街の歩き方
シチリア島の西端に位置し、地中海に突き出した形の港町。船着場から街の先端に向けて歩くと、小さな船がたくさん。地元の人たちが所有するボートが並んでいます。さらに西に向かって歩いて行くと、漁船の上で漁師たちがとれたての魚を売る即席の市場が。毎日新鮮でとれたての魚を求めて、多くの人が集まります。街の中心に位置する旧市街では、荘厳なヨーロッパの建築と、細い道が入り組んだアラブ風の街並みを楽しめます。ネコも多いので、いろいろなネコとも出会えます。
◆街を歩いてみて<ディレクター談>
海と、あったかいお日様のもと、のんびり暮らす優しい人たちの街、というのが街を歩いた実感です。港で出会った人は日なたぼっこで“骨”を乾かし、カフェで演奏を楽しむ人は“100曲演奏する?明日までかかるけど”と本当にのんびり暮らしていました。
◆街のなりたち
シチリア島の西端に位置し、紀元前から地中海交易の要衝の街。ローマやアラブなどさまざまな国が治めてきました。トラーパニには各国を魅了するお宝があり、その一つが、塩。さんさんと輝く太陽と温暖な気候、地中海から吹き込む風が塩作りに最適。大粒でクリスタルのような塩は、世界中に輸出されています。もう一つは、地中海のダイアモンドと呼ばれる赤サンゴ。11世紀ごろにサンゴ漁が始まり、16世紀には加工産業も全盛を迎えます。多くの職人が宝飾品を生み出し、ヨーロッパ各国との交易品となり、トラーパニの経済を支えました。
◆出会い
街の「漁師」
港町の朝に彩りを加える漁船市場。漁港にずらりと並んだ漁船の上で魚を売っています。毎日深夜から漁に出て朝一番で魚を売る漁師たち。「何もとれない日は疲れるけど、全部がうまくいくと疲れも吹き飛ぶよ」と言っていました。そうだなーと共感しました。
街の「旧市街の仲よし3人組」
歴史的な建物が残るトラーパニ。旧市街のメイン通りで出会った仲良し3人組。通りの角にある時計塔の時間が止まっている?と聞くと「時計が止まっていても、生きていける」と話していました。とてもステキなスローライフがそこにありました。
街の「アーティスト」
シエスタ中のカフェで演奏する男性たち。聞けば30年以上アマチュアとして活動しているんだそう。レパートリーは100曲以上。最後に「トラーパニのマリア様の歌」を演奏してくれました。何事も楽しみ、豊かな時間が流れる街を体感させてくれました。
◆グルメ
【第1位】カッサテッレのスープ
リコッタチーズにイタリアンパセリと塩こしょうを加えて軽くまぜて、シチリア産の硬質小麦粉の生地に乗せて、優しく包みます。シチリアの太陽のもとで育った野菜たっぷりのスープで煮込んだら出来上がり。素朴で優しい味が口の中に広がります。
1000円ほど。家庭料理を特別に作ってもらいました。
【第2位】トラーパニペーストとクロマグロのカラスミのスパゲッティ
まずはパスタソース。新鮮なトマトとニンニク、アーモンド、バジルをすりつぶし、ゆでたての手打ちスパゲティにからめます。そして、地中海のクロマグロから作ったカラスミをスライスしてたっぷりパスタにのせたら完成。濃厚でありながらさっぱりいただけます。
約1300円ー2000円程度。
【第3位】魚介のクスクス
アフリカ発祥のクスクスですが、海を渡りトラーパニで独自の進化を遂げました。地中海産の魚をトマトペーストと一緒に1時間以上煮込み鍋から取り出したら、身を砕きながらクスクスにかけて、最後に布をかぶせ蒸したら完成。地中海のうまみが凝縮しています。
約1000円ー2000円程度。
◆ちょっとより道
ネブロディ州立公園~幻の豚探し~
トラーパニから車で3時間。シチリア島の東側3県にまたがる広大なネブロディ州立公園。ここでしか生息しない品種の豚を探します。シチリアの山の中で半野生で暮らす豚。かつて絶滅の危機に瀕しましたが、農家の努力でその数が徐々に回復。専門家によると現在は1500頭ほどだそう。向かったのは幻の豚を飼育する農家さん。早速案内してもらうと、そこにはさまざまな動物たちが暮らす豊かな自然とシチリアの絶景が広がっていました。
語り:木村祐一