白い町街道 アルコス・デ・ラ・フロンテーラ/スペイン

NHK
2022年4月19日 午後9:00 公開

初回放送 2022年4月19日

撮影時期 2022年2月

  語り    草刈正雄

スペイン南部、アンダルシア地方。白一色の町が連なる街道の入り口がアルコス・デ・ラ・フロンテーラ。コロナ禍を耐え抜き、前を向いて、大好きなことに熱中する人々と出会う。

◆街の基礎情報

  • 場所    スペイン南西部
  • 人口    3万 (2018年現在)
  • 景色    高い丘の上の旧市街に白い建物がぎっしり立ち並ぶ
  • 人々    陽気で困難があっても前向き
  • 産業    観光
  • 街の交通  旧市街はミニバスやタクシー ただし車が通れる道は限られる
  • 行き方   日本からはヨーロッパ主要都市を経由してマラガ空港へ。空港から車でおよそ2時間30分。
  • 通貨    ユーロ 1ユーロ=135円(2022年4月現在)

◆街の歩き方

丘のふもとの新市街から長い階段を上がって旧市街へ。真っ白な建物がぎっしりと並ぶ坂道を歩くと、壁には鉢植えが、通りにはテラス席が並び、彩りを添えています。街のシンボル、サンタマリア大聖堂の近くには展望台があり、美しい田園風景を堪能できます。迷路のような路地を歩くと、仲むつまじいヤシの葉職人のご夫妻や、中庭を囲んで暮らすご近所さんたちとの出会いが。皆陽気でフレンドリー、そして自分にとって大切なものを大いに自慢してくれます。

◆街を歩いてみて<ディレクター談>

ヨーロッパ在住の常連スタッフが撮影。1人だけ日本からオンラインで参加するリモートロケでした。坂や階段を上らずして、あたかも自分が旅をしたような気分です。街の人たちに画面越しに挨拶をすると「いつか来てね!」と笑顔で手を振ってくれました。

◆街のなりたち

白い町街道の玄関口として名高い、アルコス・デ・ラ・フロンテーラ。「アルコス」と呼ばれるようになったのは、古代ローマ時代。ラテン語で「高い所にあるとりで」という意味です。「フロンテーラ」とは「国境」。何世紀にもわたり、キリスト教徒とイスラム教徒が領土をめぐりせめぎ合ってきました。8世紀から13世紀、アルコスを支配したイスラム勢は、防衛のため入り組んだ路地を作りました。白い壁はもともと暑さを防ぐためと言われています。迷路のような路地と白い家並みは、今では多くの観光客を魅了しています。

◆出会い

街の「中庭」

白い壁が続く階段を歩いていると、開いている扉を発見。奥には壁に囲まれた中庭があり、洗濯物が干してありました。パティオと呼ばれる中庭はこの地方の特徴。お邪魔した建物は修道院を改築したそうで、パティオを囲んで3世帯が仲良く暮らしていました。

街の「洞窟」

「家に洞窟がある」と案内されたお宅。中庭から長い抜け穴をくぐると、崖の中腹にぽっかりと開いた洞窟に出ました。洞窟から見えるのは絵のような風景。イスラム兵が遠くの味方にたいまつで合図を送っていたという歴史を聞いて、さらに驚きです。

街の「聖週間」

「聖週間」はアンダルシア地方で最も大切なキリスト教の祭りです。祭りのハイライトでは、山車に聖像を載せ急な坂道を練り歩くのだそうです。新型コロナの影響により2年連続で中止となったため、今年こそはと、女性の山車チームも練習に励んでいました。

◆グルメ

【第1位】イベリコ豚のプレッサステーキ

スペイン原産の黒豚、イベリコ豚のプレッサという部位のステーキ。プレッサは肩ロースの一部で、絶妙な霜降りが特徴。シンプルに塩で味を付け、鉄板で5分ほど焼きます。生ハムと一緒に頬張るのがおすすめです。

10ユーロ  (約1350円)

【第2位】エル・アバハーオ

イスラムの時代から続く伝統料理。ニンニク、タマネギ、ピーマンを炒め、野生のアスパラガス、トマトソースとフライドポテトも入れて煮込み、最後にパンと卵を載せます。野菜メインでもボリュームたっぷりの一品。

3ユーロ   (約400円)

【第3位】1分で干しダラグラタン

スペインの国民食・干しダラがメイン。型の中に生ハム、炒め玉ねぎとともに詰めてチーズをトッピング。アリオリソース(ニンニク入りマヨネーズ)と、パセリが入ったオリーブオイルをかけてオーブンで軽く焼いたら出来上がり。

 3ユーロ  (約400円)

◆ちょっとより道

青い村フスカル

アルコス・デ・ラ・フロンテーラから車で南東へ2時間。白い街や村が点在するアンダルシア地方にただ一つの「青い村」がフスカルです。家並みも、小学校も、レストランのクレープまで全部「青」。不思議に思って事情を聞くと、村が青くなったのはわずか11年前。もともとは白い村だったのですが、アニメ映画の宣伝イベントのために期間限定で村中の建物を青く塗ったら、観光客が大勢訪れ村が活気づいた。そこで住民投票をして青いままにすると決めたのだそう。おかげで村は今でも人気の観光スポットとなっています。

語り:濱田マリ