(2023年5月6日の放送内容を基にしています)
<「いじめ予防」に取り組む現場に密着>
大阪・吹田第六小学校、3年2組。24人が学ぶ教室で、全国でも珍しい取り組みが行われていました。
いじめを未然に予防するための特別授業。欧米で効果を上げているプログラムを日本流に変えて、子どもたちに伝えています。
授業では毎回、先生たちが子どもたちの前で劇を演じます。集団で1人を仲間はずれにしている様子を見せて、何がいじめにつながっていくのか考えてもらいます。
自分たちの日常に目を向け、考えを深めていく子どもたち。
教室で小さな“いじめの芽”が見つかると、先生と子どもたちが一緒になって、向き合います。
全国のいじめの認知件数は2021年度、61万5千件あまり。2022年、自ら命を絶った児童や生徒は514人。いずれも過去最多となりました。
しかし、日本のいじめ対策は、事態が悪化してからの「事後対応」がほとんどで、事前に予防する取り組みは進んできませんでした。
こうした中はじまった、3年2組の挑戦。私たちはこのいじめ予防の取り組みに、4か月間密着しました。
見えてきたのは、どこにでもある“いじめの芽”を摘み取ろうと模索する、子どもたちと先生の姿です。
逃げずに向き合うことで、いじめはなくしていける。
子どもたち24人の成長の記録です。
<「いじめ予防」に取り組む吹田市の小学校>
大阪府・吹田市。人口38万の大阪のベッドタウンです。
吹田市は、市内の小学校で明らかになった重大ないじめ事案をきっかけに、3年前からある取り組みを始めました。
子どもたちの命を守るための「いじめ予防授業」です。
吹田市立教育センター/草場敦子所長(当時)「その時その時に、必要なことをやってきたとは思うんですが、それではダメだったっていうことが、いま結果としてあるから、何か違うアプローチをしなくちゃいけない。一学校じゃなくて一学級じゃなくて、この取り組みを吹田市全部でやっていく。子どもの命をきっちりと守りきる」
吹田市のいじめ予防授業は、欧米で効果が実証されているプログラムに基づいています。
3つのステップを繰り返し学び、いじめが起きにくい教室を目指します。対象は市内の公立の小中学校、全54校。小学1年生から中学3年生まで、9年間のプログラムです。
プログラムを導入した学校の1つ、268人の児童が通う吹田第六小学校。私たちは、プログラムが始まる2022年12月、3年2組の教室で取材を始めました。
この学校では、タブレット端末を通じて、子どもたちと先生が毎朝、やりとりします。子どもたちは、専用のアプリに今の自分の気持ちなどを入力。先生に相談したいことがあれば、誰にも知られることなく伝えられます。
タブレット端末の取り組みは吹田市内の5つのモデル校で実施。
担任の北村麻以加先生は教員になって、12年になります。
3年2組担任/北村麻以加先生「これは子どもたちの気分を表していて、緑が穏やかな気持ち、青がちょっと疲れていて、赤がちょっとイライラしているというのを表しています。朝の遊びでもめごとがあって、ちょっとイライラしている子が何人かいます。しゃべっていると普通だったけど、『何かあったんやな』と、すぐ感じ取れるので」
<いじめ予防の土台は 自分の中の“シンキングエラー”に気づくこと>
2022年12月1日。3年生になって初めてのいじめ予防授業です。授業は3月まで、3つのステップに沿って行われました。
3年2組の24人は、1年生の時からこの授業を受けてきました。
北村先生「皆さん、いじめとはどんなものだったか」
授業は毎回、「いじめとは何か」を確認することから始まります。
児童「関係がある子ども同士」「相手に対して何らかの行動があり」「された子どもが、心や体につらさや痛みを感じているもの」
子どもたちが読み上げたのは、法律が定めるいじめの定義をやさしく言い換えたもの。
自分や友達がつらさや痛みを感じたら、いじめかもしれないと考えることにつながります。
北村先生「いじめがひどくなる時のキーワード」
児童「シンキングエラー」
北村先生「シンキングエラーとは」
児童「間違った考えのこと」
予防授業の最初のステップは、“シンキングエラー”を学ぶこと。いじめを予防する上で、土台となるキーワードです。
たとえば、『自分がやられたことは、相手にやり返してもいい』、『他の人もやっているから、やってもいい』。
いじめの多くは、こうした様々なシンキングエラー、「間違った考えや思い込み」によって行われています。
授業で重視しているのは、自分の中の“シンキングエラー”に気づかせること。子どもは、自分の言動を客観的に捉えることがまだ難しいため、劇を見ることで学んでいきます。
この日は、校長先生も参加して、ある“シンキングエラー”から、いじめが始まっていく様子が演じられました。
C「あ、これ読みたかった本」
A「ちょっとやめとき、それ。ばい菌ついてる」
C「え、やめとくわ」
B「ばい菌って言わんといてほしい」
D「なんでBさんのことばい菌って呼ぶん?」
A「だってBさん、前に私のこと嫌がらせしたもん。だから、ただ仕返ししてるだけやで」
北村先生「はい、ということで、いじめだと思う人?なんでいじめだと思う?」
児童「仲間はずれにした」
児童「AさんがBさんにしたことは、いじめっぽいから?」
児童「なんでいじめっぽいと思ったん?」
児童「菌とか言うとったから」
子どもたちは、当事者たちの気持ちを想像することで“シンキングエラー”について、少しずつ考えを深めていきます。
児童「AさんがBさんに、ばい菌とか仲間はずれにしたり、Bさんが傷つくようなことをしてたから」
児童「Aさんが嫌なことしたから、仕返しだと思ってやったのが、シンキングエラー」
北村先生「シンキングエラーね、誰の中にでも可能性があるものです。大事なのは自分の中に、『こんなシンキングエラーがあったな』って、認めて直していこうとする心なので、あるからってそれが恥ずかしいことでも、間違ったことでもないのでね」
子どもたちは、授業の最後に、いじめをなくしていくために自分に何ができるか、心に浮かんだことを書き留めます。
「できるだけ優しい言葉を使って、きずつかないようにがんばります」
「自分がやられたことは、相手にしかえしをしないようにする」
実はこのクラスでは2学期に入って、子どもたちの間で小さなもめ事が起きるようになっていました。
担任の北村先生は予防授業を通じて、いじめに発展することを防ぎたいと考えていました。
北村先生「実際にクラスにいじめがあった時って、すごくクラスの雰囲気も重たくなるし、なかなかこっちの言葉が届きにくかったり、すごく時間もかかるし、後手後手になってしまうのが、プログラムがあると、エピソードもそうですけど、知識として『こういうことがあるかもしれないよ』とか、これからの知識、予防として話ができるのは大きいかなって思いますね」
<担任にも子どもにも ひとりで抱え込ませない>
学校では、いじめにつながりかねない事態が起きると、担任だけでなく校長を含め、必ず4人以上の先生で対応にあたります。担任ひとりの経験則だけに頼らないためです。
さらに、全教職員でも情報を共有。子どもにも先生にも、問題をひとりで抱え込ませないことを、方針に掲げています。
吹田第六小学校/田渕久美子校長「いじめられている子がいるし、いじめという形で何かを訴えている加害の子どもがいるから、本気であたるためには、やっぱり1人では絶対に負担なんです。クラスでどんなことが起こっても、必ずその担任任せにはしない。やっぱり人の命に関わる問題のひとつでしょ、いじめって。最悪の事態になるとそうなってしまうので、究極。そのところはやっぱり、学校は大事にしてるよって」
2学期の終業式。翌日から冬休みに入るこの日、ある出来事が起きました。
3人の子どもたちを廊下に呼び出した、北村先生。
「その場にいない友達の名前を病名にして、ふざけていた」と、目撃した子どもたちから相談があったからです。先生のいない休み時間に起きた出来事でした。
北村先生「陰でコソコソ言ったって、それは解決せえへんで」
児童「あの人さ、めっちゃ声でかくなるしさ、頭痛い」
北村先生「大きな声がしんどいねんな」
児童「やめろって言ったのに、やめてくれへん!」
北村先生「だから悪口言うんか。だから傷つけていいんか」
児童「だって思ってる人いっぱいおるで」
北村先生「みんながそうやからするんか。それも“シンキングエラー”やろ。君たちの気持ちは解決したいけど、いじめていい理由にはならんから。それは許されないこと」
児童「じゃあどうやって解決するの?」
北村先生「だからそのためには、まず誰かに相談をして、一緒に話し合いを」
児童「それは嫌やねん」
北村先生「なんで嫌?」
児童「何もしてくれへん。学校は何もしてくれへん」
北村先生「と思ってんねんな。それはちょっと信じて欲しいな。あなたのことを、ほんまに何もしてへんと、あなたを叱りつけて終わってるで。でもそれをしたくないのは、あなたの気持ちがあるのを先生分かってるから」
話し合いは30分続きました。
「学校は何もしてくれない」と言った子どもたち。北村先生は、時間をかけて、向き合っていくことにしました。
北村先生「『いじめられた気がしたからやり返した』とかも、『シンキングエラーやな』っていう話をしたら、『そうやな』ってすぐ落ちてはいたので、学んだこと、伝えたことは、その子たちの中にあって、だからこそ悪いって分かってるけど、でも自分の気持ちはどうしたらいいか分からないっていう、葛藤の中でのやりとりだったなと、話し合いをしていて思いました」
その一方で、北村先生は周りで見ている子どもたちに働きかけることで、状況を改善させたいと考えていました。
<勇気が出ない・・・ 周囲の子どもが行動することの難しさ>
3年2組の2回目のいじめ予防授業。
北村先生は、周囲の子どもたちが行動することの大切さを伝えることにしました。
まず取り上げたのが、プログラムの中で「やはた行動」と呼ばれている、被害者がいじめを受けたときの具体的な対応策です。
「や」やめて、と言う。「は」その場をはなれる。「た」周りの大人にたすけを求める。
この「やはた行動」を、被害者だけでなく周囲の子どもたちも積極的に行うことで、いじめの芽を摘むことができると、北村先生は子どもたちに語りかけました。
北村先生「『た』を使う時に、誰に助けを求められそうですか?」
児童「先生に言う」
児童「家の人」
児童「校長先生」
北村先生「この人がいいよじゃなくて、誰か助けを求められ、困ったことがあったら、その人に言おうって思っておくことが大切だと思います」
授業の終盤、言いにくい本音を口にした男の子がいました。
つむぐくん「先生!あえて助けを求めないっていう選択肢もあるんですか?それでいいんですか?助けを求めたら、いじめが悪化するかもしれないから、しない方がいいかなと思いました」
クラスのムードメーカーでおしゃべりが好きな、つむぐくん。いじめを目の当たりにした時のことを想像して、出てきた言葉でした。
北村先生「先生としては何か困ったことがあったら、助けを求めてほしいなと思う。それは悪いことでも、ずるいことでもないので」
つむぐくん「いじめを見た時に、実際あったらどうしようかなと思った。(いじめの)なりかけは見たことがあった気がするねん」
取材班「どうだった?行動できた?」
つむぐくん「いや、できなかったと思う。怖いっていうか、勇気とかないかなと思う」
取材班「難しい?」
つむぐ「難しい、ちょっと難しい」
北村先生「周りで見ている子たちも、何かしら思っていたりするし、同じように傷ついている子もいたりするし、当事者だけの問題じゃなくてクラスの問題として、それぞれの子たちに何ができるかというのは、絶対に忘れてはいけない、絶対になんとなくでやってはいけない問題だと思いますね」
<いじめ予防のカギは「傍観者」>
周囲の子どもたちに働きかけることで、いじめの芽を摘んでいくアプローチは、実は、海外の研究で効果が科学的に裏付けられています。
30年にわたり、いじめ予防の研究を行ってきた、アメリカ・クレムゾン大学のリンバー教授です。
社会心理学では、いじめが起きたときに周りにいる、被害者でも加害者でもない子どもは「傍観者」と呼ばれています。この「傍観者」こそが、カギを握っていると言います。
クレムゾン大学/スーザン・リンバー教授「多くの生徒は、いじめを見て見ぬふりをしています。傍観者である彼らを、どうにか助ける側へと変えていきたいのです」
「傍観者」は、いじめ事案の8割以上に存在していることが、研究で分かっています。(注1)
傍観者の74%は、加害者に同調するような態度を示しますが、いじめを面白がっているのは、30%にとどまります。(注2)さらに、傍観者が、いじめを止めるために行動すると・・・。57%のいじめが、10秒以内に収まったことが報告されています。(注3)
クレムゾン大学/スーザン・リンバー教授「いじめをする子どもは、自分が他人を支配する力があると感じています。大多数がいじめに反対していることを示せば、彼らの行動は変わります。いじめから何も得られなくなり、いじめをする意味がなくなるからです。すべての人の行動を変えることは難しいですが、一握りでも傍観者を変えることができれば、学校内の力関係を変化させ、多くの子が安心して過ごせるようになります」
<授業で“行動する傍観者”を増やすために 先生たちの模索>
1月。北村先生にとって、気がかりなことが起きていました。
全児童を対象に学期ごとに行っている、いじめに関するアンケート。その中で複数の子どもたちが、「クラスにいじめがあると思う」と回答したのです。
学校では回答の内容にかかわらず、先生が手分けして、すべての子どもたちから話を聞きます。
取材を許可してくれた子どもたちの聞き取りの記録です。
先生「ここのこと詳しく教えてほしいんだけど、『いまあなたのクラスでいじめがあると思いますか?』は『ある』に丸してる。『見た』って書いているので、詳しく教えてください。何を見ました?」
児童「なんか『邪魔』みたいな感じで言うというか、椅子で挟むような感じになってて。なんか知らないけど、椅子をこうグッと押してくる」
先生「机と椅子に挟まれるわけね」
児童「大げさにめっちゃ避けたり」
先生「避けたりするのは、どれぐらい見たことある?」
児童「めっちゃ見たことある」
先生「いちばん最近、いつぐらいに見たん?」
児童「きょうも」
子どもたちが語ったのは、クラスの中で起きている複数の嫌がらせ。エスカレートさせないために、予防授業の中で発言してもらえないか、たずねました。
先生「授業でできたらいいかなと思うねんけど、そういう時に、自分の意見とか言ってくれる?」
児童「うん、できます。いや、でもできるのとできへんのと」
先生「みんなの前でも言える?」
児童「いや、どうやろ・・・言えることと言えへんことと、区別あるからな」
先生「なんで言いにくい?」
児童「うーん、『ほんとに?』とか『別にそれぐらいいいんやん』って言われて、心が傷つく可能性があるから、あまり言いたくない」
一方で、「いじめをなくすために、すでに動いている」と先生に伝えた子どももいました。
ケガをしたクラスメイトの帰り支度を手伝っていた、しゅなちゃん。面倒見のいい、しっかり者です。
先生「しゅなは(本人に)言うてくれんねんな、『なんでそんなんするん?』って」
しゅなちゃん「だってママに『いじめを止めろ』って言われるから」
先生「でも、それであなたがつらくならないようにはしよう」
しゅなちゃん「つらくなっとるわ。傷ついていくばっかやから、じゃあもう止めんとこかって、一回思っててんけど・・・」
しゅなちゃんは、いじめにつながる芽を感じると、幼なじみのひかりちゃんと一緒に声をかけたり、先生に相談したりしてきました。一方で、状況があまり変わらないことを悩んでいました。
しゅなちゃん「先生にも一応言ってるねん。でも3日ぐらい経ったら、またいじめて直らへんくて、じゃあほんまどうしたらいいのって思って。それさえなくなったらさ、みんなでさ、楽しくさ、できるわけやし」
ひかりちゃん「いじめがなくなったら」
しゅなちゃん「みんな仲良い感じで遊んでるし。いじめをなくしたいだけ」
2月。次のいじめ予防授業の日が近づいていました。
北村先生は、クラスの中の“いじめの芽”に対処するために、「行動できる傍観者」の具体的なイメージを、子どもたちに示したいと考えていました。
北村先生「“傍観者”、つまりいじめを見ているだけの人と、何とかしたいなって思っている人に分けられるよっていう話しをして、いじめのないクラスを作るために、どうしたらいいかを考えていこうっていう話を目標として据えたいと思っています」
今回の劇は、北村先生の提案で、先生自身の子どもの頃の経験がもとになっています。
いじめ予防授業に、ひときわ強い思いを抱く北村先生。かつて、いじめで苦しんでいた教え子の助けになれなかったという思いを抱え続けています。
北村先生「いじめが絡んでくる出来事は、今までも何回かあったんですけど、全部が悩んだし、もちろん一番しんどいのは子どもたちだから、そこにどれだけ力になれてきたかなって。全然なれてないなと思うこともいっぱいあったし、そのことは振り返っても、いまだにどうしたらよかったんやろうって答えも見つからなくて、あの子どうしてるかなって思ったりとか、元気だったらいいなと思うことしかできないんですけど」
予防授業の当日。劇は、涙や鼻水がついた机を、掃除の時間に運ぶかどうかを巡って、展開します。
D「あー、ちょっとちょっと、その机、触らんほうがいいよ」
E「そうやんなぁ」
誰も机を運ぼうとしない中、1人の子どもが行動します。
C「ちょっと何してるん?時間なくなるから、はよ運ぼう」
D「その机Bさんのやから、触らんほうがいいよ」
C「なんでなん。私そんなん嫌いやし、なんでそんなん言うん?」
A「ちょっと、来て来て」
C「なに?」
A「なんでCさんってさ、Bさんと仲良くするん?Bさんってさ、よう泣くし、泣くだけやったらいいけど、鼻水出て汚いやん」
C「だからってさ、そんなんBさんの机だけ運ばへんとか、そんなんあかんと思うけど。やっぱりなんかおかしくない?明日先生に相談するわ!」
先生たちの劇を見た直後、考え込んでいた女の子がいました。控えめで恥ずかしがり屋の、まりのちゃんです。
まりのちゃん「ほんまのいま起こってるいじめと一緒やなと思って。まりのは机運んでるし、でも助けてはいないから。知らないふりしてると思う。自分ももしかしたら、次いじめられるかもしれへんから、言いたいけど、言えへん」
授業の最後、北村先生は、自分では正しいと思っている考え方でも、シンキングエラーになりうると語りかけました。
北村先生「きょうのエピソード、ちょっと複雑だったでしょ?実はこれ先生の子どもの時の本当の話なんです。クラスの中で、ほとんどの人がこっち(いじめに加担する人)やってん」
児童「先生はどっち側だったんですか?」
北村先生「先生は、きょうやったまさにこの役(いじめに加担する役)やってん」
児童たち「えーっ!?」
北村先生「先生は自分のシンキングエラーに気づいていません。だから、なんなら親切のつもりで言いました。『その机、誰々さんのやから運ばんほうがええで』。でもその時に、その子はなんて言ったかというと、『私そんなん嫌いやから』って言って運んでいきました。それで先生は、自分のシンキングエラーに気づいて、すごく自分が恥ずかしいことしてた、間違ってたってことに、そのとき気づいて、そこから先生はこっち(いじめを止める人)に行くようにした。みんなも間違うこともあるかもしれないけど、それは別に悪いことではない。ただ、気づいた時に、変えていってほしいなというのが先生の願い」
前回の授業の後、「勇気が出ない」と語っていたつむぐくん。
つむぐくん「ヒーローっぽかった。いじめられた人を助けてたのが、自分にもできるかなって考えてた。次またそんな場面を見たら、言ってみようと思います」
授業の後、北村先生のもとに駆け寄った、まりのちゃん。同じようなことがこの教室でも起きていると、初めて打ち明けました。
まりのちゃん「まりのは思った時でも、あまりそういうことを言わへんから。あとから『言っておけばよかったかな』って思う時があるから。またそういうことが起きるかもしれへんから、変わろうかなって思った」
授業の後、子どもたちが綴った言葉です。
つむぐくん「自分がこまったときに、先生に言ったり、友だちをあだ名で呼ばないなら、できると思います」
まりのちゃん「一人ぼっちの友だちをできるだけ少なくしたいと、お話しを見て思った」
注1:Hawkins,Pepler&Craig,2001
注2:Craig&Pepler,2001
注3:Hawkins,Pepler&Craig,2001