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新型コロナ 全論文解読2〜AIで迫る 終息への道〜

NHK
2021年4月27日 午後7:33 公開

<新型コロナ 全論文解読2>

番組のエッセンスを5分の動画でお届けします

感染力の強い変異ウイルスが、全国に広がる中、いよいよ始まった高齢者へのワクチン接種。感染拡大はこれからどうなるのか?今後の道筋を探る強力な武器は、NHKが開発した人工知能「AI」。読み込ませたのは、世界中の研究者たちが次々と発表している、新型コロナウイルスに関連する「全論文」です。その数、25万本以上。今後の行方を左右する、最先端の情報が浮かび上がりました。日本でも接種が始まったワクチンの、意外な効果。急増する変異ウイルスの本当の恐ろしさ。果たして、ワクチンは変異ウイルスの猛威に打ち勝てるのでしょうか?全論文解読と世界最強の頭脳で迫ります!

(2021年4月18日の放送内容を基にしています)

・全論文AIで「ワクチンvs変異ウイルス」を解読する

・イスラエルから見えた!N501Y変異にも効くワクチンのヒミツとは?

・ワクチンで後遺症が改善!?科学者も想定外の効果

・ワクチンを回避!? E484K変異の実態とは?

・変異ウイルスに対応するワクチン戦略

・どうなる日本の終息?最新予測シミュレーション

<全論文AIで「ワクチンvs変異ウイルス」を解読する>

田中裕二さん(爆笑問題)「前回放送の全論文解読は、冬場の感染拡大のリスクについてお伝えしました」

太田光さん(爆笑問題)「あと、後遺症に苦しむ人が増えそうだとかもいち早くお伝えした」

桑子真帆アナウンサー「この人工知能による全論文解読。膨大な論文情報の中から、いま何に注目すべきなのか、確からしいことは何なのかなどを示してくれる、いわば『道しるべ』です」

桑子アナ「画面の小さな点の1つ1つが、すべて新型コロナウイルスに関連する論文を示しています」

桑子アナ「高い山で示された論文ほど、いま多くの研究者から引用されて注目されている研究。赤い山は、すべてワクチンに関する論文です。イスラエルでは、去年12月からファイザー社のワクチン接種を急速に進めています。まさに日本のこれからを先取りするような国・イスラエルの最新論文を読み解くと、「変異ウイルスにワクチンは効くのか」という、今もっとも気になる疑問の答えが見えてきました」

<イスラエルから見えた!N501Y変異にも効くワクチンのヒミツとは?>

3月末、ロックダウンが解除された直後のイスラエルでは、街やビーチにマスクを着けず外出を楽しむ人たちがあふれています。2回の接種を終えた人には、政府がグリーンパスポート(ワクチン接種証明書)を発行。これを持つ人は、商業施設の利用やイベントへの参加、飛行機を利用した旅行なども許可されています。

実はイスラエルでは、感染者の8割近くが「N501Y」変異ウイルスに感染した状況で、ワクチン接種が始まりました。N501Y変異ウイルスは感染力が4~9割上昇。死亡率も6割高まるとも報告されています。日本国内でも、N501Y変異がすでに全国で確認され、急速に感染が拡大しています。このやっかいな変異株にワクチンはどれほど効くのか?全論文解読で調べると、イスラエルのワクチン接種に関連する論文は40本以上。うち9本が、ワクチンを接種した人たちの実データをもとに有効性を調べたものでした。中でも、イスラエル国民120万人という圧倒的なデータを解析した論文に注目が集まっています。それによれば、N501Y変異のウイルスが蔓延した状況でも、ワクチンが感染を防ぐ有効性は92%。たとえ感染しても発症を防ぐ有効性は94%でした。さらに、70歳以上の高齢者や、肥満の人、糖尿病・高血圧などの基礎疾患がある人に対しても有効性の高さは変わりませんでした。

イスラエルでワクチン接種が始まったのは、感染者が増え始めていた12月20日。ロックダウンを続けながらワクチンの接種を進め、1か月後に高齢者のおよそ8割が1回目の接種を終えたあたりから、多い時には1日1万人を超えていた新規感染者が急速に減少。最近では200人近くにまで減り、ロックダウンが解除されました。

ラン・バリツェル教授(クラリット研究所 ディレクター)

「有効性はもう少し低いと思っていました。だから本当に驚きました。今回のワクチンの高い効力は、1年以上続いた暗闇の先に見えてきた希望の光です」

「メッセンジャーRNAワクチン」と呼ばれる今回のワクチンは、まさに医学の常識を覆す発明でした。新型コロナウイルスの「遺伝情報」の一部を大量に増やし、それを脂の膜で包んだものをワクチンとして接種します。筋肉注射によって体に入ったワクチンは、筋肉の細胞に取り込まれます。

しばらくすると、何かが筋肉の細胞から次々と出てきました。これは、筋肉の細胞の中でウイルスの遺伝情報を元に作られた「新型コロナウイルス表面の突起」。

突起を察知した免疫細胞は、「抗体」という飛び道具を作り始めます。

本物の新型コロナウイルスが侵入した時には、抗体がウイルスの突起に付着して、ウイルスが細胞に感染するのを防ぎます。でも、これだけで終わらないのが今回のワクチンの大きな特徴。ワクチンを取り込んだ筋肉の細胞が、今度はウイルスの突起ではない「別のもの」を放出し始めました。

これは、感染したことを周囲の免疫細胞に伝える、いわば「警報物質」(インターフェロン)。ワクチンに入っていたのはウイルスの遺伝情報の一部だけなのに、それを取り込んだ筋肉の細胞は「本当に感染した」と勘違いして警報を発することが分かりました。

この警報物質によって活性化するのが、免疫の最強戦士「キラーT細胞」です。

次々と臨戦態勢を整え、いざ本物の新型コロナに感染した細胞を見つけると、細胞ごと破壊。ウイルスの増殖を阻止します。今回のワクチンは、こうして「抗体」と「キラーT細胞」という2つの武器を強く呼び覚ますことで、強力なN501Y変異ウイルスでも抑え込むことができると考えられるのです。

<専門家に聞くワクチンの効果>

桑子アナ「高山先生はイスラエル、どうご覧になりましたか」

高山義浩さん「ワクチンの効果は100%ではありませんし、接種する人の割合も100%ではありません。10倍、20倍と接触する人の数が増えると、また感染が広がりかねませんので、ワクチンを打ったから大丈夫というのではなく、日ごろからの感染予防策はしっかり守りながら慎重に。ただその先には、きっとアフターコロナの世界はあると思っています」

桑子アナ「長谷川さん、今回のワクチン、実際の効果はどうなんでしょうか」

長谷川秀樹さん「すでに実用化された新型コロナのワクチンは複数あります。日本でも使用されているファイザー社のものと、これから予定されているモデルナ社のものは、“メッセンジャーRNAワクチン”と呼ばれるものです。もう1つ、アストラゼネカ社が開発した“ウイルスベクターワクチン”が今後日本でも接種が予定されています。これらの効果は非常に高くて、感染力が高いといわれている「N501Y」変異ウイルスに対しても効果があると報告されています。季節性のインフルエンザのワクチンは有効率がだいたい30~60%と言われていますので、それと比較して非常に高い有効率だと言えます」

<ワクチンで後遺症が改善?!科学者も想定外の効果>

インターネット上に、「ワクチンを打った後、新型コロナの後遺症が軽くなった」という実体験が数多く書き込まれています。例えばある女性は「ワクチンを打って5日後には、倦怠感や頭がもやもやする症状が、かすみが晴れるように消えていったんです。まさかワクチンを接種することで後遺症まで良くなるだなんて、夢にも思っていませんでした」と語っています。

回復後も、味覚や嗅覚の異常、倦怠感などが長く続く、「新型コロナの後遺症」。感染した人の3割が苦しんでいるといいます。それがワクチンで改善するなんて、本当なのでしょうか?全論文解読でその真偽を確かめたところ、これまでに発表された論文の中には「ワクチンが後遺症に効く」という報告は見つかりませんでした。

そこで今回、まだ正式に発表される前で、内容が確かかどうか審査中の論文にも、解析のアミを広げることにしました。世界の研究者たちはそんな正式発表前の論文にも目を通し、内容がより確かで、影響力があるとみられる研究について、ネット上で共有して盛んに議論をしています。中でも研究者が特に数多く話題にしている「発表前論文」、いわば「ネクスト ブレイク論文」のトップ5を洗い出すと…

第4位に「ワクチンと後遺症」に関する論文が現れました。この論文は、後遺症のある人がワクチンを接種した後の症状の変化を報告しています。それによると、ワクチンを接種しなかった人では、症状が改善した割合は15.6%。一方、ワクチンを接種した人では23.4%と、高くなっていたというのです。

なぜワクチンで後遺症が改善するのか?一つの仮説が示されています。新型コロナに感染すると、回復後も体内に微量のウイルスやその残骸が残り、後遺症を引き起こしている可能性があります。そこへワクチンを接種すると、活性化した免疫細胞がそれらを一掃し、後遺症を改善させるのではないかというのです。そう考えているのは、世界的な免疫学者、イェール大学の岩崎明子さんです。

岩崎明子教授(イェール大学 医学部)

「これは研究しないといけないと思いました。ワクチンがどうやって、後遺症の改善につながっていくのか、それを解明したら、治療方法や診断方法に直接つながる理解が得られると思うんですよね。世界の人たちにいち早くワクチンを与えることが、とても大切だと思います」

桑子アナ「ここまでワクチンの効果について見てきましたけれども、一方で、変異ウイルスのほうもさらに新しい展開が起こり始めているんです。これは日本国内で確認されている、「N501Y」という変異を持った感染力が強いウイルスの感染状況です」

高山さん「いま刻々と変異株への置き換わりが全国で進んでいる状況で、感染力が強い株が選択されて、さらに広がっていくということが起きていて、大きな流行に向かっていっているところだと思います」

桑子アナ「このN501Yのほかに、E484Kという変異も確認されています。今後もし増えてくると非常にやっかいだと考えてられているのが、『N501YとE484Kという2つの変異を両方持つタイプの新型コロナウイルス』なんです」

田中さん「2つの変異を併せ持つタイプの新型コロナは、何が怖いんですか?」

桑子アナ「全論文解読を行うと、この“ダブル変異タイプ”にワクチンがどれほど効くかが、まさにホットな焦点になっていたんです」

<ワクチンを回避!? E484K変異の実態とは?>

新型コロナ関連の全論文を探ると、「変異」に関する論文はおよそ1300本。その中で、ここ1か月で特に数多く論文に現れるようになった言葉、「急上昇ワード」を洗い出しました。

トップ10を見ると、10位にN501Y変異、9位にE484K変異の名前が。さらに、3位に現れた「マナウス」とは、ブラジル・アマゾン川のほとりにある街の名前です。まさに「N501Y」と「E484K」という2つの変異を合わせ持つ新型コロナに襲われ、深刻な事態に陥りました。

去年の春、マナウスでは変異株ではない「従来型」のウイルスが大流行。7割をこえる住民が感染したと考えられ、5千人以上が犠牲となりました。その後、感染爆発は収束。回復した人は免疫を獲得し、再び感染することはないと考えられていました。ところが去年12月から、再び患者が急増し始めます。しかも「2度目の感染」をする人が次々と現れたのです。

マナウスで暮らすカロリーナさんは「年末に夫と2人で、この1年生き残れてよかったねとお祝いをしました。そうしたら正月に具合が悪くなって、検査を受けたら陽性だったんです。まさか2度も感染してしまうなんて、思ってもみませんでした」と語りました。カロリーナさんの症状は2度目の方が重く、呼吸困難にまで陥りました。回復して3か月たった今も、味覚障害が残っています。

地元の医師は「第2波には本当に驚きました。ウイルスはより攻撃的になっています。第1波の時と違って、若い世代も数多く重症化している」と言います。

マナウスの第2波は死者数が第1波を上回り、ロックダウンによってようやく感染が落ち着いてきたのは、3月のことでした。この新たな変異ウイルス、なぜ免疫を獲得したはずの人に再び感染したのでしょうのか?

鍵になるのが、変異に関わる全論文の急上昇ワード第1位、「免疫逃避」という言葉です。「免疫逃避」とは、ウイルスが免疫の攻撃をすり抜ける能力のこと。ある論文は、まさに「E484K」変異が「免疫逃避能力」を生み出していると指摘しました。

フェリッペ・ナベーカ博士(オズワルド・クルス財団研究所)

「E484Kという変異を持つウイルスは、一度感染して免疫を獲得した人にも再び感染できる能力を持つことがわかりました。免疫逃避というのは、ウイルスの表面の突起が変化することで起きると考えられます」

免疫逃避と深く関係するのが、ウイルスの侵入を防ぐ免疫細胞の飛び道具、「抗体」です。私たちの体にひとたび新型コロナウイルスが侵入すると、免疫細胞が作り出した抗体がウイルスの突起にくっつき、感染を防いでくれます。

ところが、「E484K」という変異が起きた新型コロナウイルスでは・・・

抗体がくっつくウイルス表面の突起に変化が起こります。といっても、黄色く示された3箇所の形がごくわずかに変わるだけ。たったそれだけで抗体が突起にはまりにくくなり、抗体の効き目が悪くなってしまいます。

気になるのは、ワクチンがこの「E484K」変異にも効くのかどうか。全論文解読で探ると、まだ確かな答えは見えていないものの、日本で接種が始まったファイザー社製のワクチンで検証した論文が見つかりました。それによると、ワクチンによる抗体の効き目が、E484K変異ではおよそ10分の1に弱まるといいます。

マイケル・ダイヤモンド教授(ワシントン大学)

「抗体の働きが10分の1になっても、元々作られる抗体の量が多いので、全く防御できないわけではありません。しかし、高齢者や免疫機能が低下している人などでは、効果が十分に現れない可能性もあります。慎重に状況を見ていく必要があるでしょう」

さらに、まだ正式発表前ではあるものの研究者たちが注目している「ネクスト ブレイク論文」にまで解析を広げると、ひとつのキーワードが浮かび上がりました。それは「T細胞」です。

ファイザー社などのメッセンジャーRNAワクチンは、ウイルスに感染した細胞を破壊する「キラーT細胞」も活性化できるのが、高い有効性の秘密でした。論文によれば、キラーT細胞の働きは、E484K変異を持つウイルスに対してもほとんど弱まらないといいます。つまり、ワクチンを打っておけばE484K変異を持つウイルスに感染することはあっても、ウイルスの増殖が抑えられ、重症化は防げると期待できるのです。

ウィリアム・ジェームズ教授(オックスフォード大学)

「キラーT細胞がE484K変異にも働くことがわかったのは大きな成果です。今あるワクチンをきちんと接種すれば、E484K変異にも対処できるはずです」

<変異ウイルスに対応するワクチン戦略>

ワクチンの開発者たちは、今後現れうる「新たな変異株」にも対応できるワクチンの戦略を立て始めています。ファイザー社のワクチン開発に携わるトップ研究者に、その戦略を聞きました。

1つめは「ブースターショット」作戦です。

ペイヨン・シー教授(テキサス大学)

「ブースターショットとは、いま接種を進めているワクチンをさらに1回多く打って、より効果を高める方法です。作られる抗体の量がさらに増えるため、変異株への効果も高められます」

もう1つは、変異株にも効くよう「ワクチンを修正する」作戦です。ワクチンに使っている新型コロナウイルスの遺伝情報を、新しい変異株のものに書き換えるだけで、その変異に効くワクチンへと修正できるというのです。

ペイヨン・シー教授(テキサス大学)

「この方法を使えば、理論的にはどんな変異が起きても、ワクチンを修正することができます。ただ、ワクチンの認可や安全性の確認には少し時間を要すると思います」

田中さん「接種が始まったワクチンが、いま日本で広がっている変異ウイルスにも一定の効果はあるらしいことはわかった。じゃあいつごろ、イスラエルみたいに、この生活から抜け出せるの?っていうのが、一番聞きたい」

桑子アナ「今回、全論文解読で得られた最新の情報を盛り込んで、専門家とともに“日本の今後の予測”に挑みました。どうやらそう簡単な話でもなさそうなことが見えてきました」

<どうなる日本の終息?最新予測シミュレーション>

内閣官房のシミュレーション・プロジェクトで感染予測に取り組んでいる筑波大学の倉橋節也さんは、東京都をモデルに、今後の感染状況をシミュレーションしています。

青色の線は、去年5月末に最初の緊急事態宣言が解除されてから今年3月末までの感染者数の変化です。これから先も、今までのような感染者数の増減パターンや、社会的な行動制限が繰り返されるとして、今後の感染者数を予測しました。オレンジ色の線がその予測です。いま増え始めている「第4波」の感染者数は、5月中旬にピークを迎え、さらにその後10月にも「第5波」となる急速な感染拡大が起こりうるという計算結果となりました。

では、ワクチン接種によってこの感染拡大をどこまで抑え込めるのか?予測に必要なのは「ワクチンの有効性の高さ」と「接種のスピード」に関する情報です。参考にしたのは、今回取り上げたイスラエルの論文。そこに示された「発症予防効果94%」を想定値として採用しました。ワクチン接種を行うスピードは、国の方針を参考に「1日あたり、都民の最大0.5%が接種する」と想定しました。すると・・・

「第4波」の感染者数はほとんど減りません。ワクチンの接種スピードが追いつかないためです。一方、「第5波」は大きく抑え込まれました。

倉橋節也教授(筑波大学)

「4~5月の『第4波』は、ワクチンではなかなか防げない。若干効果はあるけれども、決して劇的に下げるような効果はない。本当にワクチンの効果が出てくるのは、今の日本の状況だと数か月先、下手すると半年くらい先になるだろうという感じです。今まで1年かかって学んできた感染予防策を、地道に繰り返すしかないのは明らかだと思います」

仮に、ワクチンに加えて、「社会的制限」も行うとどうなるか。1日の新規感染者数が1000人を超えた際、今年1月に出された2度目の緊急事態宣言相当の制限(不要不急の外出自粛や、飲食店の時短営業など)をかけるとして計算しました。すると・・・

「第4波」のピークが、1月の「第3波」を下回りました。では、たとえば「感染力が強くワクチンも効きにくい、2つの変異(N501YとE484K)を合わせ持つウイルス」が増え始めると、どうなるでしょうか?まず、N501Y変異による感染力の上昇は「およそ30%」という国内の報告があります。一方、全論文解読で世界中の論文をひもとくと、感染力の上昇は「35%から100%」と幅があることが分かりました。これらの情報を元に、専門家の助言も得て、「感染力の上昇は50%」と想定。また、E484K変異に対するワクチンの有効性については、これまでに発表されたいくつかの報告から、「有効性が20%弱まる」と想定しました。先ほどと同様、想定したスピードでワクチン接種をすすめ、2回目の緊急事態宣言相当の制限もおこなうとします。

もし4月1日の時点で、2つの変異を合わせ持つウイルスの感染者が10人いたと仮定すると・・・

感染は徐々に拡大し、7月には1000人を突破。その後も数は増え続け、秋には最大で1日3000人以上がこの“ダブル変異ウイルス”に感染してしまうという計算結果となりました。

<いち早く日本の終息を導くために、何ができるのか?>

田中さん「ワクチンの接種を進めて、しかも社会的ないろんな制限とかをかけても、これだけ感染者数が増える」

太田さん「大きいね、これ」

田中さん「“ダブル変異”を持つ新型コロナというのは、相当強敵だということですよね」

倉橋節也さん「イスラエルとかイギリスとは違って、日本ではワクチン接種が遅れていますので、その影響は結構大きく、年末まではなかなか厳しい状況が続くという予測です」

田中さん「いま関西とかで増えているN501Yという変異だけのウイルスだと、予測結果は変わってくるんですよね?」

桑子アナ「その予測が、この緑の線です」

倉橋さん「N501Y変異は、ワクチンの効果が従来型とほぼ同じという前提になっているので、緑の線は少し下がってはいます。しかしこの変異によって重症化率が高くなるとも言われていますので、それを考えると決して安心できるような下がり方ではないと思います。ただ、これは決定論的なシミュレーションではないんです。“最終的に人が意思決定するための材料”を提供している。こういう手を打つと最悪こうなる、別の手を打つともう少しよくなる、というようなことを検証するために、シミュレーションしています」

長谷川さん「この予測グラフは感染者の数で表していますが、高齢者へのワクチン接種がこれから進んでいくと、たとえ感染したとしても、重症者数はかなり変わってくる。ワクチンによって医療崩壊を防ぐということが、重要になってくる」

高山さん「もうひとつ重要なファクターが、“季節の変化”です。去年の5~6月にかなり感染は抑え込まれていたが、冷房も暖房もいらない風通しのいい状態で皆さんが過ごされたことが、流行の抑制につながったのだと思います。今年も来月以降、季節の要因で流行しにくい状況になるので、そこに合わせ技で感染対策をし、さらに高齢者に対するワクチン接種を行ったときに、より感染拡大を抑え込める可能性はあります」

田中さん「倉橋先生、変異ウイルスによる感染拡大を抑え込むには、何が一番良いと思いますか?」

倉橋さん「去年4月初めに出された1回目の緊急事態宣言では、ほとんどのイベントは中止で、夜間はほぼ人がいない状態でした。もしそこまで社会制限を強めたらというケースも、シミュレーションしています」

倉橋さん「その結果、変異株による『第5波』を大きく抑え込めることはわかりました。しかし一方で、当然経済的な損失があり、生きてくことができない。そういう中で、総合的にどういう意思決定をすべきなのかという議論を進めるべきです。また、年代別のグラフを見ていくと明らかなのは、最初に若い世代(59歳以下)で感染者数のピークが出て、そのあと60歳以上の人たちにピークが出る。最後に感染してしまうお年寄りの感染拡大をワクチン接種で止めるのも大事だけれども、比較的若い人にもワクチンを接種して免疫を獲得させることも非常に重要な戦略ではないか」

倉橋さん「それが、『同時並行接種』というワクチン接種の方法。例えば65歳以上の高齢者だけでなく、高齢者の方に非常に近い人たち、同居している家族や高齢者施設に関連する方などで65歳未満の人にもワクチンを打つと、感染者数は大幅に減ります。かつ高齢者の重症者数もそんなに大きくは増えないという計算結果になるのです」