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TOKYOカラフルワールド ~香取慎吾のパラリンピック教室~

NHK
2021年8月24日 午後1:08 公開

(2021年8月21日の放送内容を基にしています)

コロナ禍というかつてない状況で開かれる東京パラリンピック。およそ160の国と地域から集まった4000人を超える選手たちが、自らの限界に挑む。パラアスリートの中には、これまでの常識を覆すスター選手が次々と現れている。パラリンピックを応援し続けてきた香取慎吾は選手と交流を重ねるうちに、パラスポーツの奥深さを知った。「パラリンピックには勝ち負けだけでない大切なメッセージがある」。それは人々が互いの違いを知り、認め合うこと。この考え方はスポーツの枠を超え、社会を変える可能性を秘めている。パラリンピックが理想とする世界。僕たちはそれを「カラフルワールド」と呼ぶことにした。どんな世界なのか、一緒に探しに行こう。

<義足の大ジャンパー マルクス・レームがめざす世界>

まずは東京パラリンピックで最も注目されているアスリートへのインタビューを行った。走り幅跳びのマルクス・レーム選手。義足のジャンパーだ。

ことし(2021年)6月、レーム選手は世界を驚かせる偉業を成し遂げた。8メートル62センチの大ジャンプ。先日行われた東京オリンピックの金メダリストの記録を21センチも上回った。もはやレーム選手の前では、健常者と障害者の境界線なんて意味をなさないようだ。

陸上 走り幅跳び マルクス・レーム選手「私の仕事は最高の状態で競技をすること。そして障害者だけでなく健常者にも、パラリンピアンが何を成し遂げられるかを見せること。特に子どもたちに『頑張り続ければ、障害のない人を上回ることすらできる』というメッセージを伝えることです」

慎吾「レームさんのことを『スーパーヒューマン』と呼ぶ人たちもいるじゃないですか。その声についてはどう思いますか」

マルクス・レーム選手「その呼び方、気に入っています。パラリンピックは人々の見方を変えたと思います。以前は私たちに対して『かわいそう』と哀れみを感じる人もいました。でもそれは変わりました。私たちのパフォーマンスのレベルがはるかに上がったからです」

実はレーム選手はパラリンピックではなくオリンピックへの出場も求めている。障害者と健常者の壁をなくし、同じ舞台で活躍すること。それが、レーム選手が目指している世界だ。

マルクス・レーム選手「これまで平等ではないことがたくさんありました。例えばオリンピックとパラリンピックのアスリートへのサポートのしかたです。人々を区分けするのは正しくありません。いつの日か、互いに近づけることを願っています。これはよりよい社会をつくるためのチャンスなんです」

<開幕目前!パラリンピックに込められたメッセージとは?>

慎吾「東京パラリンピックが3日後(8月24日)に開かれます。それをきっかけに、パラリンピックに込められた大切なメッセージをみんなで考えていきたいと思っています」

今日は夏休みの特別授業!参加してくれたのは、中学・高校生の4人。慎吾と一緒にテーマを掘り下げていくよ!

慎吾「パラリンピックにはスポーツだけではなくて、大きな目標があるんです。どういう目標だと思いますか」

慎吾「すごいな。ソニア何歳なんだっけ」

ソニア「13歳。学校でけっこう、SDGsとか」

慎吾「SDGs!先月ぐらいに覚えたわ。答えはパラリンピックに詳しい先生に聞いてみましょう」

マセソン美季さん。1998年長野で行われた冬のパラリンピックで金メダルを獲得。現在はパラリンピック教育の第一人者として、子どもたちに大切なメッセージを伝えている。

マセソン美季さん「パラリンピックの目標は『インクルーシブ』な社会をつくることです。『インクルーシブ』というのはすべてを包み込むとか、それぞれの違いを認めて、みんなが自分の居場所を見つけて活躍できるとか、そんな社会のことです」

慎吾「それが実現した世界を、この番組では『カラフルワールド』と呼ぼう」

<出会えてよかった! 誰もが競い合えるボッチャ>

「インクルーシブ(すべてを包みこむ)な社会」をつくるというパラリンピックの目標。その始まりは73年前、イギリスの病院で開かれたアーチェリー大会だった。けがをした人が社会に復帰するためのリハビリが目的だった。その後、視覚障害や知的障害など、より多くの人が参加できるよう新たな競技が生まれていった。中でも特に重い障害の選手が参加する、象徴的な競技がある。ボッチャだ。

的となる白い球に、どちらがよりボールを近づけられるかを競う。体がほとんど動かなくても、アシスタントと協力し、器具を使って投げる選手もいる。

慎吾が話を聞いたのは、日本代表の江崎駿選手、20歳。江崎さんは、成長とともに筋力がだんだん弱くなる「筋ジストロフィー」という病気だ。今回、代表最年少で初めてのパラリンピックに挑む。

慎吾「(パラリンピックが)もう、きますよね。」

ボッチャ 江崎駿選手「自分自身もずっと夢だったので、出るからにはメダル目指しています」

江崎さんの前に立ちはだかっているのが、新型コロナの感染拡大。呼吸をするための筋肉が弱いため、感染すると重症化するおそれがある。

少しでもリスクを減らそうと家族は感染対策に心を砕いてきた。ボールが触れる可能性のある壁までも丁寧に拭き取っていく。

家族のサポートがあったから、これまで練習を続けることができた。

幼い頃は友達と外で遊ぶのが大好きだった江崎さん。でも、病気が進行して小学6年で車いすの生活になり、友達が遊ぶ様子を教室から眺めるようになった。そんな時に出会ったのがボッチャだった。

夢中になった江崎さんは仲間とチームを作り、大会にも出場。人とのつながりが増えた。

江崎駿選手「自分でもできるスポーツがあってすごくうれしかった。障害があっても社会に参加して、誇りを持つことができる。ボッチャがそういうきっかけになったらすごくうれしいなと思います」

障害があるかどうかにかかわらず、誰もが競い合えるボッチャ。慎吾は、江崎さんに真剣勝負を挑むことにした。

江崎さん、持ち味のコントロールでピタリ。

対する慎吾は・・・?

まさかの大逆転ショット!

慎吾「勝っちゃった!ごめんなさい、しっかり喜びます!勝ち!」

慎吾「ボッチャをより多くの人に知ってもらいたい。その先には?」

江崎駿選手「障害がある人と健常者が一緒にできるスポーツってなかなかないので、そういうことに関係なく『ごちゃ混ぜでやる』みたいなものがあってもいい。東京パラで活躍することで、ボッチャがもっと広まってほしい」

<パラスポーツが持つ力 わたしたちの身近にも変化が>

慎吾「すごく勉強になるでしょう。あそこで勝つのがいいことなのか。珍しく勝っちゃうパターン。こういうのを皆に知ってほしい」

Lee「あまり見る機会がないじゃないですか。障害を持っていない人たちと、ハンデを持っている人たちが一緒にできるのは。スポーツを通して距離が縮まって、壁がなくなっているなと思いました」

慎吾「そうだね。一緒に勝ち負けで『勝った』とか言い合えたり、負けて悔しくて『もう一回やろうよ』と言ったり、すごく楽しい時間を一緒につくってくれるボッチャだよね。みんなにもやってほしいな。彩乃はパラ陸上を始めたきっかけは?」

彩乃「パラトライアスロンの大会を見に行って、すごいスピードで走っている選手たちを見て、かっこいいなと思って。それがきっかけで憧れて始めました」

慎吾「始める前と今とでは、全然違う?」

彩乃「(競技を)始める前までは、街中でたまに『かわいそうね』とか言われることもあったけれど、スポーツを始めてからは『何それ。かっこいいね』みたいな、レースを見て言ってもらえるようになって、捉え方、イメージは変えられたかなと思います」

障害のある人のイメージを変えてきたパラリンピック。それだけじゃなく、僕たちの身の回りにも変化をもたらしているみたいなんだ。

マセソン美季さん「今は電車でも、特に都内だと電車も乗り降りできるし、バスでも車いすで乗り降りできるものが増えたりしているので、まだまだ足りない部分もありますが、それでも昔に比べれば、かなり移動しやすくなってきたと思います」

ソニア「車いすだったら、ガタガタしているところだと難しい。だから平らにして、誰でも歩きやすいように、走りやすいようにしたほうが、みんな平等になれる気がする」

照太「障害を持っていない人でも歩きやすくなるから、一石二鳥」

慎吾「彩乃はどうなの、実際、車いすに乗っていて」

彩乃「バスとか電車とか進んできたとは思うんですけど、それでもエレベーターがなかったり、バスではスロープはあるけど出すのに時間がかかって乗れないみたいな、あっても使われていないから、さびちゃっているみたいなのもあったりして、(バスに乗るのに)すごく時間がかかったことがあって、周りの視線も『早くしてよ』みたいな感じの視線がすごくて」

照太「人の意識がバリアフリーになっていない」

<“障害もさまざま” ひとりひとりを知るきっかけに>

彩乃さんが感じた「心のバリアー」。とても大事なポイントだね。パラリンピックが開かれるだけでは、「心のバリアー」を取り払うのは難しい。そう考えている人が少なくないんだ。「パラリンピックを通じて、障害者への理解が進むと思うか」障害のある人へ聞いた結果が次のグラフ。

「進む」と答えた人は12%だったのに対し、「全く進まない」「あまり進まない」は、合わせて50%に上った。なぜパラリンピックだけでは理解が進まないと感じる人が多いんだろう。

都内に住む安部井聖子さん。次女の希和子(きわこ)さんは重い身体障害と知的障害があり、寝たきりで生活を送る。

聖子さんは希和子さんの介護を30年以上続けてきた。

安部井聖子さん「こういう本当に障害の重い人たちは、競技にすら参加することができない」

さまざまな障害の理解につながるはずのパラリンピック。しかしスター選手には注目が集まっても、希和子さんのような存在には、まだ目が向けられていないと感じている。

安部井聖子さん「娘を同じように理解してもらえるか。うちにはこんな重い障害の子どもがいるのに、同じ障害者の中に入れてもらえているのかな」

こうした思いは、IPC 国際パラリンピック委員会も向き合うべき課題だと考えている

IPC国際パラリンピック委員会 アンドリュー・パーソンズ会長「パラリンピックを通じた障害者への理解は、まだ不十分だと思います。やるべきことはたくさんあるのです」

IPCは東京大会を前に新たなキャンペーンを始めた。主役はアスリートではなく、身近にいる障害がある人たち。それぞれが個性豊かな異なる存在であることを伝えようとしている。

アンドリュー・パーソンズ会長「スポーツを通じて誰もが共に暮らせるよりよい社会をつくる手助けになること。パラリンピックは、その原点に戻る時が来ているんです」

パラリンピックを、さまざまな障害があることを知ってもらうきっかけにしたい。そんな思いで始まった取り組みがある。

障害がある子どもなどの手形や足形を集め、1枚の絵にする「ハンドスタンプアート」だ。

ハンドスタンプアートプロジェクト 横山万里子代表「この手形の中には障害のある子がいて、その子も同じ世界で生活しているんだよ」

東京大会に合わせ始まった展示。子どもたちの手形は1万枚を超えた。

参加した男の子のお母さん「どこかに僕の手形も。うれしいね」

安部井希和子さんと母親の聖子さんも、この取り組みに参加した。

安部井聖子さん「多様性の中にもいろんな人がいることを知る機会になってほしい。そしたら私たちのパラリンピックも『やっと始まった』という実感が持てると思います」

慎吾「僕も2015年から応援させてもらっている。少しずつ変わっていく良いきっかけになったらいいね。お話を聞いてみたい人がいます。空さん」

空「私自身パラリンピックをとても応援していて、かなり勇気をもらっています。ただ、障害といってもすごくさまざまなんですよね。僕もそうなんですけれど、スポーツができない方もいて、障害という言葉にとらわれず、ひとりひとり個人をきちんと見ていただけると、すごくうれしいなと思います」

マセソン美季さん「選手たちが活躍をすることで、人が、障害のある人たちに興味や関心を持ってくれるとか、社会が少しずつよくなってくる動きがあっても、それだけで終わらせてはいけないと思っていて、スポーツに興味がない、関係がない方が、パラリンピックが行なわれたことで社会が住みやすくなったと、周りの人たちの意識も変わってきたと、気がつけて初めてパラリンピックは成功だと思っているんですね」

<どう受け止める? ひとりひとりの“違い”>

「障害のある人にも様々な色がある」。みんなの話を聞いていたLeeさんが、違いを認め合うことの大切さを語り出した。

Lee「本名は髙橋利里愛というんですけど、心は男の子なので、名前も女の子っぽい名前ではなくてリーという名前にして、初対面の人に対して『くん』とか『ちゃん』で分けちゃうのはよくないと思います。その人の性自認は分からないじゃないですか。違いをどう受け止めるかだと思うんです。大事なのは」

彩乃「自分はスポーツをやっているんですけど、スポーツをすることがすべてではないと思っているので、その人にしかできないことが絶対にあると思うので、自分にしかできないものを見つけたら、それは強みになると思うので、それを見つけるということが重要だと思います」

空「障害があると、ハンデとかできないことに注目してしまうと思うんですね。ちょっと視点を変えて見てみると、できることが、できないことよりすごくたくさんあることもあって、できることを考えてほしいなと思います」

慎吾「どんなことができるんだろうというほうに、なんでいかないんだろうね」

ソニア「自分にはできるけど、その人にはできないことがあるから、そう思っちゃうのかな」

照太「自分と違うところを見つけちゃうという感じ」

Lee「違うことで、その人だけにしかできないこともあったり、そこの視点の持ち方が大事だと思います。違いをどう受け入れるか」

空「いろんな視点から見てみるのはすごく大切だと思うし、障害というのもハンデではなくて、裏を返せば強みにもなると思うんですね」

マセソン美季さん「かなり深いですね。『ものさし』を増やしてほしいと私は思っているんです。自分が何かを考えるときに、こうあるべきとか、自分の判断基準が決まったひとつしかなくて、ひとつの特徴だけではなくて、同じ人でもいろんな角度から見て、いろいろ考えることができると思うから、自分と違う人たちと出会って、自分と違う『ものさし』を集めてほしいと思います。『カラフルワールド』というのをみんなが目指して、みんなが少しずつ協力していくことが必要ではないかと思っています」

慎吾「カラフルワールド、どうしたら実現するのか。そのヒントをもうひとつ、教えてくれる選手がいました」

<カラフルワールドへの道しるべ 障害って何だろう?>

競泳でリオパラリンピックに出場した一ノ瀬メイ選手。

生まれたときから右腕が短い一ノ瀬さん。7種目で日本記録を持っている。海外で練習を続けてきたが、東京パラリンピックの代表には届かなかった。

慎吾「一ノ瀬選手は、東京大会のことはどうですか?」

競泳 一ノ瀬メイ選手「すごく悔しかったんですけれど、何かすごくすっきりして」

慎吾「なんで?」

水泳は自分にとって“手段”。一ノ瀬さんは、どうしてそう思ったんだろう。

1歳で水泳を始め、周りの子どもたちよりずっと速く泳げたという一ノ瀬さん。9歳のとき本格的に練習しようとスイミングスクールを訪ねたが、思わぬ言葉を返された。

慎吾「そのとき、どう思ったんですか」

競泳 一ノ瀬メイ選手「大泣き。自分がやりたいと思ってることを、腕が理由で人に制限された経験が初めてだったので」

ところが、その後移り住んだイギリスでは、すぐに入会が許可され、ほかの子どもたちと一緒に泳ぐことができた。

右腕が短いことは変わらないのに、泳ぐことを拒まれたり、許されたり。

「障害」って何だろう。一ノ瀬さんは考えるようになった。一ノ瀬さんがたどりついた答え。それは…

一ノ瀬メイ選手「障害はその人の体にあるのではなく、社会がつくりだしているんです」

例えば車いすの人がいる。この人が「足を動かせない」ということが障害ではなく、車いすで乗り物に乗れない、お店に入れないなど周りの環境が作り出している壁が障害なんだ。つまり障害は社会が作り出しているものだと訴えたんだ。

社会を変えるために何ができるのか。一ノ瀬さんは競泳にとどまらないチャレンジをはじめた。障害者はモデルになれない。そんなイメージを変えたいと挑んだファッションモデル。

SNSでは環境問題について、自分の考えを発信。

これまで障害者が目立ってこなかった分野で活躍することで、社会がつくりだす壁をなくしたい。競泳も、勝ち負けだけでなく、自分にとって社会を変える手段のひとつなんだと気づいた。

競泳 一ノ瀬メイ選手「アスリートに限らず、いろんな枠、今までは健常者と呼ばれる人がやってきたことを障害者がやっていくっていう」

慎吾「先の先だね。もっと先を見てるんだね。連続ドラマの中に一ノ瀬選手みたいに腕の短い女優さん、いないもんね」

競泳 一ノ瀬メイ選手「そう、そういうのが見たいんですよ。月9の主人公の親友役が車いすとか。お天気キャスターが義足とか」

競泳 一ノ瀬メイ選手「そういうふうに今度は広がっていけると、もっといろんな人の生活に、いい意味で影響していけると思うし、障害のある人たちの可能性をもっと広げていけるんじゃないかと思います」

一ノ瀬さんが描く未来に、僕たちはどうすれば近づけるんだろう。

<教室で見つけた 小さなカラフルワールド>

その手がかりを教えてくれる場所を見つけた。横浜にある県立高校。

この春1人の生徒が入学した。日向楓さんだ。

生まれた時から左腕がなく、右腕は10センチほどの日向さん。競泳の東京パラリンピック代表に選ばれている。

そんな日向さんとの出会いにクラスメイトたちは戸惑っていた。そのひとり、藤井龍生さん。日向さんの後ろの席なのに声をかけることすらできずにいた。

藤井龍生さん「自分と少し違っているところがあるから近寄りがたいというか。言葉悪いかもしれないんですけれど、手伝いとか多めにしなきゃいけない。面倒くさいなみたいな」

そんな藤井さんの気持ちが変わった出来事があった。生物の授業でのこと。藤井さん、実は生物が苦手だ。この日の煮干しの解剖でも頭を悩ませていた。

生物が得意な日向さんがアドバイスをくれた。日向さんのサポートで藤井さんは課題をクリアできた。「助けるのは自分の方で、助けられることはない」。そんな思い込みは変わっていった。苦手なことがある。だったら助け合えばいい。

日向さん「はい、どうぞ」

藤井さん「任せろ」

日向さん「ありがとう」

ほかのクラスメイトたちも…

藤井龍生さん「楓と仲良くなれたからだと思うんですけど、楓の手伝いが、何も思わないで体が勝手に動いている感じです。支えたり支えられたりするのが大事だと思います。普通に一緒に毎日楽しくコミュニケーションとっていれば、みんな障害者という感覚がなくなって、みんなで楽しめるから」

1学期の終わり。クラス全員でパラリンピックの壮行会を開いた。

日向 楓さん「40人分の期待に応えます!(先生も含めて)41人分の期待に応えます」

<みんなが個性を発揮できる社会へ>

慎吾「日向さんの友達から広がってクラスみんなが、ここにはカラフルワールドのヒントがあるかもね。どうだった?」

照太「最初は、どう接したらいいかわからないし、面倒くさいと言っていたけど、それも自然と考えずにできるようになったと言っていたから、接することに慣れることが重要だなと」

彩乃「仲よくなかった子でも、重い荷物を持っていたりすると、『手伝おうか』と声をかけてくれたり、そういうのが自分の学校ではすごく多くて、それはすごく助かっているなと思います」

慎吾「ここから急にクイズ番組です。マセソン先生にもらったクイズです。運動会で玉入れをすることになりました。クラスには車いすの子どもがいます。どうしたらみんなが楽しく競い合えるかな」

Lee「玉を拾って、その人に渡したほうがいいんじゃないですか」

照太「玉を持っていても自分で持ったまま動くのは難しいと思うから、移動してあげる」

ソニア「玉入れの入れ物をちょっと低くする」

彩乃「車いすだと高さが届かないと思うので、その人の届く高さを別のところでつくって、いろんな高さのものをつくれば、いろんな人も参加できるんじゃないかなと」

空「あえてここで、みんなで車いすに乗るという同じ条件でやってみるというのは、どうですか」

慎吾「さあ、どうなんでしょう。正解は、マセソン先生に聞きます」

マセソン美季さん「正解はありません。みなさんがすごくアイデアを出してくださいましたけど、話し合いながら考えて答えを出していくことが、とても大切なことだと思うんですね。でも、必ず本人の意思も聞いてほしいと思います」

慎吾「『車いすだからできない』という頭で話し合うのではなくて、その本人がどうしたいかという意見も、みんなの会話のなかに入れないと」

マセソン美季さん「『どうしたい?』というのは大事ですね」

<公平なルールづくり パラリンピックにはヒントがいっぱい>

「より多くの人が公平に参加するために」。実はパラリンピックには様々な工夫がある。番組の中で登場したこの道具。

これは「ランプ」というボッチャで使う道具。ボッチャには、自分の力でボールを投げるのが難しい選手もいるので、このランプを使ってボールを転がすことが認められている。

ほかにも競泳では、目が見えない選手がターンするときに、壁にぶつからないよう、頭を叩いてタイミングを知らせる「タッパー」と呼ばれる人もいる。

慎吾「いろんな工夫がちりばめられているから、そういうところも探してみたり、隅々まで見てみると、パラリンピックを見る新しい楽しみ方もできるかもしれないね」

<みんなが思い描く カラフルワールド>

特別授業の最後に、みんなで『カラフルワールド』をイメージして、絵を描くことにした。

慎吾「みんなの絵が完成しましたね」

集まった絵を慎吾がコラージュ。

慎吾「これはどういう思い?」

Lee「四葉のクローバーじゃないですか。だから幸せの集大成みたいな」

慎吾「これは何だろう?」

彩乃「鏡です。『自分らしく』みたいな。自分らしさを映せるように」

同じテーマでも、描くイメージはそれぞれ違う。

慎吾「カラフルにしちゃう?塗っていこうよ。みんなで」

色とりどりの思いが重なりあい、ひとつの世界をつくりあげた。慎吾が思う「カラフルワールド」って?

慎吾「華やかで、最初はちょっとびっくりするかもしれないけど、カラフルすぎて、最後にみんなで描いた絵のように、でもとても居心地がいい、自分の色を持ちながらも、周りの人の色で自分の色が変化していけたりする世界じゃないですかね」

世の中は、それぞれの色を持った人たちで溢れている。みんなが描いた「カラフルワールド」のように、お互いが混ざり合うことができたら素敵じゃないかな。パラリンピックをきっかけに、少しずつ進んでいけたらいいよね。