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新型コロナ”第4波” 変異ウイルスの脅威 (前編)

NHK
2021年5月13日 午後5:04 公開

(2021年5月2日の放送内容を基にしています)

猛烈な増殖スピードが、危機を深刻化させている変異ウイルスが猛威をふるう大阪。

病床がひっ迫する中、入院や宿泊療養ができず、待機中の人は3千人以上。この1か月で少なくとも14人が、自宅で命を落としています。

医師「助ける命が助けられなくなっているのは事実ですね」

今、感染力が従来より強い、「変異ウイルス」は、全国各地に拡大しています。

専門家は、新型コロナによる脅威は、これまでと全く異なる局面に入ったと警告します。

ウイルス学者「これは変異というよりは、“進化した株”だと。今までの対策が通用しない可能性もあります」

新型コロナ“第4波”。危機を克服する術を探ります。

武田アナ「大阪では今日(5月2日)も新たに1057人の感染が確認されました。この街で私たちは、明日、新型コロナやほかの病気になっても、必要な医療を受けられないかもしれないという、大きな不安の中に立たされています。医療関係者や専門家の多くが変異ウイルスによって今までとは別次元の脅威にさらされているといいます。一方でそのことが一般の人たちや東京含め、他の都市で暮らす人たちには十分に伝わっていないという声も聞きます。変異ウイルスの脅威はどういうものなのか、感染拡大が始まった首都圏や地方ではどんな備えが必要なのか考えていきます」

牛田アナ「大阪府は3日前(4月29日)、1日で確認された死者の数が全国で過去最多の44人と発表しました。そして昨日(5月1日)も41人の死亡が確認されています。大阪では重症病床が361床、軽症中等症の病床が2094床ありますが、特に危機的な状況にあるのが重症患者の病床です。その患者数は、425人とすでに受け入れ能力を超えているのです。そしてこの重症病床の危機的な状況が、大阪の医療全体に深刻な影響を与えています。

<救える命が救えない 極限状態の大阪医療>

大阪府の重症患者を受け入れる救命救急センターです。夜7時、40代の男性が搬送されてきました。

新型コロナに感染し、別の病院で治療を始めた直後、容体が急変したのです。人工呼吸器の装着を急いでいたその時、新たな救急患者の受け入れ要請が入ります。しかし、10床あるコロナ専用病床は、すべて埋まっています。断らざるを得ません。それでも鳴りやまない電話。

医師「無理や、断ってもう」

この1日の要請は13件。応じられたのは5件でした。

大阪府のコロナ医療体制は症状の程度によって、段階的に分けられています。この病院が担当する重症病床は、人工呼吸器や人工心肺装置エクモなどの高度な医療設備を備えた、「最後の砦」です。

大阪府では、第4波を受け、重症病床を156から、359に増やしました。しかし重症患者の増加はそれを上回り、危機的状況が2週間以上続いているのです。

さらに、変異ウイルスが広がる中、高齢者だけでなく、50代以下の比較的若い世代も多く重症化しています。

中河内救命救急センター・山村所長「ウイルス自体がやっぱり重症化しやすいというか、より強くなって、幅広い年齢層の方に感染して状態を悪くしていると思います」

重症化のスピードが速いという報告も出ている変異ウイルス。治療のタイミングの遅れは、これまで以上に命に関わる事態に直結します。

中等症の病院から救急搬送されてきた50代の男性は、重症化したにも関わらず、受け入れ先が見つからないまま、さらに容体が悪化。この病院に運ばれてきた直後、すぐに心肺停止に陥りました。

山村所長「もしかしたら1日2日早くこちらに来られたら、心臓が止まる状態には、なっていなかったかもしれない」

救命措置で心臓は再び動き始めましたが、血中の酸素飽和度は60%台と極めて状態が厳しいまま、搬送から2日後、男性は亡くなりました。

大阪府で1日に確認された死亡者数は、3日前(4月29日)、過去最多を更新。44人となりました。

医師「いま助ける命が助けられなくなっているのは事実ですね。もともと救急車を受けるというのが救急科の仕事やから、それを断らないといけないっていうのは、(自分が)何のために?と思うことありますね」

重症病床の不足は、中等症の患者を受け入れている病院にも深刻な影響を及ぼしています。府は、中等症の病院に対し、患者が重症化しても、転院させず、そのまま対処するよう要請を出しました。現在、61人の重症患者が中等症の病院で治療を受けています。

中等症を専門に受け入れている十三市民病院です。入院患者のうち5人が重症状態です。重症患者の治療のため、急きょ、特殊な酸素吸入装置を導入しました。

医療スタッフがつきっきりで呼吸状態の確認を行う必要があるため、より多くの人手がかかります。病床数70のうち、現在(4月30日時点)の入院患者は60。病床数に空きはあるものの、これ以上多くの患者の受け入れは困難です。

西口幸雄病院長「もう限界ですよ。難しい重症化しつつある人1人そういう人を抱えると、ほかの中等症の人をたくさん診られなくなります」

医療機関の危機的状況。入院治療の必要がない人を受け入れる、宿泊療養施設にも危機の連鎖が及んでいます。

およそ150人の経過観察が行われている大阪市内の宿泊療養施設です。常駐しているのは4人の看護師のみ。医師はいません。しかしこの一か月で医療行為を必要とする人が続出しています。

看護師「本当は病院で診やなあかんレベルの人たちが、もう6人も7人もここのホテルにいてるんで、すごい緊迫した現場にはなっています」

看護師たちの最大の懸念は、容体の急変です。この日、数時間の間に4人が相次いで重症化。呼吸困難に陥りました。遠隔で医師の判断を仰ぎ、看護師が酸素吸入などの応急処置を施しますが、症状は改善しません。

入院治療につなげようにも、救急搬送の手段すら確保できない事態が起きています。

看護師「救急隊に連絡したら、救急車がないって言うんですよ。挿管レベル(重症)に近い状況で、先生もギリギリと言っているんですよ」

結局、救急車が到着したのは、2時間後でした。

看護師「すぐに搬送できるんだったらいいんですけど、やっぱりこれだけのタイムラグがある中で、ギリギリの人が本当に重症化しないかどうかというのは、すごいドキドキします。綱渡りの現状なので」

大阪府では、例え救急車に乗れたとしても、受け入れ先が長時間決まらないケースが多発。搬送まで47時間かかる事態も起きています。

破綻の危機が迫る大阪の医療体制。実は自宅で療養や待機をする人はおよそ1万6千人にのぼり、ここでも深刻な状況に陥る人が相次いでいます。

第4波に入り、少なくとも14人が感染確認後、自宅で死亡(5月1日時点)。容体が急変しながらも、医療につながることができない事態が相次いでいるのです。

この危機的状況をどうしのぐか。

大阪府が急遽設置したのが、「入院患者待機ステーション」です。合計18床の仮設ベッドが設けられ、常駐する救急隊員が酸素吸入を実施します。搬送先が決まらないまま、救急車で長時間待機する事態を解消するのが狙いです。緊急避難的な患者の受け皿として機能していますが、受け入れ先の病院探しは依然として厳しいままです。

大阪府健康医療部・藤井睦子部長「待ったなしの状況ですので1日、1日、できる手を全て打つという思いで、できるだけ早く治療につなげると」

せめて命に関わる重篤な患者を優先的に治療につなぐ方法はないのか。

大阪府で患者の受け入れ数が最大規模の関西医科大学総合医療センターです。大阪府がこの病院の協力を得て始めたのが、緊急性の高い患者を見つける、「トリアージ」です。

府内全域の急変した患者を、いったんこの病院に運びます。CTで肺炎の状態を確認し、重症度を見極めます。一刻を争う患者がいた場合、比較的容体が安定した患者を速やかに転院させるなどして病床を空け、搬送しようというのです。

この日も自宅療養中に呼吸困難になり、7時間搬送先が見つからない患者が運びこまれてきました。

重症度がきわめて高いと診断されたこの患者。ここでは受け入れ困難だったため、大阪府は、急遽確保した重症病床への搬送を指示しました。

関西医科大学総合医療センター・中森靖副病院長「この第4派になって、今まで経験のないスピードで患者さんが増えて、正直医療現場は、自分たちのキャパシティーを明らかに超えた状況で本当に戸惑っています。限界と思いながらも、われわれが限界といったら、もうそこで医療崩壊ですので限界と思わずやりたいと思います」

武田アナ「50代で亡くなる方もいるという、本当に胸が痛むとともに、人ごとではないという思いがいたします。政府の分科会の会長を務める尾身さん、この大阪の現状を踏まえて今どういう危機感をお持ちですか?」

尾身会長「今の大阪の状況を見ても明らかなように、この変異株は感染力が強い。それと感染すると比較的若い人でも重症化しやすいってことがわかって来ましたね。そういう意味では、今は第4波に入ったとよく言われますけれども、これは新しいフェーズに入ったというふうに思います。この意識を大阪の人だけでなく、全国の人が共有する必要があると思います」

武田アナ「そしてもう一方、東京医科大学特任教授で変異ウイルスの感染状況を分析している濱田さん、この重症から自宅療養まであらゆるレベルで病床がひっ迫して、危機的な状況になっているこの大阪の現状から、どんなことをお感じになってますか?」

濱田特任教授「変異ウイルスによる医療崩壊間近の状況といっていいと思うんですが、昨年新型コロナがはやり始めた3月ですかね、イタリアで医療崩壊が起きて多くの方が亡くなりました。こういったことは日本ではまず起きないんではないかと思っていたんですけど、実際そういう事態に直面している。もともと日本ではICUとか重症用ベッドが少ないということがあって、大阪ではコロナの流行で重症センターみたいなものをつくって、第3波までは乗り切ったんですが、この第4波で変異ウイルスの流行で、医療がもう本当にひっ迫して崩壊間近。これは大阪だけの問題ではないですね。やはり同じようなことが首都圏、そして日本全国で起こり得るというふうに考えます」

武田アナ「尾身さん、大阪のこの危機的な状況ですね、行政ができることがあるとすれば、どんなことがあるんでしょうか?」

尾身会長「もうこれは自然災害、あるいは災害医療という考え方が必要だと思います。普段とは違ってこれは機動的に対応することが必要で、都道府県の中では今まで以上に関係者の連携ということが重要です。それから国の方もですね、各都道府県のいろんな努力を全国的なレベルで支援するというオールジャパンでの取り組みが必要です。例えば医療関係者の全国的な仕組みで派遣するとか、あるいは患者さんの搬送なんてことも、広域的にやることが今まで以上に求められるていると思います」

牛田アナ「大阪府で2回目の緊急事態宣言が解除されたのは3月1日です。このころすでに変異ウイルスの感染は大阪や兵庫で確認されていました。解除後、大阪府は重症病床の確保計画を減らす検討をするよう、医療機関に連絡します。当初200床を超えていた、すぐに使える重症病床は、4月1日時点で156床まで減少しました。ところが変異ウイルスの感染が急拡大し、重症患者も増加します。4月13日この重傷病床を重症患者数が上回り、危機的な状況が続いています。

武田アナ「強い対策をどう出していくのか、この医療提供体制をどう備えていくのか、判断の難しさが改めて浮き彫りになったわけですけれども、尾身さんはこの大阪の経緯からどんな教訓が得られるとお考えでしょうか」

尾身会長「最も重要な教訓というのは、重点措置とか、緊急事態宣言を打つタイミングと、それからそうした対策を解除するタイミングですよね、これが非常に重要だと思います。発出するタイミングというのは、実は変異株の出現で感染の拡大が始まってから、医療のひっ迫が起こるまでの時間が短くなってきてますので、遅滞なく機動的に対応するということが重要です。それから解除も、あまり早く解除すると、すぐにまたリバウンドが起きてしまうので、解除は慎重にやる、ということが重要になってくると思います」

牛田アナ「その緊急事態宣言の効果についても懸念が指摘されています。こちら宣言が出たあと4月26日月曜日の繁華街の人手を1週間前と比べたものです。大阪や東京では1、2割減っています。

これは去年(2020年)の春の1回目の緊急事態宣言の時と比べたものです。大阪心斎橋付近では23%増加。東京渋谷駅付近では124%増加と2倍以上も増えています。

こうした中、自分が感染する可能性があるという意識が十分浸透していないことも見えてきました。感染対策について全国8000人から回答を得た東京大学などの調査では、体調が悪化したときの相談先や移動方法を準備しているかという質問に対して、46.6パーセント『当てはまる』、『とても当てはまる』と答えました。同じ調査を去年の3月にしています。41.5%でこの1年間で変化はほとんど見られませんでした」

武田アナ「尾身さん、大型連休始まりましたけれども、緊急事態宣言下で人出をできるだけ減らすことを行政は今求めてるわけですよね。ただ市民の間にこの変異ウイルスの脅威に対して、危機感を十分に共有できていないということも浮かび上がっているわけですけれども、この点はどうお感じでしょうか?」

尾身会長「アンケートによると、今まで感染を免れた人は、これからも感染しないんじゃないかと多くの人が思っているらしいんですね。これはもう変異株の出現で、そうではないことがわかってきました。最近、路上飲みっていう風景が報道されますと、今回の緊急事態宣言が出ても人流が全く減ってないんじゃないか、というイメージがあるんですけど、実は直近のデータの分析によると東京でも少しずつ、多くの人の協力があって人流が減ってき始めているんですよね。こうしたいい傾向ですね、これからの緊急事態宣言の期間中もしっかりと定着させることが私は重要だと思います」

牛田アナ「N501Yと呼ばれる変異が確認されたウイルス、感染力は強く、若い世代での重症化リスクも指摘されています。この変異ウイルスへの置き換わりは、4月末時点で関西や福岡県、沖縄県では8割以上。関東地方や愛知県でも5割から7割に達しています。最新研究で変異ウイルスのメカニズムが明らかになってきました」

<まるで別次元の猛威?N501Y変異ウイルス>

大阪大学、微生物病研究所。

新型コロナウイルスに感染した細胞が死んでいく様子を、世界で初めて8Kの映像で捉えました。

下の画面を埋め尽くす丸い粒は、すべて、正常な細胞です。

ここに、新型コロナウイルスを投入します。すると・・・あちらこちらで、感染した細胞の形が歪み始めました。そして、次々とちぎれるように破壊され、死んでいきます。

大阪大学微生物病研究所・中山英美准教授「目に見えて細胞が壊れていく。こんなに簡単に増えちゃうっていうことは、やっぱり怖いな」

研究者も驚くほどの勢いで感染を広げ、増殖していく新型コロナウイルス。その威力が、いま急増している「N501Y」という変異を持つウイルスでは、さらに強まっている可能性が、最新研究から見えてきました。

明らかにしたのは、ケンブリッジ大学、ラビンドラ・グプタさんです。

グプタ教授「N501Y変異ウイルスは、従来株よりも、およそ5倍の強さの結合力があることがわかりました」

新型コロナウイルスの表面には「突起」があります。その突起が、私たちの体の細胞に取りつくことで感染が起こります。

突起の構造を詳細に分析すると・・・、N501Y変異を持つウイルスはごく一部、黄色く示した3か所で、形が変化していることが分かりました。それによって何が起きるのか?

グプタさんが実験で調べたのは、ウイルスの突起と、私たちの細胞の『結合力』、つまり「くっつきやすさ」です。

まず、従来株の突起を人の細胞に結合させました。すると多くの場合、1度結合した突起が、その後、はがれることが確認されました。次に、N501Y変異ウイルスの突起を細胞に結合させると・・・今度はなかなかはがれません。N501Y変異ウイルスの突起は、従来株のおよそ5倍も長い時間、人の細胞に結合する力があることが分かったのです。

グプタ教授「多くの場合、ウイルスは細胞と接触しても、その時間が短くて、感染には至りません。しかし、くっつく力が増すと、ウイルスと人の細胞との結合が長く続き、より確実に感染してしまうことになるのです」

大阪大学のウイルス研究者、中山英美さんは、この『結合力の強さ』によって、N501Y変異ウイルスの重症化率が高まっているのではないかと考えています。

中山准教授「結合力が上がるということは、同じ量のウイルスがいたときに感染する細胞の数が増えるということだと思います。その細胞はいずれ死ぬわけです。ウイルスによって破壊される場合もありますし、免疫のターゲットになって免疫細胞によって殺される場合もあります。そうすると、例えば胸のCTが真っ白になっていくとか、そういう形で重症化のトリガー(引き金)になると考えられます」

体内でより増殖しやすいN501Y変異ウイルス。感染を拡大させる力が、これまで以上に強い理由についても分かり始めています。

最新の論文では、N501Y変異ウイルスの感染力は、従来株より1.3倍から2倍上昇すると、報告されています。その原因として注目されるデータを示したのが、オックスフォード大学のある論文。N501Y変異ウイルスの感染者の体内から、従来株の感染者より3倍も多いウイルスが検出されたといいます。

特に問題となるのが、喉や鼻などでウイルスがより多く増殖することです。となると、注意が必要なのは、『マイクロ飛沫』。マスクをしないで会話をするときなどに飛び散るごく小さな飛沫です。

N501Y変異ウイルスの場合、飛沫に含まれるウイルスの量が一段と多くなることで、これまで以上に感染が広がりやすくなっていると、専門家は警戒しています。

中山准教授「同じだけの会話、同じだけの距離で、人と人が接した場合でも、そこにいるウイルスの量がいつもより濃い。今までよりも濃厚に漂っている可能性を考えます。どの年代の方に対しても、同じように感染の危険は上がっていると思います」

武田アナ「このN501Yの変異があるウイルス、濱田さんはその脅威をどうご覧になっていますか」

濱田特任教授「このN501Y変異、日本で流行している変異株ですが、イギリスで発生したということで、イギリス型というような言い方もしています。このイギリス型の変異株の場合は感染力が強いと言うことがまず言えるわけなんですね。その結果、感染者数も多くなる。それとともに重症化もしやすい。従来株の場合には、お年寄りとか高齢者が重症化しやすかったんですけど、若い方でも重症化をするいうことですね。それもかなり急激に重症化するということが、今だんだん分かってきています。この1年ちょっと新型コロナというウイルスが流行して、パワーアップしたウイルスになってしまった、それが今、変異株として流行している、というふうに考えて頂いてもいいんではないかと思います」

武田アナ「これまで感染しにくいと言われてきた、子どもへの影響はどのくらい分かっているんでしょうか?」

濱田特任教授「もともと新型コロナ従来型のウイルスは、お子さんにはあまり感染しないと言われていたんですが、今回流行しているN501Y変異を持ったウイルスは、お子さんに感染しやすいわけではないんですけど、お子さんに感染すると、症状はあまり出なかったりすることが多く、重症化もそれほどないんですが、お子さんが感染源になってしまう可能性もあるということなんですね。そういうことで今後お子さんの流行状況というのも注視していかなければいけないんじゃないかと思います」

牛田アナ「そして最近になって確認された集団感染、こんなケースがありました。大学生の外での飲み会ですね。こちらは『密閉』と『密集』には当てはまりませんでした。そしてこちらは演劇の稽古。全員がマスクを着用して2メートル以上の間隔を空けていました。『密集』と『密接』には当てはまりませんでした。この3密の条件がそろわなくても感染が広がったケースがありますが、尾身さんはこれどう見ていますか?」

尾身会長「去年のはじめ、私ども専門家はいわゆる3密の今の3つの円が重なったところが、非常に感染のリスクが高いということを強調させて頂きましたけど、ここに来てですね、必ずしも3つの円が重ならなくても、例えば『密接』だけですね、野外でのバーベキューなんていうのは、それほど『密集』もしてないし、『密閉』でもないんだけど、マスクなしで『密接』しちゃうと、感染するということで、3密の円が重なったところが、これからも重要なんですけど、必ずしも重なってないところでも、変異株の影響がある可能性がありますけど、そういうことも注意しなくちゃいけないっていうフェーズに来たんだと思います」

武田アナ「では、どんなことに気をつければいいのかということなんですけれども、事前に尾身さんに伺いました。『マスクの徹底』と『換気』。これまでも再三言われてきたことですよね。改めてここを強調なさるはどういうことでしょうか?」

尾身会長「今までは、接触感染だとか飛沫感染ということが十分言われてきたわけですけど、ここに来て私はいわゆる『マイクロ飛沫感染』ということが非常に重要になってきたと思います。その中で特に2つの点が重要で、『換気』ですよね、換気というものが今まで以上に重要。それからマスクも重要なんですけれども、皆さんに提案したいのは、いわゆるウレタンマスクというのではなくて、不織布のマスクですね。このほうが感染防止により効果的っていうことが分かってますので、是非、不織布のマスクをできれば着用していただければと思います」

武田アナ「そして濱田さん、ワクチンなんですけれども、この変異ウイルスには効果があるんでしょうか?」

濱田特任教授「今、日本で流行している変異株、イギリス型というふうに私、先ほど言いましたけど、これについては今、日本で接種が開始されているファイザーのワクチンとか、ほとんどのワクチンが効果があるというふうにされてはいます。ただ同じN501Y変異がある、南アフリカ型とかブラジル型とか、それからインドで最近拡大しているといわれる、インド型といった変異株ですね、こういったものにはあまり効果が出ないんではないか、という研究発表が多くなってますね。今、日本にはまだ南アフリカ型、ブラジル型は、そんなに多くは侵入してないんですけど、今後日本にこういったものが侵入してくると第5波、第6波みたいな形で流行する可能性があって、そうなった場合に今のワクチンだけでは効果がないんで、追加接種みたいなものとかですね、新たなワクチンというものも必要になる可能性はある、というふうに考えておいたほうがいいと思います」

牛田アナ「今その変異ウイルスの脅威にさらされ始めているのが首都圏です。先週公表された東京都の試算では、ほぼ全て変異ウイルスに入れ替わった場合、今月(5月)中旬には新規陽性者が1742人、入院患者が現在の2倍以上にあたる4450人に急増するとされています。

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