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ジェンダーサイエンス(1)「男X女 性差の真実」

NHK
2021年11月3日 午後8:17 公開

番組のエッセンスを5分の動画でお届けします

(2021年11月3日の放送内容を基にしています)

ジェンダーとは、社会的、文化的に作られた男女の区別。私たちの中にある「女らしさ」「男らしさ」といった先入観などのことです。性格、能力、体の特性などについて、男女は違うという考えが、無理解や性差別の原因にもなっています。体の性の実態に、最新科学で切り込み、ジェンダーを問い直します。あなたの体にも潜む性差にまつわる神秘の世界をご覧ください。

久保田祐佳アナウンサー「ジェンダーを見直していくために、きょうは生物としての男女の違いに科学のチカラで徹底的に迫っていきます。まずは私たちの体の性がどう作られるのか。その神秘的な仕組みを教えてくれる場所があります」

<世界の科学者が注目する村  神秘!こうして性が作られる>

カリブ海に囲まれた島国、ドミニカ共和国。世界の研究者が注目するサリーナス村があります。人口5000人ほどのこの小さな村では、ある不思議な体験をする人たちがいます。

その一人、カルラ・テレーロさんです。私たちが8年前に撮影したもので、当時は8才。小学校に通う女の子でした。

ところが、今回、カルラの家を訪ねると、現れたのはこちらの男性。現在のカルラです。なんと、少女から青年に変身し、名前もカルロスになっていました。

カルロスさん「腕の筋肉が増え、声が低くなりました。性器も変わっていったんです」

生まれたとき、男女を見分けるのは外性器の形。カルラの体の特徴は確かに女の子でした。それが男性の特徴に変化したというのです。

カルロスさん「今は良い気分です。本来の自分でいられて、うれしいです」

不思議な体験をした人は他にもいます。こちらの兄弟も。

「すべてが変わりました」「女の子から男の子に」。なんと、二人そろって体が変化しました。

サリーナス村は、体の性が変わる現象が起こっている村。少なくとも村人の50人に1人が体験しています。なぜ、体の性が変化するのか?そこには、私たちにも潜む「体の性が作られる神秘的な仕組み」が関わっています。性別はどう決まるのか?その始まりは受精です。

X染色体を持つ卵子。

そこに向かっていく精子は、XかY、どちらかの染色体を持っています。卵子に、X染色体を持つ精子が受精すれば、遺伝的には女性。Y染色体を持つ精子が受精すれば、遺伝的には男性です。胎児の体は、最初、男性でも女性でもありません。その後、Y染色体が働くと精巣が作られます。しかし遺伝子の働きは主にここまで。この先はある物質が体の性を作っていきます。「性ホルモン」です。

受精から8週目。精巣から、男性ホルモンであるテストステロンの分泌が始まります。このテストステロンシャワーが全身を巡り、外性器など男性の体を作っていくのです。

カルロスさんの場合、遺伝的には男性です。しかし、精巣から分泌されるテストステロンの働きが弱く男性的な特徴が現れませんでした。では、なぜその後、少女から男性に変化したのでしょうか。理由は、思春期に再び分泌されるテストステロンシャワーです。

思春期のテストステロンシャワーは、胎児のときより長期間にわたって働き続きます。さらに、細胞もホルモンに反応しやすくなっています。この結果、わずか1年ほどでカルロスさんの体には、急激に男性的な特徴が現れたのです。

国立成育医療研究センター 堀川玲子さん「体が男性とか女性とか、典型的なものになるためには、さまざまな因子が働きます。特に精巣から出てくる男性ホルモンが働くと、体が男性化してくることになります。ホルモンが不十分であったりすると、典型的な男性にならない。それから、女性であっても男性ホルモンが多く出るような場合には、体が男性化するということがみられます」

久保田アナウンサー「サリーナス村だけなんでしょうか。どうしてこういうことが起こるんですか」

麻布大学教授 ホルモンの専門家 菊水健史さん「サリーナス村の人たちの中には、ほんの少しの遺伝子の変異があります。テストステロンが作用するときに、その効果をさらに強める酵素があるんですが、変異によってそれがうまく働かず、男の子なのに男性的なものになりにくいということが分かっています」

千原ジュニア「XとXがいわば完全体ということなんじゃないんですか」

菊水さん「それが基本形です。ほ乳類というのはXXで女性型が生まれてくるんですけど、そこにYがたまたま入ったことによってテストステロンが作られる。男性型がスピンアウトするみたいに作られていくんですね」

<あなたの臓器にも性別が!?  体型や病気との深~い関係>

胎児期、そして思春期に、体の性を作り上げた男性ホルモン。思春期以降も高い状態が続き、体の性差を維持し続けます。

男性ホルモンが特に強く作用する臓器は、脊髄、骨格筋、肝臓、心臓など。こうした臓器は、男性ホルモンがくっつく受容体の数が、とても多いのです。

骨格筋は、男性ホルモンで強く発達します。皮下脂肪では、男性ホルモンが脂肪を燃やします。だから男性は、筋肉が多く、脂肪が少ない傾向があります。一方、女性ホルモンが強く作用する臓器は、扁桃腺、肺、リンパ節、乳腺など。血管は女性ホルモンが働くと、弛緩(しかん)します。すると、血管がしなやかになり、女性は動脈硬化になりにくいのです。また、血管内を移動する免疫細胞は、女性ホルモンで活性が高まります。女性が男性より、新型コロナなど感染症で重症化しにくいのは、このためとも考えられます。私たちの体の性差や、病気のなりやすさやなりにくさも、性ホルモンの働きによって、作り上げられているのです。

菊水さん「これまでの医療って、実は男性優位型で進んできたんですね。例えば、薬を開発するときも、雄の動物を使ってまずテストして、薬になりそうだったら男性の被験者を集めて、人でも男性を中心に評価されてきたんです。でも、臓器によってかなり性差があるので、今はもう、性差医学というんですけど、性差をちゃんと考えた上での医学を進めましょうということで、女性の場合はこういう反応、男性の場合はこういう反応というのをデータとしてちゃんと集めるということになってきています」

千原ジュニア「男性でも男性ホルモンの多い少ないがあるじゃないですか」

菊水さん「横軸の数字はテストステロンの濃度。縦軸は、人口比率みたいになっていまして。高い人は200ぐらいあるのに、低い人は25ぐらいしかない」

YOU「逆にその、めちゃめちゃ鍛えてる人は筋肉がついていくじゃないですか。(テストステロンは)調整できるってことですか」

菊水さん「そうです。運動や筋トレは、テストステロンを上げていくんです」

久保田アナウンサー「女性も男性ホルモンが出ているんですよね」

菊水さん「男性ホルモンというと男性しか出してないようなイメージがあるんですけど、女性もかなりの量を出しています」

菊水さん「高い女性の場合、男性の平均値ぐらい出ている方もおられて、このデータを見ると、男性と女性ってきれいに分かれるものではないので」

YOU「そもそも、男性ホルモン、女性ホルモンっていう言い方はどうですか?」

菊水さん「そうですね。そういうふうに区分されるのはナンセンスだと思っています」

千原ジュニア「あともう何十年かしたら、なくなるかもですよね」

久保田アナウンサー「性ホルモンが私たちの体の男性らしさ、女性らしさと大きく関わっていることが分かってきたかと思うんですけれども、もう一つ気になる場所、ありませんか」

YOU「脳の性差みたいなことはどうなっているんでしょうね」

<男X女 脳の性差に迫る  すごいぞ!“モザイク脳”>

今、男女の脳の性差について、新たな考え方が広がりつつあります。アメリカで、4年前から始まった出生証明書の改訂。性別欄は、男、女に、X(エックス)が加わりました。Xは男女どちらでもなく、成長後に、自分が意識した性別を選ぶこともできます。

男女の脳の違いについて興味深い実験があります。実験に参加するのは、1歳前後の赤ちゃん。周りにおもちゃを並べ、どのおもちゃが好きかを調べます。200人の赤ちゃんについて、どのおもちゃに触れていた時間が長いかを調べたところ、女の子は、女の子向けとされているおもちゃに触れていた時間が長く、男の子ではその逆でした。

科学的には、生まれたばかりの赤ちゃんには、はっきりとした性差があるという意見が主流です。それにはあの胎児期のテストステロンシャワーが、影響していると考えられています。全身を巡るテストステロンは、脳の内部にまで入り込み、男女の脳の違いを作り出している可能性があるのです。ということは「男女の脳は違う」ってこと?話はそんなに単純ではありません。

イスラエルの研究チームは、18歳から80歳までの1400人の脳を、MRIを使って調べました。すると、女性グループと、男性グループで、大きさが違う場所が見つかりました。特に差が大きかった場所は10か所。例えば、記憶をつかさどる海馬(かいば)は、平均的には、男性より女性の方が大きく、記憶力は女性の方が優れていると考えられてきました。他にも、運動機能に関わる小脳虫部(しょうのうちゅうぶ)、自己認識に関わる上前頭回(じょうぜんとうかい)、愛着に関わる尾状核(びじょうかく)などで、男女で大きさに違いがあることが分かりました。

この研究の本題はここからです。女性グループ、男性グループの平均ではなく、個人個人の脳はどうなっているのか、詳細に解析したのです。その結果です。10か所を10の球体で表します。赤色が濃いほど女性寄りの大きさ、青色が濃いほど男性寄りの大きさ、中間の場合は白です。

上の左図は、ある男性の脳。10か所すべて青色です。そして、右図は、ある女性の脳。中間を示す白い場所もありますが、ほとんどの場所が赤色で、青色はありませんでした。でも、このように明確に男性寄り、女性寄りと言える人は、全体の10%にすぎませんでした。では、残りの90%の人の脳はというと?

赤色と青色の場所の両方が存在するいわば「男女モザイク脳」。ほとんどの人はこうした脳であることが分かりました。集団の平均値では男女の違いはあっても、個人でみると、大半の人の脳は、女か男のどちらかに分けられるようなものではないのです。

<男X女 脳の性差に迫る  多様性はどう生まれる?>

でも、なぜ多くの人の脳が、男女が入り混じるモザイクなのでしょうか?そこには、あなたを取り巻く環境やあなた自身の経験が関係しています。それを教えてくれる、こちらの実験をご覧ください。現れたのは生後9か月の赤ちゃん。受け取ったのは、お父さんです。

15分間、触れ合ってもらった後、お父さんのだ液の中のテストステロンを調べます。

わが子に触れた後、一時的にですが、42%も減少しました。

こちらの男性も、33%減少。赤ちゃんに接するという経験だけで、性ホルモンの分泌は、大きな影響を受けます。触れ合いが習慣化すると、脳活動にも変化が現れることが分かっています。子どもに対する愛情など「親性(おやせい)」といわれる脳の反応が上昇したのです。

生活環境や社会環境、さまざまな人との出会い、交流、学びなどの経験。あなたの人生のすべての経験が、脳や、脳に影響を与える性ホルモンまで変化させます。その結果、男女どちらかではとてもくくれない、あなただけのモザイク脳が生まれるのです。

テルアビブ大学 ダフナ ジョエル博士「ジェンダーは、私たちを男か女の2つの枠に押し込めようとします。でも私たちの脳はそうではありません。脳は体ほど明確に、男か女のどちらかではないのです。なぜなら脳は男女が入り交じるモザイクだからです」

さらに、最新の脳科学は、新たな脳の多様性の秘密を解き明かしつつあります。中でも注目されている場所が「分界条床核(ぶんかいじょうしょうかく)」。自分の性別をどう思うかに関わる「性自認の中枢」だと考えられています。

南米、エクアドル。ダイアンさん、ザックさん夫婦です。4か月前、二人は赤ちゃんを授かりました。実は彼ら、他の男女のカップルとは少し違う部分があります。妻のダイアンさんは心の性別は女性ですが、体は男性。一方、夫のザックさんはその逆です。トランスジェンダー同士のカップルです。赤ちゃんを出産したのは、夫のザックさんです。

性自認に関わっているのが、分界条床核の大きさです。分界条床核は、男性の方が女性より大きいのが一般的です。しかし、体は男性でも心が女性の場合、その大きさは女性に近く、一方、体は女性でも、心が男性の場合、男性に近いことが分かりました。

大きさの違いには、胎児期に男女の脳の性差を生み出していたあのテストステロンシャワーが関わっているといいます。下の写真は、世界で初めて捉えられた分界条床核が作られる瞬間。線で囲んだ部分は、最終的に分界条床核ができる場所です。粒状に見える神経細胞が移動して集まり、分界条床核を作っていきます。

このとき、テストステロンが多いほど、より多くの神経細胞が集まり、神経細胞が死んで減る量も少なくなるため、分界条床核のサイズは大きくなります。

埼玉大学教授 塚原伸治さん「例えば、男性ホルモンの量がちょっと少なかったり、ちょっと多かったりすれば、男性の脳のでき方も少し変わるわけで、そういうような少しずつの違いがバリエーションになって、いろんな個性を持った脳ができるんだと思います」

女性と男性、どちらの特性も入り交じる私たちのモザイク脳。性自認の多様性もまた、社会を彩るモザイクの一部なのです。

麻布大学教授 菊水健史さん「LGBTの方々、性自認だけでなくて、例えば、性的指向というのがあって、それはどちらの性が好きですかとか、性的パートナーとして選びますかというのも、いくつか神経核が関わってくることも分かっていて、そこも男女で神経細胞の数の違いがあるんですけど、それもグラデーションになっていて。生物学的に考えると、みんながLGBTの素質を持っている」

久保田アナウンサー「こうしてみると、子どもの育て方も、いろいろなやり方があって良いということですよね?」

京都大学教授 脳と心の発達の専門家 明和政子さん「だいたい性自認というのは、4、5歳から明確に芽生えてくるんですね。子どもの主張に合わせて、どんな環境を提供するか考えることが大事ではないかと思います」

千原ジュニア「うちの息子が『ドレスを着たい』って言ったら、友達が『いやいや男の子はこっちやで』って言ったんですって。息子には『おまえが着たかったら着ていい。何も恥ずかしがることじゃない』というのは言いましたけどね」

YOU「ダメなんだって周りが感じさせてしまう。個性がどんどん摘まれていくのはおかしいことだなと思いますね」

久保田アナウンサー「思春期以降の子育ては?」

明和さん「思春期以降になって、例えば学校に行っても男性ばかりの集団の方が勉強楽しい、学校楽しいと思うかたもいると思いますし、自分は男性だけど、女性もクラスにたくさんいる方が心地良いと思うかたもいると思うんです。自分が心地良いなと感じられる時空間を自分自身で選べる。社会が押しつけない。これが本来、子どもたちに提供していかなくてはいけない社会なんじゃないかなと思います」

久保田アナウンサー「皆さん自分の脳がどんな感じなのか。男性的なのか、女性的なのか、あるいはモザイクなのか。実はイスラエルの研究チームが、研究の成果を元に、アンケートで脳のモザイクの状態が分かるチェックリストを作りました」

久保田アナウンサー「皆さんにアンケートに実際にお答えいただいています。私も含めたスタジオにいる5人の結果を。赤が女性的な部分、青が男性的な部分、白が中間を表しているんですね」

千原ジュニア「じゃあこれ、真っ白な人もいるってことですね」

YOU「なんか真っ白、憧れるなあ」

久保田アナウンサー「では、YOUさん」

菊水さん「あ、白い」

久保田アナウンサー「YOUさんのタイプは、とても珍しい。本当に中性的な。こういう結果は、なかなか出ないそうですね」

久保田アナウンサー「全体的な傾向を見ていただくものではあるんですけども、ここですね、YOUさんが白くて、ジュニアさんが赤くて、菊水さんが青いところは、『自分を男らしいと思うかどうか』。菊水さんは男らしいと思っている。YOUさんは中性的。ジュニアさんは、あまり男らしいと思っていない」

一同「(笑)」

久保田アナウンサー「きょうは、私たちの体の男女の違いに科学のチカラで徹底的に迫っているんですが、実は歴史的に見ると、今、男女の性にはある異変が起こっているそうなんです」

久保田アナウンサー「現代の男性のテストステロンの量を表したものなんですが、16年で25%減っているんです。男性の中性化が進んでいるということなんです」

<現代男性に異変!?  加速する中性化>

こちらのクリニックでは最近、ある悩みを抱えた若い男性が数多く訪れます。

男性「異性への興味自体もそこまで高いわけじゃない中で、性欲に関してはかなり低いんじゃないかなと思います」

男性「自分からは積極的にがんがんしゃべったり話を切り出したりする方ではないので。どっちかというと聞き役にまわることが多いので、そういうところで草食系って言われるのかな」

性欲や異性への興味が低いという若者からの相談です。院長の池岡さんは、こうした人たちのテストステロンを調べています。二人の若者のテストステロンは、平均値よりかなり低い値でした。相談に訪れた若者は、ほとんどが平均以下でした。

久保田アナウンサー「なんでこれだけ下がってきているんでしょうか」

菊水さん「テストステロン減少の原因は、運動不足・肥満・長期にわたるストレスと言われてきました。でも、ただそれだけでないことも分かってきています」

<男性中性化のヒミツ  人類進化の「宿命」>

男性の中性化に、実は、私たち人類の進化が深く関わっていることが最新研究から明らかになってきました。それを教えてくれるのは祖先の頭蓋骨。ここから、男性のテストステロンがどう変化してきたか分かるのです。これは30万年前、初期のホモサピエンスの男女の頭蓋骨。どこが違うか分かりますか?

違いが顕著なのは、眉の部分の隆起。男性の方がかなり高くなっています。この隆起、テストステロンが多いほど高くなります。初期ホモサピエンスの男性は、テストステロンがとても高かったと考えられます。当時の男性は、狩猟などに出るケースが多く、たくましい筋肉や闘争心を強化するために、テストステロンが大量に出ていたのではないかと推測されています。ところが、8万年前から5万年前の間に、眉の隆起に、大きな変化が起こります。

左上が8万年前の男性、右上が5万年前の男性。眉の隆起が、ずいぶんと低くなったのが分かります。テストステロンが減少した結果だと考えられます。一体、何があったのか?実はこの時代、人類は、他の生物では見られない特別な進化を遂げました。仲間と協力しあう。「集団社会」の芽生えです。祖先は、仲間と連携して狩りを行い、獲物を分かち合いました。こうした社会では、協力しあえる男性が有利。テストステロンが高く、攻撃的な男性は淘汰(とうた)されやすかったと考えられます。

デューク大学 スティーブン チャーチル博士「当時、男性は他の人と一緒に仕事をするために、より協力的になる必要があったのです。このため、テストステロンが少なく攻撃的ではない人が有利でした。彼らはたくさんの子どもを残し、人類の中性化が進んでいったのです」

「仲間と協力し社会を築くことで生き延びる」。その選択をした瞬間から、人類は、中性化という「宿命」を背負い続けているのです。

千原ジュニア「女性も中性化してるんですか?」

麻布大学教授 菊水健史さん「女性のテストステロン濃度は高い方にシフトしているんじゃないかと言われていて。もちろんメリットがあって、仕事や日々のチャレンジが増えてくるわけだし、いろんなストレスにも強くなるだろうと」

YOU「(人類は)中性化の方向に向かっていったのに、歴史とか見ると男女を区別するようになっていったのはどういうことなんですかね」

久保田アナウンサー「日本では大昔は女性も王になったりして、男女の区別をあまりしない社会だったんですね。変化が現れたのは飛鳥から奈良時代。中央集権国家が生まれた頃なんです。大宝律令という法律で、国民の徴兵とか納税が義務づけられて戸籍で男女を明確に分けるようになりました」

久保田アナウンサー「緑色が男性、黄色が女性で、男性から書かれているものなんです。これが今に続くジェンダー区分の始まりと考えられています」

久保田アナウンサー「それ以降は、社会の統率や国力増強を効率的に行おうとするために社会の仕組みとしてジェンダーが都合よく利用されてきた」

久保田アナウンサー「その結果、男女の格差を示すジェンダーギャップ指数、日本では調査を行っている156か国中120位という、かなり下のランキングなんですね」

京都大学教授 明和政子さん「『こんな生き方をしなさい』と言われてた時代には、恐らく人類進化の中では中性化はブレーキがかけられていた。ストップしていた可能性があると思うんですね。今、男性・女性問わず、みんなで働こう、みんなで子育てしよう。そういったものがすごく価値として認識されてきた中では、これから男性の中性化、女性の中性化というのは、もっともっと進んでいく可能性がすごくあると思います」

久保田アナウンサー「明和さん、この男女の中性化って、どんどん進んでいって大丈夫なんでしょうか」

明和さん「例えば精子が減って、本当に子どもを産み育てていくことができるのかという問題があります。それは事実なんですけれども、フランスとかスウェーデンとかは、精子が減っても、例えば子どもを産み育てやすい社会の仕組みを作るとか、生殖医療をしっかりと現場に届けるとか、そういったことをやっているので、いわゆる出生率は増えてるんですよね。人類の英知をフル活用すれば、少子化、出生率の問題は柔軟に解決あるいは支えていくことができるのではないかと思っています」

菊水さん「生物というのは、もともと子孫を作って、その命をつないでDNAをつないでいくことで生き延びてきたわけですよね。人類は協力社会を作って、さらに文化の中で近代医療も作られてきて、生殖という生物が持っているべきことの割合がすごく減ってきているんですね。新たな進化に近いものを獲得してきたわけですね。個人個人の幸せを達成するというような社会が今できているのは、そういう背景だろうと思います」

久保田アナウンサー「きょうはジェンダーについて科学で迫ってきたんですけれども、どうでしたか?」

千原ジュニア「今後子育てしていく上でも念頭に置いていろんなこと、気をつけなあかんなとも思いますし、みんながこういう意識を持って、いつかLGBTQなんていう言葉すらなくなるような世界になればと思いますよね」

YOU「まず自分からですけど、身近なところから尊重しつつ、どうやってみんなで共生していくかということ、また改めて考えなきゃいけないなと思いました」

あなたを取り巻く環境や経験、そして性ホルモン。すべての影響を受けながら、多様な性が作られていきます。最新科学が突き止めた体の仕組みを知ると、男女を隔てるジェンダー意識やLGBTは自分と違うという考えは、思い込みであることが分かります。