プロ野球座談会2023 ”セ・リーグ監督編”

NHK
2023年4月12日 午後11:12 公開

この時期恒例のプロ野球座談会。第2弾はセ・リーグ監督編!14年ぶりに世界一を奪還し、日本中を歓喜の渦に巻き込んだ“侍ジャパン”。WBCの戦いのさなか、彼らを送り出した6人の監督たちが一堂に会した。腹の探り合い?過去には遺恨も?ふだん見ることができない、6人の意外な関係性に注目! (2023年3月26日放送)

新監督2人を迎え6人が一堂に会す

新たに指揮をとる広島の新井貴浩監督。

-はじめての監督座談会で先輩ばかりですが緊張されますか?

新井貴浩監督:緊張はしないです。わたし(監督の)初心者マークついていますので、勉強できるものはすべて持ち帰る、そういう気持ちでいます。1番年下なのでどうなるんですかね。楽しみ半分、不安半分です。

やってきたのは都内のホテル。セ・リーグの座談会は、3年ぶりに6人が対面で一堂に会することができました。

セ・リーグ6監督集結 座談会スタート!

豊原キャスター:みなさまそろわれるとオーラといいますか圧といいますか迫力がありますね。

原監督:忙しいときに呼ぶからですよ。

中川キャスター:すみません。ありがとうございます。

原監督:われわれの休日に呼ぶから。

豊原キャスター:貴重な時間をいただきありがとうございます。

WBCについて

豊原キャスター:自分のところの選手が気になると思いますが、やきもきされたのは高津監督ではないかと。

高津臣吾監督(ヤクルト):村上(宗隆)が4番を打たせてもらって、最後は5番になりましたけど、打っていい笑顔をしていたので、いつもの村上だなという感じがしました。

三浦大輔監督(横浜):今永(昇太)も素晴らしいボール投げていたんで心配はしていません。

立浪和義監督(中日):うちは髙橋宏斗という若いピッチャーがひとり出ているんですけれども、非常にいい経験をさせてもらっているなと。

岡田彰布監督(阪神):源田(壮亮)が怪我して中野(拓夢)がショートに回ったんで、ちょっとヒヤヒヤしていましたね。ぱっと見た最初に暴投放ったんで、やっぱりセカンドかなと思ってね。

原辰徳監督(巨人):意欲的な人が世界中から集まった。これは栗山(英樹)監督の尽力であり人柄があれだけのメンバーを揃えたのかなと。非常に敬意ですね。

新井貴浩監督:力あるなというふうに、また団結しているなと感じました。

岡田監督と新井監督の関係性

今シーズンから新たに監督に就任する広島の新井貴浩監督と阪神の岡田彰布監督。ほかの監督たちとどのような関わりがあるのでしょうか。

2008年に岡田監督率いる阪神に移籍した新井監督。シーズン前半から主軸として活躍、チームの快進撃の原動力となりました。

新井監督:独特の野球観をお持ちの方なので、自分でも何て言ったらいいのかわからないんですけど、理解できないって言ったらちょっとおかしいですけど。

岡田監督:1年だけだったんで。だいぶ迷惑しましたけどね、僕はね。

新井監督:ちょうどその時は、開幕から結構独走してたんですよ。それで(その年に)北京オリンピックありましたので、そこで私も選んでいただいて。骨折しまして。

原監督:腰かなんか?

新井監督:そうです。戻ってきて試合に全然出られなかったんですけれども。

中軸の新井監督が欠場している間に猛烈な追い上げを見せたのが原辰徳監督率いる巨人。13ゲーム差をひっくり返し巨人が優勝を決めました。

原監督:(優勝できたのは)新井君のおかげだよ。

中川キャスター:私たちこんな情報を入手しておりまして、「送別会は・・・」ということで新井監督何か心当たりは?

新井監督:当時、金本(知憲)さんと言われる方がおられたんですけども、私声かけていただいてなかったんですよね。岡田監督の送別会に。

岡田監督:あれ断ったんじゃないの?

新井監督:いえいえ、違います。本当に違います。

原監督:なんか遺恨があるようだな。

新井監督:参加できなかったので、次の年の2月に岡田さんがキャンプを視察されるときにぜひお食事をということで、2人きりで送別会をさせていただきました。

監督たちのリフレッシュ方法は?

いろいろと気を遣わなければいけない新米監督。去年その立場だった中日・立浪和義監督からのアドバイスは。

立浪監督:ドラゴンズは最下位になりましたけども、思い切ってやることが一番じゃないかなと思います。体的には、負けが込むとやっぱりしんどいですよね。特にうちは全く昨年打てませんでしたし、非常に苦しかったんですけども。

中川キャスター:しんどい時などはどうやってリフレッシュをされていたのですか?

立浪監督:韓国ドラマが多いですね。

豊原キャスター:ガラっと(気持ちを)変える感じですか?

立浪監督:そうですね。

中川キャスター:新井監督は何かリフレッシュ方法、いま思いつくものありますか?

新井監督:お酒飲むのが好きなので、飲み過ぎない程度にリフレッシュしたいなと。

原監督:お酒飲めるっていいと思いますよ。サササッと飲んでパッと寝る。立浪監督はお酒飲めない人ですよ。三浦監督も飲めない人です。高津監督は飲む?

高津監督:ちょっとぐらい。

原監督:我々は比較的・・・その日ササっと。この先輩(岡田監督)たくさん飲みます。

岡田監督:大事と思うよ。それはね、大事。

原監督:パっと好きなお酒を飲んで、こてっと寝る。

新井監督:ありがとうございます。

三浦監督と新井監督の共通点は「インスタグラマー」

時にはお酒の力も借りながら、1年目のシーズンへと臨む新井監督。三浦大輔監督との共通点は、お2人とも「インスタグラマー」なこと。

三浦監督:僕は昨年からちょこっとやっているぐらいなんで。ファンの方の声を直接聞けるのはよかったですね。

中川キャスター:フォロワー数をここで確認させていただきますと三浦監督は4万人。そして新井監督は10万人。

新井監督:インスタグラマーって何ですかね?私ガラケーしか持ってないので。事務所ですかね?三浦さんとは事務所が一緒ですので。事務所とはいろいろやりとりをしまして、そこで発信させていただいています。

原監督:君たちがやっている訳じゃないんだ。

三浦監督:僕はやってます。

新井監督:私も確認はしています。

中川キャスター:ガラケーを愛用されていると。なかなか珍しいですね。

新井監督:珍しいんですか?

原監督:珍しいでしょう。誰かいる?近くに。いないでしょう。

高津監督と新井監督は同じ高校の“先輩・後輩”

そんな新井監督と出身高校が同じなのが、ヤクルトの高津臣吾監督です。広島県立広島工業高校出身。

高津監督:まさか同じ高校から同じ時期に監督をやらせていただけると思っていなかったので、高校自体も盛り上がっているでしょうし、少しそういうところも意識して戦っていいのかなとは思っていました。そういう見方があってもいいんじゃないかなと思っています。

豊原キャスター:嬉しいものですか?

高津監督:そうですね、嬉しく思います。

原監督と岡田監督は高校時代のライバル

出身校が同じ2人がいる一方で、高校時代ライバルだったのが、原監督と岡田監督です。

原監督:高校ですね。日本代表チームが僕いて、それで大阪選抜チーム、代表チームで岡田さんがピッチャーでしたね。あとは大学に入ってからはちょこちょこやりました。

大学時代、原監督は東海大学、岡田監督は早稲田大学。お互いに切磋琢磨しながら、スター選手として活躍しました。

豊原キャスター:お2人とも1979年の第8回日米大学野球のメンバーで、3番サード原、4番ショート岡田。

岡田監督:僕はショート守っていたんですよね。原監督が「ショート守れない」というからね。

原監督:1つ先輩でしたし、かわいがって頂いたっていうところですね。非常にリスト(手首)というか、すごく我々にはまねできないようなバッティング、独特のバッティングをされていましたね。肩も強かったし、そういう意味では、僕が勝てるとこっていうのは何1つなかったと思いますよ。

岡田監督と三浦監督

その後、ドラフト1位で阪神に入団した岡田監督。1年目から3割近い打率を残し、新人王を獲得しました。そんな岡田監督に憧れていたのが・・・。

三浦監督:うちの父親が岡田監督の後援会に入っていましたので、僕は子供の頃からその後援会に参加させてもらっていました。

岡田監督:中学生ぐらいかな、なんかソフトボールやったよね。

三浦監督:いきました。ソフトボール大会。中学、高1ぐらいです。

豊原キャスター:当時から覚えていらっしゃる?

岡田監督:覚えてます覚えてます。

豊原キャスター:そういう2人が監督として戦うというのは三浦監督いかがですか?

三浦監督:プロに入れたこともすごいご縁ですし、監督と選手でも対戦させていただいて、今度は監督同士で対戦する。たぶん1番うちの父親が喜んでいるかなと思うんですけど。

テーマ「ことしのチーム“○○”が違う」

続いてのトークテーマは「ことしのチーム“〇〇”が違う」。去年最下位だった中日・立浪監督があげたのは「新しい顔ぶれ」。

立浪監督:10年でAクラスが1回という、ここ最近のそういう成績ですから、これはもう変えないと変わらないと、そういう判断しましたので思い切って変えていきます。

中日の新しい顔ぶれ、外国選手ではアキーノ選手、カリステ選手、そして3年ぶりに戻ってきたアルモンテ選手。楽天からは通算154勝の涌井秀章投手。さらにDeNAから左のセットアップとして期待がかかる砂田毅樹投手が新たに加入しました。

立浪監督:特に涌井はもう本当にすばらしいものを今のところ出してくれていますし、当然戦力として期待はしています。

中川キャスター:去年の座談会で立浪監督は岡林勇希選手がブレークするとおっしゃっていて、見事そのとおりになりました。

岡林勇希選手は3年目だった昨シーズン最多安打を獲得するなど、まさに立浪監督の予言通りの活躍でした。

中川キャスター:ことしはどの選手がブレークするとかありますか?

立浪監督:ことしは、亜細亜大学からとった田中幹也という非常にすばらしい選手が入ってくれたのですが、小柄ですけどチームを変えてくれる、そういう選手ではないかなと思っています。

続いて広島・新井監督があげたのは「結束力」。監督として初めて臨んだ去年秋のキャンプでは、選手たちにこんなことを伝えていました。

新井監督「お前たちが思っている以上に俺はお前たちに期待してる。カープっていう大きな家の中にお前たちはいるんだから、家族同然だ。」

現役時代ともに戦った選手もいるなか、熱い思いで選手たちに寄り添います。

新井監督:私自身が選手と本音でぶつかることだと思います。本音を腹の中をさらけ出して選手ひとりひとりとぶつかっていくことが結束力につながってくれるんじゃないかなと思っています。

中川キャスター:高校の野球部先輩の高津監督は今の話を聞いていかがですか?

高津監督:非常に参考にさせていだたこうかなと。みんなで束になってかかっていくというところは、やっぱり団体スポーツとしてすごく大事なことですし、そこが崩れてしまうと、本当にバラバラになってしまうので、すごく大事なことだと思いますけどね。

新井監督:頑張ります。よろしくお願いします。

監督経験16年の巨人・原監督の答えは「スイッチ」。

原監督:昨年までのチームというものをある種壊して。メンバーも変わりました。コーチもかなり元気のいいコーチの人たちも来ました。ソフトバンクから(加入した)松田宣浩というすばらしい実績を持ちながら、しかし野球に対する情熱というものをまだまだ燃やし続けている。そのスイッチの入れ方がやっぱりすごいんですね。日頃は宿舎にいるとおとなしいですよ。どこにいるんだろうというような感じですが、ひとたびグラウンドに入る、あるいはスイッチを入れるとかなり変貌するわけですね。そういう意味でも(坂本)勇人やベテラン選手もまだまだ伸びなきゃいけないと。新たに全員がスイッチを持って試合に臨む。オフというスイッチはいらないにしても、オンというスイッチは持たせて戦う。

豊原キャスター:立浪監督、やっぱり元気は大事ですか?

立浪監督:大事だと思いますね。どちらかというとドラゴンズは最近元気が特にないというふうに見られがちでしたし、どんどん元気を出してやろうということは常々言っています。

5年連続でエラーの数が12球団最多の阪神・岡田監督があげたのは「守り」。

岡田監督:失策は5年連続で一番多いみたいですけど、防御率はずっとここ何年かタイガースはいいんで、その辺をもっと全面的に出していけばもう少し上積みできるんじゃないかとは思いますね。

かつてセカンドの名手としてゴールデングラブ賞に輝いたこともある岡田監督。60歳を超えてもなお、自ら体を張って選手たちを徹底指導しています。

岡田監督:打つ方よりも守りを重視した方が勝つためには1番じゃないかなとは思いますね。はっきり言って打つ方はあんまり期待してないです。

打撃に関してはやや悲観的ですが、ドラフト1位で入団したルーキーの森下翔太選手。オープン戦でも好調を維持しています。

岡田監督:(2022年の)ドラフト(巨人に)負けましたけどよかったです。はっきり言ってね。くじで負けたんですけどね。

原監督:それはなんとか惜しみじゃないわけですね?

岡田監督:いやいや。本当に活躍して欲しいですね、両選手には。

そしてDeNA・三浦監督は「投手層」。

原監督:なんかすごいピッチャーが来るみたいだな、額面通りなら。

三浦監督:はい来ました。その通りやってくれれば。

超強力な新戦力が加入しました。トレバー・バウアー投手です。多彩な変化球を武器に大リーグで2桁勝利を5回、3年前にはサイ・ヤング賞を獲得しました。

三浦監督:サイ・ヤング賞獲った投手が日本に来るってなかなかないことですから、非常に楽しみにしております。しっかりローテーションを守ってくれれば、おのずと結果はついてくると思っていますし、ほかの投手にも非常にいい影響を与えてくれるんじゃないかと期待しいています。

さらに、去年受けた難病の手術を乗り越えカムバック果たした三嶋一輝投手

三浦監督:三嶋が戻ってくるので、リリーフの厚みも増したかなと思います。山﨑(康晃)がいて、E.エスコバー、伊勢(大夢)、入江(大生)もいますし、本当にリリーフのローテーションもところどころ休ませながらもできるぐらい、厚みは増してきたかなと感じています。

そして3連覇を狙う、ヤクルト・高津監督は「若手の目の色」。

高津監督:ことし勝ちたいのはもちろんですけど、3年後5年後、将来的にはチームの中心となっていくような、そういう選手が毎年出てこないとなかなか継続して強いチームを作って行くのは難しいと思います。昨年のことを考えると、一昨年ほぼ一軍でやったことのない選手が、木澤(尚文)も含めてですけれども、出てきてくれたっていうのは勝てた大きな要因の1つだと思いますし、新しい人がどんどん出てきてチームを活性化させていく、新しいものをどんどん作っていくということは、チームとしてはすごく大事なことだと思いますね。

ヤクルト・村上宗隆 各球団はどう抑えるか

豊原キャスター:ヤクルトは3連覇を目指すという中で他球団の皆さんからすると、村上選手というバッターを今年はどう攻略するかというところがあるのではないかと思いますが。

三浦監督:昨年4ゲームぐらいまで迫ったところで横浜スタジアムで村上選手にこてんぱんにやられました。

立浪監督:確かバンテリンドーム11試合で7本ホームランを打たれてますし、トータルでもかなり打たれています。

岡田監督:去年甲子園で(ホームラン)3連発を見てるんでね。5打席連続ってなったのかな、そのあと神宮で。あの印象が強くて、もうピッチャーにも絶対抑えろとは言えないじゃないですか。

新井監督:昨年高津さんの殿堂入りのパーティーがありましたので私も出席させていただいて、「村上選手の抑え方教えてください」と言ったんですけど、教えていただけなかったです。普通にやっても打たれると思うんですよね。どうせ打たれるんだったら思い切り腕振って向かっていってもらいたいですね。

原監督:今年もあのような調子で打ちまくるんでしょう。しかしどういう状況でもバッターっていうのは7割近くは失敗をする。いま新井監督が言われるように思い切って勝負にいくっていうところが大事なことだと思います。

豊原キャスター:5監督の声を聞いて、受けて立つ高津監督はいかがですか?

高津監督:間違いなく村上が4番に座って、チームの打線の中心であることはもう間違いないと思います。まだ23歳ですし、さっき若手の目の色と言いましたけど、若手のリーダーだと思っていますので、チームのバランスと共に今年もバットで引っ張っていってほしいなと。ピッチャーだったら石川(雅規)であったり、野手だったら青木(宣親)であったり40歳超えても一生懸命頑張っている選手もいますし、大先輩がしっかり若い選手の面倒をみながら、チームのバランスも非常にいい感じになってきている。

豊原キャスター:そろそろお開きの時間が近づいて参りましたので、ここは最年長・岡田監督に締めのお言葉をいただければと。

岡田監督:この3年間はなかなかお客さんが来られない時期があったんですが、応援できる環境に変わると思うので、WBCがすごく盛り上がって、ここにはセ・リーグだけですけども、その流れで野球界を盛り上げるためにも、僕も久しぶりに復帰したようなものですから。とにかくもう熱い試合をして、まず監督が先頭に立って野球を盛り上げるように、10月まで野球一色でファンの人に応援してもらえるように頑張ってきたいと思います。

皆様、本日は本当にお忙しい中、ありがとうございました。

座談会終了後・・・

高津監督:本当にガラケーなの?

新井監督:本当にガラケーしか持ってない。

岡田監督:嘘やろ。

新井監督:本当にガラケー。

高津監督:パカってやってんの?

新井監督:やってます。

岡田監督:LINEとかは?

新井監督:LINE生まれて1回もやったことないです。

監督座談会をおえて

立浪監督:原監督であったり、岡田監督であったり、年が上の監督が2人いましたので、うまく引っ張ってもらえたかなと思います。

三浦監督:対面の方が温度感もわかり、対戦する監督ですけども非常に楽しい時間でした。

高津監督:5監督がスワローズのことについて、村上のことについて話をされてちょっと嬉しかった。わくわくさせられるプレー、勝負をやっていきたいと思います。頑張ります。

新井監督:勉強になりました。大先輩の方々ですし、私たちは挑戦者ですから。そういう姿をたくさんみたいなと思います。

原監督:ジャイアンツは新しいチームに変わりますから、そこはチャレンジャーとして挑んでいきたいと思います。

岡田監督:チームも若くなって、また新しいタイガースになったんで、その辺で期待に応えられるように1年間頑張っていきたいと思いますね。