FIFA ワールドカップ 2022の日本代表メンバー入りを果たした、J1・名古屋グランパスに所属する相馬勇紀選手25歳。昨年の東京五輪では持ち味の「スピードと推進力」を生かして左サイドのアタッカーとして活躍。しかしその後はなかなか年齢制限のない日本代表には招集されませんでした。ともに東京五輪を戦った三笘薫選手や田中碧選手など、同世代の選手たちが次々と日本代表で結果を出す中、悔しさを胸に自らを磨き続けてきた相馬選手に、カタールへの出発を前に話を聞きました。
相馬勇紀選手「1次リーグ3戦の中で自分がどういうふうに活躍するか、チームに貢献するか、そしてグループリーグを突破するかというところに頭はいっています。まだまだA代表に絡んでいる期間も短いですし(チーム内での)序列はそんなに高くないとは思っているんですけど、いろいろな大会で言われているのが「ワールドカップはコンディションが命」というような発言を歴代の選手がすごく言葉にしているのを聞いていたので、コンディションを大切にしていこうということと、あとは普段の練習から自分はまだまだ下なのでまずは本当にスタメンで出られるようにだったり、途中出場からも出られるような刺激というのを得ていきたいとも思いますし、どの立場になってもチームのために働くことができるのも自分の良さかなと思うので、今自分がどういう立場なのかというのをしっかりと考えてやっていけたらなとは思っています」
Q.途中出場の話もありましたが大会の展開次第ではジョーカー的な役割も担っていくことになるかも知れませんが、そういう状況で心がけることはなんですか?
相馬勇紀選手「途中から出るときは、相手のサイドバックの選手はあまり交代することがなく90分戦っているので、すごく疲労がたまってくる時間帯だと思うので特に攻撃と守備の切り替えの部分で違いを出せていけたらなと。特に同点だったり負けている展開の時には相手が押し込んできているけど、カウンターのところでどれだけ全速力でどれだけ相手をおいていけるかというのは大切になるかなと思っています」
そう話す相馬選手の狙いは、守備陣にあまりスピードがないと言われているドイツとの試合で生かされるのではと期待させてくれます。
ワールドカップを見据えて磨き上げてきたアジリティー
相馬勇紀選手「一発のパワーというよりは、相手が2歩踏んでるときに自分は3歩踏むみたいな。パワーのところももちろん大きくしましたし、そういった「筋パワー」というよりはそれをどれだけ速く動かせるかというか、簡単に言えば「キレが増す」だったり「コンディションいいね、あの選手」って表現されると思うんですけど、相手が2歩しかステップ踏めない間にこっちが3歩動けていたら相手と入れ替われるので、そういった動きの速さというか脚がどれだけ速く動けるかみたいなところは意識してやっていました。相手が両足そろった瞬間にもうこっちはドリブルを始めていて2~3歩動けているとなったら、相手との距離が生まれるシーンが今年は何度もあって、そういったアジリティー(俊敏性)のところはすごく自分の成長を感じました。海外の選手と対峙したときに、トラップの技術も正確ですけど、意外とトラップがちょっと乱れても2歩目が速くてそれを処理するのがうまいっていうイメージが僕はすごくあったので最近は技術ももちろん大切だけれど、やっぱりサッカーはフィジカルが大切なんだなというのをここ最近さらに感じていますね。相手との間に素早く体を入れるというのも僕はサッカーでは技術という分類に入ると思っているので、フィジカルと技術はもう表裏一体というか同じものなのかなと感じています」
磨き上げてきたアジリティーは日本代表で早速生かされました。ワールドカップ本番を目前に行われたカナダとの強化試合。先発出場した相馬選手はペナルティーエリア付近で縦パスに鋭く反応すると、相手ディフェンダーの背後に走り込み先制ゴールを決めました。そして確かな自信を胸にワールドカップ本番に臨みます。
相馬勇紀選手
「メンバーに入ってからすごく本当に感覚が不思議な感覚というか、小さい頃はずっとテレビで見ていた大きな舞台だったんですけれど、自分が選ばれたときからは戦う場所が目の前にあって絶対倒してやるんだとか闘争心だとか、そういった気持ちが大きくなっているので「死のグループ」と言われていますけれど、本当に一つ一つ戦い方を考えれば絶対に1次リーグ突破できると思っているので、一つ一つに全力込めて戦っていきます。そして応援よろしくお願いします」。