7月19日、ソフトバンクへの入団会見をおこなった秋吉亮投手(33)。去年のオフシーズンに日本ハムを自由契約となり、今季は福井県の独立リーグのチームでプレーを続けながらNPBへの復帰を目指していました。念願をかなえたいま、胸の内を明かしてくれました。(取材:樋口太郎ディレクター)
― いまの気持ちは?
秋吉:すごく幸せです。ここからまたスタートかなって。ピッチャー陣はみんな年下で和田(毅)さんだけが年上なので、若いのに負けないように頑張らないといけないと思います。
― ソフトバンクからのオファーは予想していましたか?
秋吉:予想していなかったです。確か福井での試合(7月10日)の前日に、スカウトの方から「試合を観に行かせてもらいます」と話がありました。その試合で投げたあと、「また今後、もしあるようならお電話します」と言われて、その2、3日後ぐらいに決まりました。
“ノンテンダー” 当時の心境は
2014年にプロ入りし、ヤクルト・日本ハムで中継ぎ・抑えとして活躍した秋吉投手。日本代表にも選ばれ、年俸は1億円を超えていました。しかし去年11月、思いもよらない事態に直面します。FA権を取得していた西川遥輝選手・大田泰示選手とともに、日本ハムから「ノンテンダー」、事実上の自由契約を通告されたのです。
― 「ノンテンダー」と聞いた時の気持ちは?
秋吉:自分は「ノンテンダー」という言葉が全然わからなかったので、何かなあという感じでした。実質的には自由契約ということで、気持ちを切り替えて他球団の話を待っていました。最初は悔しい気持ちがありましたけど、切り替えは結構すぐできました。
― 他球団からオファーは来ると思いましたか?
秋吉:そうですね。「まあ、あるだろうな」って思っていましたね。金額(年俸)は下がるけど、とってもらえるのかなっていう考えはありましたね。
現実は甘くはありませんでした。西川選手は楽天へ、大田選手はDeNAへ移籍。しかし、秋吉投手のもとには他球団からのオファーがありませんでした。
― 西川選手と大田選手が他球団に決まった時の気持ちは?
秋吉:悔しさというか、でも2人は決まってよかったなって思いました。自分と同じようになったら嫌だと思ったし、みんなが他の球団に入ってプレーできることを願っていたので、本当に決まってよかったなと。
迫りくるタイムリミット
秋吉投手は独立リーグ・日本海オセアンリーグの福井ネクサスエレファンツでプレーしながら、オファーを待つことにしました。NPBの球団が新たに選手と契約できるのは、7月31日まで。その期限まで3週間、7月7日・七夕の夜、秋吉投手は短冊に思いをしたためました。
― 当時、どういう心境だったのですか?
秋吉:7月末までに何が起きるか分からない。ケガ人が出るかもしれないし、中継ぎが打たれて中継ぎが必要になるかもしれない。NPBの試合をチェックしながら、入れるように願っていました。
― 「願っていた」ということは…?
秋吉:正直言うと、難しいかなと思っていました。実際もうないのかなって思った時もありましたね。年齢的にも決断の時かなと。現役をやめて指導者の道に進むことを考えたこともありました。だから本当にギリギリですよね。7月中旬ぐらいにホークスから話をもらえましたけど、あと1週間とか遅れていたら気持ちが折れていたかもしれません。
再びNPBのマウンドへ
― ソフトバンクではどういう役割を求められていると思いますか?
秋吉:使ってもらえる場面があれば、そこでしっかり自分の結果を残すだけだと思います。勝ち試合だったら失点をしないとか次のピッチャーにしっかり渡すとか、負けている試合でも抑えて流れ持ってくれば次の回に逆転することもあると思います。来ただけで自分が力になれないのは嫌です。1軍で結果を残してチームの力になって優勝したいです。
― 楽しみにしている対戦は?
秋吉:日本ハムとやるのが一番じゃないですかね。やっぱり古巣との対戦っていうのは楽しみですし、抑えられるように頑張りたいです。「出さなきゃよかった」とかは別に思ってもらわなくていいです。去年まで日本ハムでしたけど、今年はソフトバンクが自分チーム。そこは勝負の世界だと思うので、しっかり結果を出せるように頑張ろうと思います。