パラカヌー瀬立モニカ 2つの夢をかなえる

NHK
2023年2月15日 午後7:08 公開

来年のパリパラリンピック出場を目指しながら「受験生」でもある、パラカヌーの瀬立モニカ選手。2年前の東京大会では7位入賞、日本のパラカヌー界の第一人者です。2つの夢に向かって奮闘中の瀬立選手に、パラトライアスロンの谷真海さんが話を聞きました。(2023年2月5日放送)

パラリンピアンを目指すきっかけ

谷さん:お久しぶり。7年ぶり。すごい大人の女性に成長して。

瀬立モニカ選手:お久しぶりです。

——トレードマークははじけるような笑顔。高校1年生の時、体育の授業でけがをし、腰から下の筋肉を動かすことができなくなったモニカ選手。入院中に行われていたのが東京大会を招致するプレゼンテーションでした。

モニカ選手:ちょうど病院のベッドの上だったんですよ。谷さんがスピーチされたという、それだけすごく印象に残っていて。 

谷さん:そうなんだ!今ゾクッとしました。ありがとう。

モニカ選手:私の中でのパラリンピアンは真海さん(という印象)が強いです。

谷さん:あそこからのスタートだったということですね。

——その1年後、モニカ選手は中学生の時に取り組んでいたカヌーで、パラリンピアンを目指し始めます。

下半身が動かせない分、上体や腕の筋肉を徹底的に鍛えました。今は週に2回、地元・江東区の川で1時間半ほどの練習を続けています。

もう一つの夢へ

谷さん:練習をおえてこの後は?

モニカ選手:これから頭を使いたいと思います。

谷さん:頭?

——取り出したのは医学関連の教科書。モニカ選手はパラリンピックを目指しながら、今年医学部の編入試験を受ける予定なのです。医師を志すきっかけとなったのは、けがをした時のある先生との出会いでした。

モニカ選手:「モニカさんは明るい部分だけを見ていなさい、暗い部分は僕たちがどうにでもするから」ということを常に言い続けてくださって。人生の光を照らしてくれるというか、そのおかげでへこたれずに前を進んでこられた。

——モニカ選手に声をかけ続けた田翔太医師。高校生活に支障なく戻れるよう学校側に働きかけるなど、心身両面でモニカ選手を支えました。

田医師「モニカさんが非常に明るくポジティブな性格なので、患者さんに希望を与えるすばらしい医師になるのではないかと思います」

谷さん:モニカちゃんはどのようなドクター像を描いていますか。

モニカ選手:まだ入学もできていないので、全然目標も達成できていないのですが、なにか人に寄り添えるような人になりたい。生い立ちが特殊というか、自分にしかない価値だと思っているので。人の気持ちが分かる人になりたいです。カヌーに行き詰まっているときは勉強がすごく楽しかったりとか、逆に勉強が行き詰まっている時はカヌーでリフレッシュできたり。互いにいい影響を与えられるのが、2つやることのメリットだと思うので。

谷さん:最後に色をお聞きしているのですが、今のモニカちゃんの色は何色ですか。

モニカ選手:赤ですかね。常に燃え続ける存在でありたい。自分自身が燃えていることで周りも一緒に暖かくしたいという思いからです。

谷さん:モニカ選手が大切にしているのは「笑顔は副作用のない薬」というお母様からの言葉だそうです。これまでつらいことがあっても、笑顔になることで乗り越えてくることができたそうです。これからも満面の笑顔で、いろいろなことに挑戦していってほしいです。

中川キャスター:上原さんはこの二刀流への挑戦をどのように感じましたか?

上原浩治さん:スポーツでもトップを目指して、社会的な勉学の方でもトップ。ちょっと考えられないです、僕の中では。

豊原キャスター:受験というと上原さんも少し苦労した思いがあると思うのですが。

上原さん:嫌なこと思い出させましたね。(笑)

豊原キャスター:瀬立選手も含め、これからチャレンジする皆さんに一言エールを。

上原さん:僕は浪人をしております。でも野球界でちゃんと世界チャンピオンまでなれましたから。皆さん希望を捨てずに頑張ってほしいなと思います。