オリックス山本由伸 WBC期待の投手に上原浩治が迫る!

NHK
2023年2月10日 午後10:58 公開

開幕がおよそ1か月後に迫ったWBC・ワールドベースボールクラシック。1次ラウンド、グループB の日本は中国、韓国、チェコ、オーストラリアと対戦。上位2チームが準々決勝に進み、ここまでは東京ドームで行われます。準決勝と決勝はアメリカフロリダ州マイアミで、来月19日から21日にかけて行われます。3大会ぶりの優勝を目指す日本代表。2006年のWBCに出場した上原浩治さんが大会の大きな鍵となる投手陣の中から注目する、オリックス山本由伸投手に話を聞きました。(2023年2月5日放送)

豊原キャスター:まず陣容をご覧いただきますが上原さんどうですか、今回の投手陣の特徴は?

上原さん:150キロオーバーを投げるピッチャーばかりで、力強い球を投げる選手がそろったのではないかなと思います。

中川キャスター:中でも期待しているのは?

上原さん:ダルビッシュ有投手、山本由伸投手。彼らが中心になって先発を回してもらえたら、いいところまでいくのではないかなと思います。

豊原キャスター:山本投手の起用法は?

上原さん:僕はもう先発で。フル稼働してください。

豊原キャスター:その山本投手ですが、気になる点があるということですが。

上原さん:気になるというか、去年と今年で少し投球フォームを変えたことがすごく話題になっていますよね。変えたことでどうなるかを注目したいですし、その意図を宮崎で聞いてきました。

WBC目前のフォーム改造 なぜ?

上原・山本:よろしくお願いします。

上原さん:疲れているときに申し訳ないです。

山本選手:いえ、ありがとうございます。

——プロ野球史上初の2年連続4冠、パ・リーグのMVPにも輝いた球界の絶対的エースに、僕(上原)はWBC でも大車輪の活躍を期待しています。仕上がり具合を見ようと訪ねたキャンプ。僕が目にしたのは昨シーズンとは大きく異なるフォームでした。ほとんど動作が止まることのない、流れるような投球フォーム。昨シーズンまでは、軸足の右足にしっかりと体重を乗せ、振り上げた左足で間を取りながら投げていました。

上原さん:WBC を目前に控える中で勇気のいる挑戦だと思います。去年と今年でフォームを変えた意図は、どういうところにありますか?

山本選手:やっていることや意識していることはずっと同じで。今回特にフォームが大きく変わったように見えますけど、やっていることは今までの延長線というか、やってきたラインにずっとあることで、自分の中ではそんなに大きく変わったような感覚ではないですね。

上原さん:周りから見ていたら、劇的に変わっているイメージがあるのですが。

山本選手:そうですね。でも自分の中でのチェックポイントはほとんど変わらないです。

——本人の中では変えたという感覚がないとの、意外な答え。ですが、さらに聞きたいことがありました。僕は昨シーズンまでの軸足の右足にしっかりと体重を乗せるフォームこそ、山本投手の強いボールを生み出していると考えていたからです。

上原さん:最初に右足に体重を乗せた方が、力強くいくのではないかなとピッチャーを経験した側からすると見えます。

山本選手:いや、右足には(体重は)乗っています。

上原さん:その乗っている時間が少ないということ?

山本選手:前に行っている時も重心はずっと右足にある。見た目以上に乗っているというか、軸足もすごく大事にしていますね。

——新しいフォームは右足に重心を置いている時間が明らかに短いように見えますが、本人の感覚では右足にも十分に重心を置いているというのです。その結果はボールの質などに表れ始めているといいます。

山本選手:すごく球も伸びるようになったし、腕を振っている感覚もなくなった感じで、すごくいい方向にいっているように感じましたね。

上原さん:流れをすごく大事にしているということですよね?

山本選手:そうですね。入りから流れを止めないようにという感じですかね。

——山本投手はキャンプ中、動き出しの動作を確認したり、牽制するような動作から球を投げたり、新しいフォームに結びつくような動きを繰り返していました。まだまだ試行錯誤の途中なのでしょうか。

山本選手:より良いものを求めて。いい結果が出てもそれが最高なフォームかはわからないので。

上原さん:より上を目指すということ。

山本選手:そうですね。成長は止まらないようにという感じですかね。ちょっと欲張りに聞こえるかもしれないですけどね。向上心を持ってやりたいなと。

上原さん:満足してないのがすごいなと。多分僕だったら、2年連続で(山本投手のような)成績を収めたらもう堂々とこうやって(胸を張って)。

山本選手:(笑)

上原さん:そういう雰囲気が全然ないですもんね。

山本投手から上原さんに逆質問

——新しいフォームについてひととおり聞き終えると、今度は僕が質問攻めにあうことに。

山本選手:大先輩としてWBCの経験を踏まえて何かアドバイスやここを気をつけるなどありますか?

上原さん:普段どおりやれば、もう山本選手は大丈夫です。

山本選手:普段どおりできるものですかね。

上原さん:できると思います。後ろ見たらすごい選手がいっぱい守ってくれているので。

山本選手:そうですね。

上原さん:ワクワクすると思うんですよ。僕のときはイチローさんがいた。すごくワクワクして投げていたんで。そういう気持ちで投げられると思うんですよ。

山本選手:WBCの中で変えたことはありますか。例えばボールが変わるから何か変えるとかありましたか?

上原さん:ボールとの相性をいち早く見つけることが大事かもしれないですね。気温とか気候が違うだけで、指先の感覚が変わってくるので。それをいち早く見つけることが大事かなと。

山本選手:なるほど。

上原さん:変化球もたくさん持っているし、どれが合うのかを見つけて、それを早く勝負球にする。僕やったらフォークボールだったけど、山本投手だったらカーブも使えるしフォークも使えるしカットも使える。どれが合うのかを見つけるのが結構大事になってくるかなと思うんですよね。

山本選手:ありがとうございます。

上原さん:ちょっと真面目に語ってすいません。

山本選手:めちゃくちゃ良かったです。