日米通算150勝 和田毅投手 試合後インタビュー全文「より良い球を投げたい」

NHK
2022年6月24日 午後3:23 公開

プロ野球で最後の松坂世代となっているソフトバンクの和田毅投手が6月19日の楽天戦に先発して勝ち投手となり日米通算150勝に到達しました。試合後、サンデースポーツの豊原謙二郎キャスターが和田投手に話を聞きました。

Q節目の日米通算150勝。おめでとうございます。ご自身としては、この数字に何かお感じになることはありますか?

そうですね、本来であればもっと早く達成したかったなという数字ではあるんですけど、たくさんケガもしましたし、その中でたくさんの支えのある中でこの150という数字を達成できたということは、本当に自分自身もすごくうれしいんですけども、周りの方々に支えてもらった150勝目だったので、たくさんの方に感謝したいなと思っています。

Qまだ現役バリバリである方にこういう質問がいいのかわからないですけど、達成感みたいなものってある程度お感じになっているんですか?

そうですね、まだね150というこの数字で、いま石川雅規さん(ヤクルト)もね180…きょう勝ったのかな?181勝目をあげられましたし(インタビューは6月19日に行われました)、それを考えるとまだまだね、上には上がたくさんいる、偉大な先輩方がたくさんいるので。日米通算150勝はあげましたけど、ここで止まるわけにはいかないなという気持ちでまた1つずつ、次は日本通算150勝を目指してまずは頑張っていきたいと思います。

Qきょうのピッチングについて伺っていきたいんですけれども、8奪三振そしてストレートで7奪三振ですね。きょうのピッチングについてはどう振り返りますか?

初回に2つ三振とれて。浅村選手から3球で、高めのまっすぐで三振とれたので。ある程度真っすぐがきょうは前回(登板)と同じようにきてる、いけるのかなと思ったので。その中でもね、野村勇がホームランを打ってくれて。もうきょうは絶対達成するぞというそういう気持ちで2回からはマウンドに上がっていました。

Qそして途中までパーフェクトというピッチングだったんですけれども、今シーズンこういう流れだと「きょうは俺の番かな?」みたいなものって何かありました?

いやぁもう微塵も感じないです(笑)もう球数的にもやっぱり120~130球とかね、若い時のようにいまは投げることがあまりできていないので。とりあえず一人でもね、相手バッターを打ち取ってっていうことしか考えていなかったので。5回までパーフェクトでいっていましたけど、自分の中ではもう全くそのことは、頭にも全くなかったです(笑)

Qそうですか、大変失礼しました(笑)きょうも投げていらっしゃって、非常にストレートの感触はやはりよかったですか?

そうですね、真っすぐの指のかかりもよかったんですけど、きょうは低めのコントロールがいつもより良かったのかなと。見逃し(三振)がいつもよりはとれたような気がするので。そこをしっかりと投げることができれば低めの変化球も振ってくれますし、インサイドもうまく(甲斐)拓也が配球してくれましたし。本当にキャッチャーとの共同作業でもあるので、そこは本当に拓也のおかげだなと思います。

Q昔からよく言われていることですけども、「球速で表せない速さ」ということを和田投手のストレートはよく言われますけれども、改めてご本人の中でチェックポイントといいますか、こだわっているところというのを教えていただけますか?

うーん、そうですね。やっぱり僕の中では一番は「体を開かずに投げたい」っていう。開かないと投げられないんですけど、ギリギリまで体の開きを抑えて一気に開放する、体のパワーを開放するっていうイメージは常に持ってはいるので。その中でボールの軌道とかコントロールとかそういうのをしっかりと自分の中でも追い求めていって、いまのフォームがあるので。なんでしょうね、150キロ・160キロっていうね、見た目にもそういう数字を出すのはカッコイイなと思うんですけど、僕はそういうボールは投げられないので。やっぱり相手の嫌がる投球をしていかないといけないなと自分では思っています。

Q開かない、そして一瞬で解放するというお話がありましたけれど、一瞬で体を回転させていくっていうのは、体にかかる負担であるとか、そういったものが素人目ながら結構あるんじゃないかなと感じるんですが、そのあたりはいかがですか?

自分の中で結構体が使えているときはやっぱり下半身だったり、体幹の部分というか、肩・肘っていうところにはいい投げ方ができている、良いボールがいっているときっていうのはあまり負担がかかってこないので。一番トレーニングでも重要視するのは、やっぱり下半身と体幹の部分になっていきますし。そこをしっかりとコーディネートして準備が出来れば、いいピッチングができるんじゃないかなと思っているので。

Qそういう意味では、ことし自己最速ですか、ストレートのスピードを更新(5月29日 広島戦)されましたけれども、今シーズンはそういった部分がすごくうまくいっているなという実感がご自身の中であるんでしょうか?

そうですね、新しいこともやっぱり取り入れていかないといけないと思っていますし、うちのチームではね、千賀(滉大)だったり石川(柊太)だったり東浜(巨)だったり、若いいま一番脂がのっている投手がたくさんいるので。彼らのやっているトレーニング、何をやっているのかなとか見たり、やっている姿とかも見ながら、僕自身もやっぱり勉強になる部分がたくさんあるので。わからないときは聞きにいきますし、そういう部分の助けも借りながらいまのピッチングがあるのかなと。まぁでも149キロは僕もビックリしました(笑)自分自身が。ちょっと体が悲鳴をあげてしまったので、あの試合はですね。

Qいまお話にもありましたけれども、ベテランになってなお新しいものなどを探して後輩たちを見たり、そういう貪欲さというんですかね。向上心みたいなものって、常にそういう気持ちってお持ちなんですか?

そういう気持ちがないと、やっぱりこの世界は生き残っていけないと思いますし、やっぱり相手を打ち取る、よりいいボールで打ち取りたいっていうその気持ちっていうのがピッチャーだと思うので、逆にその気持ちがなくなったときがもう辞めるときなのかなと思いますし、はい。逆にそういう若い投手、いまだったら大関(友久)っていうね、若い左(投手)が出てきて、彼を見てると投げっぷりとか、姿を見てすごいなと。僕も自分が若いときあんな感じだったのかなと思いながら見てはいるんですけど、本当彼らのそういう姿を見ても、僕自身もまた良いボール投げたいっていう気持ちにさせてくれるので。本当にチームにも恵まれているなと思います。

Qきょうそういう意味では対戦相手、大学の後輩でもある早川投手(楽天)でしたけれども、早川投手からも何かそういう刺激、あるいは背中で見せる、そういう関係性っていうのはあるんですか?

大学の後輩でもありますし、ことし1月に一緒に自主トレをやった仲でもありますし、お互いいいピッチングをしてね、やっぱり勝ちたいなという気持ちはもちろんありましたけど。うーん、なんでしょうね。なんか不思議な感情の中での登板だったのかなと。しかも相手の打線に、昨年まで同じチームメイトだった川島慶三がいて。なんか逆に彼らがいたから、きょうこんないいピッチングができたのかなと。逆にそう思えるようなピッチングだったかなと思います。

Qこの先ですね、和田投手が私たちにどんな姿を見せてくださるのか。あるいはご自身の中でどんなビジョンをこの先描いていらっしゃるのかというところを改めて伺いたいんですけれども、いかがでしょうか?

やっぱりさきほども言ったように、よりいいボールを投げたいっていう気持ちからバッターを抑えられるっていうことにつながっていくとは思うので。たぶんよりいいボールを投げたいっていう歩みを止めることはないと思うので。またあしたからきょうよりいいボールを次の登板で投げられるように、しっかりまた準備をして頑張ります。