FIFA ワールドカップ 2022の1次リーグ第2戦、コスタリカに0対1で敗れた日本。1次リーグ突破の鍵を握る第3戦は強敵スペイン。中澤さんが現地カタールでスペイン代表の練習拠点を取材しました。さらにスペイン戦をどう戦うべきか解説していただきました。(2022年11月27日放送)
中川キャスター:スペインは初戦コスタリカと戦い7-0と圧倒しました。
中澤さん:自分たちの強みを完璧に発揮した試合でしたね。
谷 真海さん:中澤さん、どうしてスペインはこんなに点数がとれるのでしょうか?
中澤さん:普通にみんなうまいんです。笑
谷さん:日本はどう戦えばいいでしょう。
中澤さん:それに関して、現地で取材してきました。
“強敵・スペイン”どんなチーム?
向かったのは、ドーハ市内にあるカタール大学。スペイン代表の練習拠点です。
中澤さん:ドイツとはちょっと雰囲気が違いますね。ドイツは、四方八方壁に囲まれていたので閉鎖的なところがありました。
中澤さん:スペインはオープンで開放的ですね。僕はこっちの方が好きですね。
話を聞いたのは、スペイン代表チームを取材する記者の方。
中澤さん:見てもらいたい新聞があるんですけど、スペインの新聞にこの記事が出ていて。
中澤さん:森保監督と出ているけど、実は森保監督じゃないです。
スペイン記者:明らかに間違いだね。ごめんね。
中澤さん:謝罪してもらってありがとうございます。今大会のスペイン代表についてどう思いますか?
スペイン記者:若い選手が集まったチームですが、キャプテンのセルヒオ・ブスケツのようにワールドカップで優勝したときの選手もいます。若さと経験、大胆さと知恵が融合したチームに仕上がっています。
中澤さん:日本に対してどのようなサッカーをしてきますか?
スペイン記者:スペインは非常に明確なスタイルを持っています。それは“ボールポゼッションの高さ”です。細かいパスをしつこく回し、ボールを保持し続け日本をいらだたせようとするでしょう。
中澤さん:スペインサッカーの代名詞である“ボールポゼッション”の高さ。それを担うのが中盤の3人。
中川キャスター:ブスケツ選手(34)、ペドリ選手(20)、ガビ選手(18)ですね。全員スペインのクラブチーム、バルセロナでプレーしています。
中澤さん:コスタリカ戦でスペインが1点目をあげたシーンですが、ペドリ、ガビ、ブスケツの3人が中心となってボールを動かします。相手にボールを触らせず主導権を握った状態でゴールに迫る。パスの技術の高さでシュートまでもっていくスタイルです。
谷さん:どうやったらこのような華麗なパス回しができるのでしょう。
中澤さん:その秘密が練習から見えてきました。パスのスピードは速いし、そのスピードのパスでもしっかりトラップしてコントロールしてすぐ次の選択をする。いろんな技術のスピード、頭の中の判断のスピードも速いなと思いました。本当にミスが少なく、パスが速かった。これが“スペイン”という感じでしょうね。
スペインの“パス”をどう止めるか
中川キャスター:そのスペインの強さを物語るデータがあります。コスタリカ戦のパス成功本数は1,085本。今大会全チーム平均562本(11月27日未明の試合まで)の倍近い数字です。
中澤さん:はい。現地でドイツ代表の練習も見ましたが、足もとの技術の高さはスペインのほうが(ドイツより)10倍くらいうまかったですね。
豊原キャスター:それはすごい。
谷さん:中盤の3人をどうすれば抑えられるでしょうか。
中澤さん:ポイントは、“バルセロナトリオ”の三角形ではなく、もうひとつ後ろの三角形(ブスケツ選手とセンターバック2人)です。
中澤さん:ブスケツとセンターバック2人の3人がボールを回しながら絶えずポジションを移動して、いつ前線にボールを出そうかとためを作って、中盤のバルセロナトリオにパスをいつ出せるかなと常に探しています。
中川キャスター:ブスケツ選手とセンターバックの2人をマークすれば、中盤の3人へのパスの供給源を断つ事ができるという事ですか?
中澤さん:そうですね。まずここのスタートを断ち切らない事にはスペインの良さを消すことはできないので、スペインに対してプレスをかけたい。ある程度ボールを回されてしまう事も想定されますが、引いたままではスペインのやりたい放題になってしまうので、常に出来るわけではないですが、勇気を持って後ろの三角形にプレッシャーをかけていきたい。
中澤さん:ドイツ戦のスタメンメンバーで例えた場合、センターバック2人に対して鎌田大地選手と前田大然選手がしっかりマークを決めてボールにプレッシャーをかけます。そうするとブスケツ選手が空きますが、そこはボランチの遠藤航選手や田中碧選手が思いきって後ろの三角形を潰しにいかなきゃいけない。その中でガビ選手とペドリ選手のマークもしっかりすることがチャンスにつながると思います。
豊原キャスター:ボランチの選手がブスケツ選手までカバーするというのはリスクがあると思いますが、それでもやらなきゃいけない。
中澤さん:やっぱり勝つためにはリスクをおかして攻撃的な守備をしなくてはいけないかなと。日本はそれをずっと磨いてきたので、そのショートカウンターをこの大舞台でみせてもらいたいなと思います。