Bリーガーが書いた絵本 「生まれ持ったもので絶対強みはそれぞれある」

NHK
2023年5月17日 午後2:47 公開

「なんで かみさまは、ぼくを ただ くびのながいキリンにしたんだろう・・・」。自身の経験をもとに去年「ぼくはキリン」という絵本を制作したバスケットボールBリーグ・千葉ジェッツの佐藤卓磨選手。1m97cmの長身を生かした力強いリバウンドが持ち味です。佐藤選手が絵本を通して子どもたちに伝えたいこととは。佐藤選手と親交がある馬瓜エブリンさんにご紹介いただきました。(2023年5月7日放送)

「おかのうえで ポツンとしている どうぶつがいます。キリンくんです。キリンくんは なにをやってもしっぱいばかり。みんなつよくてかっこいいな。なんでかみさまは、ぼくを ただ くびのながいキリンにしたんだろう・・・」

取り柄がないことに悩む気弱な子ども“キリンくん”がバスケと出会い、自信を持てるようになっていく物語。この絵本は佐藤選手が自身の経験をもとに書きました。

大学で実績を積み6年前にプロ入り。当初、周囲のレベルの高さに圧倒されたといいます。プロで生きていくために、自分に何ができるかを必死に考え抜いた佐藤選手。長身を生かしたリバウンドを磨くことに活路を見いだしました。

佐藤選手:リバウンドを極めれば、千葉ジェッツに貢献できる。ほかの人たちの良さばかり見るんじゃなくて、みんな生まれ持ったもので絶対強みはそれぞれあるから、その強みを探してそれを使って生きていけばいいんだよというのを僕なりの目線で。

「あいてのシュートをみごとにブロック。キリンくんのながいくびには さいきょうチームも はがたちません。」

子どもの頃、自分が好きだった絵本作家にイラストを依頼。一般に販売はされておらず、病院や幼稚園などおよそ1000の施設に無償で寄付してきました。佐藤選手本人もこうした施設へ足を運び、自分のことばでメッセージを届けています。

佐藤選手:絵本ってすごくいろんな感情だったり学べることいっぱいあって、いろいろ酸いも甘いも経験してきたので、それを全部絵本に込めて。

そして絵本はこう締めくくられています。

「あるひキリンくんは、おかのうえでポツンとしているシマウマさんにこえをかけました。まるで、むかしのじぶんをみているようでした。“だいじょうぶ、みんな かみさまからのおくりものが かならずあるよ。”」

中川キャスター:心があったかくなる言葉ですよね。エブリンさんは佐藤選手とは同い年で仲がいいということなんですよね。

エブリンさん:そうですね。比較的長くリーグにいる者同士、子どもたちにこれから何を残せるだろうというところで、スポーツ選手の発信の仕方などを意見交換することが一度ありまして。そういったところで佐藤選手の考え方はすごく共感する部分があるなと。あと「キリンくん」というキャラクターが佐藤選手の癒し系な感じにすごく似ているなというのは感じますね。

中川キャスター:日ごろから癒し系なんですか?

エブリンさん:ちょっとだけ抜けているところがあるような。(笑) そこがすごくチームにはいい影響があったり、最後はリバウンドをとって「ワァー」ってやるところはムードメーカーですよね。

豊原キャスター:上原さんはどんなふうにご覧になりました?

上原浩治さん:伝える力っていうんですかね、伝え方っていうんですかね、それが絵本という形で、子どもたちにすぐ伝わるなと。僕たちもいろいろ経験を伝えるといっても、講演であったり本であったり、絵本という発想があまりなかったので。すばらしいことだなってすごく思います。

豊原キャスター:普及の新しい形かもしれませんね。スポーツ、トッププレーに限らず、自分の強みや良さを理解するってすごく大事なことじゃないですか?

エブリンさん:そうですね。スポーツ選手としてこれから長くやっていくということに関しても、スポーツだけじゃなくて、それ以外に提供できる価値ってどこなんだろうというのは、これからのスポーツ選手は考えなきゃいけないなと思っていて。試合以外ももっともっと出てきてほしいなとは思いますね。