2021年の東京オリンピック、卓球の歴史的金メダルで日本中に感動を与えた水谷隼さん。全日本選手権では前人未到の10回の優勝を成し遂げるなど、卓球界のレジェンドとして君臨し続けましたが、2022年2月、惜しまれつつも27年の現役生活に別れを告げました。
2022/5/23の「水谷隼×ROLAND」回では「ホスト界の帝王」と呼ばれたROLANDさんが水谷さんにインタビュー。番組内で語られた「心に残る言葉」をご紹介します!
■少数派をいく
水谷:僕、多数決で票を集める時とかは、必ず少ない票を選ぶんですね。
ROLAND:なんでですか?
水谷:そうすると、人と違うじゃないですか。要は、少人数、少人数、どんどん、どんどん少ないほうを選ぶと、最終的には「1」になるんですよ。そうしないと、世界で1番になれないと思っていたので。
基本、選択肢があったら、常に少数派を行っていました。それが(卓球の)ドイツ武者修行とか、いろんな判断は少数派を選んで。
■トップを保つための方法
ROLAND:トップを“取る”ための方法じゃないですよ。トップを“保つ”ための方法を聞きたいんです。これは、長年トップを走られた水谷さんにしか聞けない、日本でこの質問できる相手が、ほんと数えるぐらいしかいない。勝ち続けた人ってほとんどいない。すごく貴重な質問ができるなと思って。
水谷:確かに。1回勝つ事とトップに居続ける事だったら、居続けるほうが絶対難しい。
僕、よく例えるのが山に登るイメージなんですけど、山頂がトップだとしたら、(トップを)取り続けることは、ずっとその山の空気の薄いところに居続けなきゃいけないという事なんですよね。
弱い人は、もう(すぐに)下っていっちゃう。どんどん上に行けば行くほど、空気は薄くなっていきますよね。仲間も少なくなる。つらい天候で一生懸命(居続ける)。だから、厳しい練習を当たり前のようにできなきゃいけないんです。
でも、僕もずっと居続けたわけじゃないんですよ。どこかでちょっと落ちちゃう。その都度、中国リーグに挑戦して再度はい上がったり、プライベートコーチつけたり。ちょっとずつ波はあるけれど階段のように、落ちても少しずつ上に上がっていくことができたんじゃないかなと思います。
やっぱり、同じことをしていてもダメだと思うんですよね。1回トップになっても、必ずスランプ的な部分がくる。
特に(卓球というスポーツは)勝負事、勝者一人しかいないし、絶対負ける時って続くんですよ。そういう時に、過去の栄光にすがる人がめちゃくちゃ多いんですよね。「あの優勝した時の自分のパフォーマンスはどうだったかな」「あの時、どういう練習してたかな」って。そういう人って必ずどんどん落ちていくんですよね。
勝っても負けても、常に自分の限界を求めて挑戦を続ける人が強いんじゃないかなと思います。
ROLAND:そうか、その柔軟性が必要なのか、トップで居続けるには。