ホラン千秋「“自分らしさ”を見つけ出せるまで」

NHK
2022年7月18日 午後11:20 公開

キャスター、タレントとしてテレビで見ない日はないホラン千秋。アイルランド人の父を持ち、東京の郊外で生まれ育った。

中学生で現在の芸能事務所に所属し、女優になることを目標として日々レッスンに励んだが、その仕事は年に1度あるかないか…。

演技のオーディションは結果が出ず、いつしか目標も見失っていったが、女優へのこだわりを捨ててラジオやテレビのMCオーディションを受け始めところ、立て続けに合格。

活動の場が広がり、バラエティ番組に呼ばれることが増える一方で、一言も話せない日が続いたという。

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ホラン:技や実力もない人がテレビに出させてもらって、ただニコニコ笑っているわけにいかない。どんな方法があるか見つけるまでは大変で、マネージャーさんに「今日の仕事だとギャラ泥棒だぞ!」って何度も言われました。
 

リュウジ:本当ですか?
 

ホラン:「お前何もしゃべってないじゃないか、ギャラ泥棒だろ」って。でも、本当にそうだなと。2時間収録やって一言もしゃべれないとキャスティングしていただいた方にも申し訳ないじゃないですか。貴重なイスの1つをもらったのに何も返せないというのは、私ももどかしかった。
 

リュウジ:タレントの世界ってすごいですね!空気を読まないといけないし「ここでこれを言ったら良いのか」とか状況判断がポンポン出てくるじゃないですか。
 

ホラン:超恐怖でしたよ、ずっと目が泳いでましたもん最初。「行くなよ行くなよ」は、本当なのか、「行け!」なのか、これどっち?みたいな。隣の先輩タレントさんに助けてもらって「(小声で)行けっ」と教えてもらうこともありました。

あー怖い、今思い出しても冷や汗が出る。
 

リュウジ:めっちゃ面白いけど、胃が痛くなるなあ。
 

ホラン:好きなものが仕事になった時、ただ楽しいだけじゃいけないという“恐怖”が、絶対あると気づきましたね。
 

リュウジ:ホランさんは自分がどう映っているか意識しますか?
 

ホラン:イメージは確かにありますよね、報道番組ではちゃんとしている感じで行こうと思っているけど、バラエティの時は少し言葉遣いを砕けさせたりとか、「静かにしてください」を「うるせーよ」と言ってみたりとか。番組によってどんな自分を出すかはチューニングしているかもしれない。
 

リュウジ:なるほどなあ。
 

ホラン:芸能界はみんなキャラが濃いし個性も強くて、自分は個性が無いというか普通に生きてきたので、普通すぎちゃって「自分って何キャラ?」と悩んだこともある。
 

“自分らしさ”がわからなかった時にいろんな番組に出ると「気が強い」って言われるんですよ。自覚がないけど、みんな口をそろえて「気が強い」って言うから、それが多分個性?と。
 

「気が強い」に乗っかったほうが笑いが生まれたり、求めているところに着地できたり。周りの人が作った“らしさ”に少し乗っかると、今までつっかえていた船が前に進むこともあるかもしれないので、ちょっと委ねるって大事だとどこかで思った。
 

リュウジ:ホランさん気が強いのは僕も思っていたけど笑、「私、そう思われていたんだ」っていうのが先にあった?
 

ホラン:そうです、全然わからなかった、笑。よくよく考えたら曲がったこと嫌いだし、納得できないことは「違う」とか言っちゃうし、気が強いかも?みたいな。自分のらしさって意外と自分はわかっていないと思いますよね。
 

最終的に自分らしくいて「それで刺さらなかったらしょうがない」と思ったのが20代中盤くらいかな。そこからだんだん、不必要な悩みは持たずに必要な悩みだけと向き合えるようになりましたね。
 
 

2022/7/18 スイッチインタビュー「ホラン千秋×リュウジ」EP2より