プロボクサー・井上尚弥は、デビュー以来24戦全勝・21KOの“圧倒的な強さ”を誇り、「モンスター」の異名を世界にとどろかせている。
1993年、神奈川県座間市に生まれた井上は、アマチュアボクサーだった父親の影響で小学1年生からボクシングを始める。高校時代には、国体やインターハイなど史上初となる7つのアマチュアタイトルを制覇した。高校卒業の半年後にはプロデビュー。以来、無敗の井上は、アジア人初のバンタム級4団体統一王者に。7月25日には、デビュー当時から6キロ以上も重量を上げたスーパーバンタム級の世界タイトルマッチに挑む。
きゃりー:勝ち続けてきたことで、背負うものやプレッシャーは?
井上:プレッシャーは正直あります。やっぱり「試合で魅せる」というのを公言しているので。自分やお客さんが納得するようなパフォーマンスができなかったらどうしようとか、結果として「負け」ってものが付いたらどうしようとも考えますし。
きゃりー:そこに、どう向き合っていますか。
井上:トレーニングをやっただけ、それ(プレッシャー)が緩和されるんですよね。やればやっただけ自信になるし、緩和される。だから今、次の7月25日の試合まであと1か月強あるんですけど、「明日リングに上がれ」と言われたら、多分プレッシャーに押し潰されてまともな試合はできないと思うんです。だけど、あと1か月と少しという時期を、濃密に100%に仕上げることによって、試合当日を100%で自信を持って挑める。
きゃりー:試合で全て見てもらう形ですね。
井上:ただ、今の立ち位置まできたら、勝つか負けるかはミリ単位の世界で変わってくる。自分が100%の準備をした試合で負けたなら「もう仕方がない」というぐらい準備をすることですね。
きゃりー:私、子どもの時からサボりぐせがあって、「誰か見ていないとやらない」みたいなタイプなんですよ。頑張れないというか…尊敬します!
井上:そんなもんですよ人間って。自分もそうでした。よくロードワークサボって見つかって、怒られてましたから。
きゃりー:あ、そうなんですね。
井上:しょっちゅうでした。ただ、今は「ボクシングのことだけは、嘘(うそ)なくやりたい」と思って。それはやっぱ自分が、(小学)1年生からスタートしてここまで結果を出しているから。出した今だからこそ思える。ここからは、本当にボクシングには嘘なく行きたくて。だからサボりたくても頑張ろうと思います。でも、その他はもう適当ですからね。
きゃりー:何歳くらいまで現役でいることをイメージしますか。
井上:自分は35歳までですね。
きゃりー:明確に。
井上:明確にこのあいだ決まりました。
きゃりー:じゃああと5年くらい。
井上:元々35までやりたいと思っていて。プロとしてパフォーマンスが落ちてまで、ファンの方に見せたくないなと。「本当に強いときでやめたい」と思って35歳をを設定していたんですけど、30歳になってみて、「36、7まで最高のパフォーマンスを保てるんじゃないかな」と思って。このあいだ、大橋会長に「1、2年プラスしてもいいですか」みたいな感じで言ったら、「もう35でやめてくれ」と言われたんですよ。笑
それ聞いた時に、今、自分の試合を組んでいく会長の立場は結構大変なんだろうなと思って。それを理由に35で辞めるって言うと、会長のせいというか、会長がネガティブになりそうですけど。
きゃりー:もしボクシングという道がなかったとしたら、なりたかった職業とかやってみたかったことはありますか?
井上:いや、ないですね。気づいた頃にはボクシングやってるんで、ないんですよね。何をやりたかったかなあ…。
きゃりー:保育園の先生とかありそうですね?
井上:保育園の先生ですか?あーいけそうですね!子どもは好きなので。全然いけると思いますよ。笑
2023/7/14 スイッチインタビュー「きゃりーぱみゅぱみゅ×井上尚弥」EP1より