世界を舞台に活躍するファッションモデル、森星。名だたるブランドのモデルを務め、インスタグラムのフォロワーも140万人を超える。
祖母は世界的に著名な服飾デザイナーの森英恵(もりはなえ)。アメリカ人の母も、10歳年上の姉もファッションモデルというファッション一家として知られる。
最近では日本各地に足を運び、便利さやスピードだけではない心地よいライフスタイルを探し求め、ファッション界にとどまらず、自然や伝統と「現代」が溶け合う暮らしを模索している。彼女が見つめる「文化」とは。
◆モデルとマネキンは違う
藤森:キジの声を聞きながら話していた中で非常に印象深かったのは、モデルとマネキンとは違うと言われて。モデルさんでファッションショーとかやりますよね。その人の生きることへの関心などがあらわれるということでしょうか?
森:私はそう思います。
母親もモデルだったんですけど、当時のウォーキングとかは全然違うんですよね。幼いころからリビングルームでよく見せてくれたんですけど「あ、ママかっこいい。さすがだな」と。何か立ち居振る舞いもかっこいいんですよ。当時のモデルさん、90年代のモデルさんとか、私もすごい好きな人いっぱいいるし。
ただ歩くとかだけでも、その人の背中を見てるだけでも、生きざまを何か感じるじゃないですか。きょう、藤森さんが休んでるときの背中を見てて、世代も生きてきた年数も違うかもしれないけど、何か藤森さんの出すオーラというか、目には見えないもの、パワーが引き付けるものがある。私もそういう引き付けるパワーを持ったモデルになりたいです。
◆世界のファッション界で活躍してきた祖母や家族の姿から教わったのは、モノづくりの原点
藤森:(お祖母様の)森英恵さんは名前のとおり、大変華やかな方で、おそらくそういう環境の中で育ったと思いますけど、葛藤みたいなものなどはありましたか?
森:自分のルーツって何よりも大切だなと。藤森先生もおっしゃっていたように、自分のものづくりに自分が育ってきた環境が大切、眠ってるものがあるというのと一緒で、私も多分、そこにヒントがあるなって。家族と時間を過ごすとたくさんの学びになる。だから、自分のルーツを全然ポジティブにとらえていて。
最初は自信なかったけど、やっぱり。祖母がつくり上げ、つむぎ上げてきたものはとても大きいものだったから。
華やかに見えたかもしれないけれど、ものがなかった時代にどう長くものを使おうかと考えるとクリエイティブになる。祖母もそうですけど、例えば着物の切れ端とか、ぼろぼろになっちゃったものを縫い合わせて、また生まれ変わらせるクリエイティブさとか。そういうものを(間近で)見たというルーツがあるので、モデルとしても、1人の人間としても、私が大切にしている部分ですね。