お笑いトリオ「東京03」は、何気ない日常の1コマを切り取り、共感を笑いに変えていくコントが大人気の3人組。屈指の実力と幅広い人気で注目されている。
コントを立て続けに見せる2時間の単独ライブは、全国どこでも完売の人気ぶり。そのネタ作りからコントの演出まで一手に引き受けているのが、リーダーの飯塚悟志である。
飯塚のお笑いのルーツは幼少期に遡る。
千葉県で一人っ子として生まれた飯塚は、お笑い番組を音声に録音し、繰り返しずっとコントを聞いているくらい夢中になっていた。やがて、一人遊びをしながら自分でストーリーを紡ぎ出していくように。
その原体験が、稽古をしながら脚本をさらに練り上げていく現在のスタイルにつながっていく。
飯塚:(コントは)身の回りで起きた出来事で「おやおや」と思ったり、「何か今あいつ無理してるな」「あの人何なんだろう」って思ったりしたことをそのままネタにしているだけなので。自分の中で、何か「あるある」というか、「これってこうだよな」というのをただぶつけているだけなんです。それが意外に、周りのお客さんとかにも広く共感してもらえただけなんですよ。
志の輔:日常ほど面白いものはないし、電車の中ほど面白いものはないし、バスの中も喫茶店も飲み屋も、それは本当にそうだろうけど。
飯塚:ファミレスでネタを作っている時に店員さんが「メニューお下げします」ってメニューと一緒にネタ帳も持って行こうとしたんですよ。笑
「いやいや、ちょっとちょっと!」って言って、店員さんが気づいて「ごめんなさい!」って言って。でも、店員さんがそばでいつまでも照れているんですよ。何か恥ずかしそうに。だから「もう行っていいよ」って。笑。
いつまでも照れてる、「この時間なんだろうな?」みたいなのをネタにしてみて。
志の輔:そういう日常を確実に覚えておいて、すぐにメモする方?
飯塚:そうです。もう忘れちゃうので。ネタ帳一応持ってきたんですよ。
志の輔:おおー。
飯塚:だから、ホントにカメラは絶対にダメです。これからまだネタにする可能性のある設定が…。
志の輔:本当?‥‥おおー書いてあるね!
飯塚:これがもう本当に初期の。で、ここまでですね。
志の輔:2行か3行で書いてあって。いわゆる物語ではなくて、「こういう現場を見た」ということが書いてあるわけですか?
飯塚:想像とかもあります。
志の輔:想像もあるんだ。すーごいねこの量!
飯塚:笑。そこに書くまでに至らないメモがまだスマホの中にあります。
志の輔:こんなに書けるというのは、相当人をじっと見てないと、ちゃんと見てないと、気にしてないと。やっぱり(人が)相当好きなの?
飯塚:好きですね。本当に人が好きになりましたね。東京03になって、日常をネタにするようになってから、どんどん嫌いな人が現れたらラッキーと思うようになったので。
志の輔:そうかそうか。
飯塚:最初はなんなら、嫌いな人を嫌いだから、言い方悪いですけど、つるし上げようみたいな気持ちで書いていたこともあるんですけど、やっぱり自分もそんな立派な人間じゃないという思いもあるし、みんな似たようなもんだよねっていうのは根底のテーマとしてありますね。
2023/7/28 スイッチインタビュー「立川志の輔×飯塚悟志(東京03)」EP1より