理論物理学者・佐治晴夫は「ゆらぎ」の理論研究の第一人者。
人間の心拍リズムや、小川のせせらぎの音の強弱、自然の風や鳥のさえずり…これら自然界に宿る「1/fゆらぎ」を応用し、家電製品などを開発してきた。
理論物理から宇宙創成、そして人生の法則にいたるまで幅広く解き明かし、佐治は87歳を迎えた今も各地で講演を行うなど精力的に活動している。
1977年、アメリカから宇宙にむけて打ち上げられた無人惑星探査機ボイジャーには、地球の生命や文化の存在を伝える音や画像が納められたゴールデンレコードが搭載された。当時、NASAのボイジャー計画チームの研究者と交流のあった佐治は、そこにバッハの音楽を入れることを提言。ボイジャーはバッハの音楽ともに、現在も宇宙を飛行している。
宇宙視点から見た“命”を、佐治はこう語る。 ーーーーーーーーーーーーーーーー
佐治:これは、どこかで星が爆発したときの放射線が降ってきた音。だから、我々人間が生まれるためには、星が死ななきゃいけなかった。というのは、僕らの命の材料はみんな星の中で作られましたから。
星が寿命を全うして大爆発を起こして、星の中で作られた物質が宇宙空間にバラバラになって、それが集まって地球が出来て人類が生まれた。そういうことは最近、科学的な事実として分かっています。で、この中にはビッグバンみたいなもので、宇宙が生まれたときの音も入っている。
僕らの役割というのは研究することだけでなくて、そうやって人類が生まれてきたことを皆さんに理解していただく。そのことによって“平和をもたらすためのきっかけ”にならないかなと考えています。これも音楽ですね。
2022/6/27 スイッチインタビュー「西本智実×佐治晴夫」EP1より