渡部陽一「気持ち良過ぎる情報には、警戒して触れ合うようにしている」

NHK
2022年8月8日 午後11:20 公開

世界中の紛争地域、40か所以上を飛び回ってきた戦場カメラマン、渡部陽一。独特の存在感を生かし、さまざまなテレビ番組にも出演している。

渡部が初めてウクライナを訪れたのは、ロシアによってクリミア半島が併合された2014年。以来8年間、不安定な政情の中で生きるウクライナの人々の“日常”を追い続けてきた。

“情報戦の激しさ”が特徴とされる、今回のウクライナ侵攻。フェイクニュースがあふれ、真実と嘘の境目がこれまで以上に曖昧になる中で、渡部も自衛を心がけているという。  

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三上:渡部さんが撮影した写真は、実際とは全然違う意図というか、別の報道の証拠として使われるということも結構あるんじゃないですか?
 

渡部:そうですね。僕は取材を進めていく中で、気持ち良過ぎる情報や、面白すぎるストーリーや情報というものにまずは警戒をして触れ合っていくようにしています。

例えば、フェイクニュース配信されてしまわないように、僕は自分のニュース、写真を出すときには、自分でセレクトしてます。自分の管理下で整ったものだけを出すということは気を付けていますね。

今のデジタルの写真のスピード性という部分ではどう膨らんでいくかが管理できない。そうならないため、まず出すときに1回止めて、下書きでも下書きで止めて、ワンステップ間を置く。発言でも、SNSでも、1回ちょっと間を置いてから動くようにはしていますね。
 

三上:リアルであるが故に、これを“利用してやろう”と思っている人は、写真そのものには全然手は付けないけど、キャプションだとか使用の仕方によってまったく違うもの、まったく違う主張に使われちゃうみたいな。それは常にありますよね。
 

渡部:ありますね。“情報が持つ力”が世界情勢を引っ張ったり、戦争そのものを管理してしまったり。最新鋭の兵器も危険な武器でありますけど、情報が持つ破壊力というものは用心しておきたいと感じています。

こうしたフェイクニュースや陰謀論に対しては、三上さんはどのように判断して、道筋を組み立てていくようにされてますか。
 

三上:(フェイクニュースを)配信するのは、必ず意図があるわけで。

フェイクであってもある種、自分たちの主張を有利に持っていきたい(という意図がある)。
例えば、UFOとか宇宙人、ネットに上がってるのは、ほぼ100%に近いぐらいフェイク映像だったりCGだったりする。

『ムー』なんかは、ある種そういった作られた映像に関して免疫があるというと変なんだけど。宇宙人の解剖フィルムにしても、なぜこういうものは作られて流されたのか。“作り、流している側の意図”を読み解くというのも変ですけど、そこまで踏み込んでようやく『ムー』的な世界というか、『ムー』の記事たりうるというか。
 
 

2022/8/8 スイッチインタビュー「三上丈晴×渡部陽一」EP1より