「アブラ」のトリセツ

NHK
2022年4月21日 午後7:50 公開

「アブラのトリセツ(取扱説明書)」ダウンロードはこちら

http://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2022_abura.pdf (※NHKサイトを離れます)※別タブで開きます

トリセツ01 からだを健康にしてくれるアブラとは

■ 美肌 動脈硬化予防 オメガ3の幅広い健康効果

おいしいけど不健康なイメージがあるアブラ。実は私たちを健康にしてくれるアブラがあります。

その代表格が魚やえごま油などに多いオメガ3です。

朝晩小さじ1杯のオメガ3を、一か月間飲む実験を行ったところ、参加者の多くが、肌のきめが整い、肌の水分含有量も増加しました。さらに動脈硬化の原因である悪玉コレステロール(LDL)も減少しました。

美肌の研究は動物ベースで、人間については可能性を示すのみですが、動脈硬化予防、糖尿病、アレルギー、不眠症、認知症の予防・改善など幅広い健康効果が人間についての研究で確認されています。

実はオメガ3は全身の細胞膜の材料になり、膜を柔らかくするのです。

その結果、血管がしなやかに(動脈硬化予防)、脳の神経細胞が柔軟になる(認知機能向上)など、幅広い健康効果がもたらされるのです。

■ アブラは“健康の大敵”ではない 大切なのはアブラの“種類”と“バランス”

アメリカ国内12万人を調べ、アブラの種類と死亡リスクの関係を明らかにした論文。それによると、肉やバターに多い飽和脂肪酸は、摂取するほど死亡リスクが高まる傾向があるのに対し、

オメガ3やオメガ6などの 不飽和脂肪酸は、死亡リスクを下げる傾向があることが分かってきました。

そのオメガ3や6もたくさんとれば良いわけではなく、心臓病などになりにくい最適なバランスがあります。

それは、【オメガ6、オメガ3が2:1】

しかし、日本人はオメガ6をとりがちで、6:1とアンバランス。オメガ3を意識してとることが大切なのです。

また、死亡リスクを高める飽和脂肪酸も、欧米人に比べ摂取量が少ない日本人の場合、減らしすぎると脳内出血や脳梗塞などのリスクが高まります。(40歳~69歳が調査対象)

■健康になれるアブラ オメガ3のとり方

オメガ3を毎日とり続けるには、えごま油やアマニ油がオススメです。

1日に小さじ1杯程度の量で十分。そのまま飲むか、サラダのドレッシングがオススメ。コーヒーやヨーグルトに入れても飲みやすいです。

※取り扱い上の注意点

  • オメガ3は高温で酸化しやすいため、炒めものや揚げものには使わない。

  • 光でも酸化が進むので冷蔵庫で保管。開封後は1か月以内に使い切る。

  • お湯を注ぐなどして高温になったポリスチレン容器に入れるのは厳禁。容器が溶けたり変質するため。

※ 油のとリ過ぎは肥満や生活習慣病の危険を高めます。

トリセツ02 あっという間に料理の味をととのえるアブラの驚きの力とは

■“舌を変える”ことで料理をおいしくする

おいしさを感じる舌。アブラはこの舌を変化させることがわかってきました。

普通のめんつゆと油を入れためんつゆを飲み比べる実験では、10人中8人が油入りの方の味を濃く感じる結果がでました。

味覚センサーの分析でも、アブラがうまみを高める結果が出ました。

実は、舌にはアブラを感知するセンサーがあり、それが刺激された状態では、甘みやうまみ、塩味などを強く感じる仕組みがあると考えられています。

さらにアブラには、苦みや辛みなどの物質を吸着して包み込み、クセの強い味を和らげる働きもあります。

おいしい味を強め、クセの強い味を和らげ、アブラは料理をおいしくしているのです。

■オメガ3摂取&おいしさアップ!アブラちょい足しレシピ

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