「汗」のトリセツ

NHK
2023年6月8日 午後7:55 公開

「汗のトリセツ(取扱説明書)」ダウンロードはこちら👇

https://www.nhk.or.jp/program/torisetsu-show/2023_sweat.pdf

まずはチェック!あなたの大丈夫??

暑さに弱かったり、汗がベタつき、におったりしてしまう・・・。そんな悩みの大きな原因のひとつが、汗にある変化が起きてしまうことにあるんです。

「汗」チェックシート項目

  • 空調の効いた室内にいることが多い

  • 座っていることが多い

  • 運動する機会が少ない

  • 汗のにおいが気になりがちだ

  • 汗をかくと肌がベタつく

  • 暑いと心拍数が高くなる

  • 暖かいのに皮膚が冷たく感じる

このチェック項目で5つ以上当てはまる人は、汗に変化が起きているかも・・・!?

一体汗にどんなことが起きているのでしょうか?

ポイント カギは汗を出す「汗腺」の変化に

その変化とは、汗が塩っぱくなってしまうこと。原因のひとつが、加齢による影響です。

少年野球チームの子どもたちとご両親に協力していただき、汗の塩分濃度を比べてみると・・・。なんと、2倍以上の差があったんです。

年齢とともに、体にはどんな変化が生じるのか?

実は、汗を出す器官 「汗腺」 が潰れたかのように萎縮してしまうことが…。

■ポイント 年齢以外でも変化する!!

さらに、汗の質が変化するもうひとつの大きな原因が。それは汗をかかない生活を送ること。汗をかかないことで汗腺が衰え、ある重要な機能が衰えてしまうというんです。

汗の原料は血液。そこには塩分など体に欠かせない成分が含まれています。そのまま汗として流してしまうと、必要な成分まで漏れ出すことに。

そこで、重要になるのがこしとり機能。汗を体の外へ送り出す前に、必要な成分をこしとって体内に戻す機能が!

このこしとり機能が衰えてしまうと、塩分が再吸収されずに汗が塩っぱく変化してしまうというわけ。すると、暑さに弱い体になったり、汗のベタつきにおいの原因になったりしてしまうんです。

汗が塩っぱいと お悩みになるワケ

暑さに弱い

塩っぱい汗に比べて、塩っぱくない汗は塩分が少ないため早く蒸発します。すると、水が蒸発するときに熱を奪う「気化熱」によって、体から素早く熱を逃がすことができます。塩っぱい汗は乾きにくく熱を逃がしにくいんです。

汗がベタつく

塩っぱい汗の中には多くの塩分が含まれています。汗が乾いたあと皮膚の上に塩分が残るため、お肌がベタつきやすくなってしまいます。

汗がにおう

塩っぱい汗にはある成分が含まれています。それが、炭酸水素イオン。これが汗に多く出ると、イヤ~な汗のにおいになってしまうんです。

*汗の悩みの原因には皮膚の状態やその他の病気などもあります。すべてが塩分濃度によるものではありません。

トリセツ  汗を“若返らせる” には暑熱順化

ポイント 「暑熱順化」は汗をかくトレーニング

塩っぱくなってしまった汗を元に戻す。そのキーワードが「暑熱順化」!近年急増している熱中症への対策として、「暑さに慣れて汗をかく能力を強めよう」というトレーニングのことです。

近年では暑熱順化を実施する時期を示す「暑熱順化前線」も発表され、塩っぱくない汗をかける体作りをすることが勧められています。最新の情報は「熱中症ゼロへ 暑熱順化前線」をチェック!

■ポイント 誰でもできる!暑熱順化法 その1

暑熱順化をするのに一番の方法は、運動です。運動する際の目安がこちら。

① やや暑い環境で

② ややきつい運動を

③ 毎日30分程度行う

※体調が悪くなった場合は運動をやめてください

実際に、汗の専門家たちも体を動かして汗をかき、暑熱順化を行っているとのことでした。

■ポイント 誰でもできる!暑熱順化法 その2

運動ができない方や、苦手な方にオススメなのが、手足温浴法という入浴方法です。

暑熱順化 手足温浴法

① 約42℃のお湯に

② 手首足首をつけて

③ 30分温浴する

※めまいや貧血などの症状が出たら、温浴を中止してください

手足温浴法を2週間続けた2名は、汗の塩分濃度が30~45%低下!こしとり機能が改善し、汗のにおいやベタつきも解消されたそうです。

運動と温浴法の両方を混ぜてかまわないので2週間続けると、汗腺機能の向上が期待できます!熱中症予防にぜひお役立てください!

▲取扱注意事項▲

☝ふだん汗をかいていない人は?

ふだん汗をかく習慣がない人は、いきなり激しく汗をかかないように!徐々に汗の量を増やしていきましょう。

☝汗をかいた後の肌のお手入れは?

汗をかいたまま放置しておくと、皮膚に炎症が起きたりかゆみが起きたりする原因に。汗をかいたあとは、早めにシャワーなどで洗い流したりタオルなどで拭き取ったりするように!

☝汗をかく際に注意することは?

汗をかく際には、熱中症にくれぐれも注意!運動や温浴法で体調が悪くなったときは、すぐに中止するようにしてください。また、熱中症を防ぐために、暑熱順化を行う際には水分とともに塩分の補給も忘れずに行ってください。

※熱中症予防のさらなる情報はNHK健康チャンネルで!

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