2022年5月15日「長引く戦闘 ウクライナ危機打開は」(前半)

NHK
2022年5月16日 午後7:12 公開

ロシア戦勝記念日の式典でウクライナ侵攻を重ねて正当化したプーチン大統領。G7・主要7か国は、ロシアからの石油の輸入を禁止することで一致するなど圧力を強めています。事態の長期化への懸念が高まる中、日本と国際社会はこの危機をどう打開すべきなのか、木原内閣官房副長官と専門家が討論。前半は“プーチン演説”とウクライナ情勢の読み解き、そして戦闘の長期化がもたらす影響についてです。

出演者

内閣官房副長官     木原誠二さん

北海道大学教授      宇山智彦さん(旧ソビエト諸国の政治・国際関係が専門)

東京大学大学院教授   鈴木一人さん(国際政治経済学が専門)

防衛研究所政策研究部長 兵頭慎治さん(ロシアの安全保障に詳しい)

同志社大学准教授     三牧聖子さん(アメリカの政治外交史・国際関係論に詳しい)

“ロシア戦勝記念日”ウクライナ情勢は

プーチン大統領は、およそ10分にわたる演説の中で、「ドンバスでの作戦が行われ、キエフでは核兵器使用の可能性も口にされた。ロシアにとって受け入れられない脅威が国境付近にある」と述べ、軍事進攻を正当化。またアメリカについて、「アメリカは、特にソビエトが崩壊した後、自分たちは特別だと語り始め、ほかの国々にも屈辱を与えた」と批判。

そして「わが軍とドンバスの義勇兵に伝えたい。あなた方は祖国の未来のために戦っているのだ。この世界から迫害する者やナチスの居場所をなくすために」と訴えかけました。

この演説から6日、ロシア軍はウクライナ東部のドネツク州などを中心に攻撃を行っているのに対し、ウクライナ軍は東部ハルキウ州で一部の集落を奪還したと発表するなど、激しい攻防が続いています。

木原:

やはり正当化をするということに終始をした内容であったと理解します。ただ、これはもう言うまでもありませんけれども、主権・領土の一体性を侵す、明確な国際法違反ですし、今向こうの一般人も様々な被害に遭っているわけでありますし国際人道法違反ということでありますから、一切正当化はできないということだろうと思います。そういう意味で、我々は改めてこの演説を聞いた上で、一刻も早くこの無謀な侵略を止めるために、引き続き制裁措置を含めて、しっかり対応していきたい、そんな決意も新たにした演説だったというふうに思います。我々にとってはですね。

宇山:

基本的には、この侵攻を非常に強引に正当化しているというものですけれども、同時に色々なメッセージが混ざっていたと思います。この戦勝記念日、ロシアにとっては国家アイデンティティーと言ってよいほど重要な日ですけれども、同時に、かつては連合国と一緒に戦った、その勝利であるということを強調していましたけれども、近年はロシアが一人で戦ったということを言うようになりました。しかし、今回はアメリカ、イギリス、フランスと一緒に戦ったということも言っていて、皮肉を込めた文脈ではあるんですが。したがって、欧米にもっとロシアのことを大事にしてほしいというメッセージを込めていると思います。そして、この戦勝記念日というのは独ソ戦ですから、日本は関係ないんですが、中国が日本を打ち負かしたということも言及していますので、中国との協力関係を重要視してるということもメッセージとして出していると思います。

(「ナチの居場所を無くす」という言い方は)

宇山:

ナチスと戦ったということはもちろんずっと強調している。ヨーロッパをナチスドイツから解放したのがロシアであると、ソ連であるということはずっと言っていたんですが、ウクライナがナチスと重ね合わせられているというのが、最近の状況の特徴で、要は、実際にウクライナがナチスのイデオロギーに染まっているというよりも、反ロシアになってるということをナチスと重ね合わせて問題視しているということだと思います。

(演説での「アメリカ批判」は)

三牧:

演説の中では、アメリカが特別な存在と見なして、一極支配をしてきたといった言葉や、今回ロシアは先制攻撃したんだという、かつてアメリカがイラク戦争の時に使った言葉等も用いて、つまりアメリカがやって来たことを今ロシアはやっていると。しかし、そのアメリカの行動に対しても国際的な批判はありましたが、今回未曽有のロシアに対する反発というものが、反対、批判、制裁が起きていて、そうした世界のアメリカへの不満を利用するような形で、分断を煽るような、そういった意図を持った演説でもあったというふうに思います。そして、アメリカ政治の文脈だと、今ロシア文化をキャンセルしようとしていると。これは非常にアメリカの右派が好む言説なんです。そうしたものを用いて、アメリカ国内、世界に分断を生み出そうとしている。そうした意図も見て取れました。

鈴木:

(演説の)意図としては、今回の「特別軍事作戦」と呼ぶ彼らの行動を正当化するということが主たる意図だったと思うんですけれども、もう一つは、やはりこれまでの演説とか発表の中でも繰り返されてきた、プーチン大統領の世界観を示すということに目的があったのではないかと。これまで、ロシアの国家のアイデンティティーとして、ヨーロッパをナチスから解放したということを示す。そこに自らの自信があるとともに、自らの敵は全てナチスであるというような設定をすることで、あらゆる相手に無限の戦争を仕掛けることができるようなロジックというのを積み上げていったということと、やはりもう一つは、アメリカに批判される、屈辱を与えられているという鬱屈した世界観というのを示す。それがこのエネルギーになっていることを示している演説だったのではないかと思います。

(長期化する局面か)

木原:

政府の立場から戦況がどうなっていくのかということを、予断を持って申し上げることは避けたいと思います。実際、イギリスの国防大臣は、一方でウクライナが勝つ可能性が高いと言ってみたり、他方で、アメリカの国家情報長官、こちらは長期化するという見通しを立てたり、実際に見方はまだバラバラだろうと思います。ただ、いずれにしても、我々はなるべく長期化しないように、しっかりと国際社会が結束をして、圧力をかけ、そして今、先生方から色々なご指摘ありましたけれども、様々な意図がこの演説の中には隠れているというふうに思いますから、そうしたこともしっかり慎重に分析をしながら対応したいと思います。

兵頭:

今回のプーチン大統領の演説は主に国内向けだったと思われますが、私自身が感じたのはプーチン大統領の苦悩のようなものでありまして。一つは、勝利宣言もできないと。つまり戦果を国内にアピールすることはできず、さらに出口の見えないこの戦闘を続けざるを得ない。なので正当化もしなければいけないし、欧米の批判もしなければいけない。国内世論をしっかり繋ぎ止めなくちゃいけないというところもありつつ、さらに今後戦況が悪化した時に、戦争宣言という形で国家総動員、さらに戦力を増強しないと状況が悪化するということは認識しているにもかかわらず、それに踏み切ることもできなかったと。これはやはり国内世論、今後戦争が長期化した時に、特別軍事作戦、これはロシア国内でそう呼ばれていますが、その支持率の低下、その他、さらにはプーチン自身の支持率の低下は、いずれ長期的に及ぶという認識があるんではないかと思います。それからもう一点、以前言われていた「プーチン大統領は理性を欠いていたんじゃないか」というところに関しては、この発言も含めて最近の言動を見ていると、そうではないと。むしろ正しい情報が上がってなかったんじゃないかという、こういう見方が強まっているんですけども。ただ演説を見ますと、国内の世論の状況、それから戦況に関しても、プーチン大統領は正しい判断・状況認識はやっぱり持っているんではないかというのが、私の個人的な見立てであります。

(注目されていた「核の使用の威嚇」は)

兵頭:軍事パレードの直前までは、ロシアの飛び地カリーニングラード州に短距離ミサイル、これは核弾頭搭載可能なもの、発射模擬訓練をやったり、プーチン大統領も核を使用する、それを示唆するような言動を強めたりしていたんですが、軍事パレードでは、いわゆる核搭載可能な爆撃機、それから『終末の飛行機』と呼ばれる核戦争が行われた時に、自らが飛行機に乗って部隊を指揮するという、この飛行が直前になって悪天候ということで中止をされたと。これに対しても今いろいろな見方があるんですけれども、本当に悪天候だったのかということと、それから直前に国防省じゃなくて大統領報道官が中止を表明したというところを見ますと、やはり政治的に、あまり行き過ぎた核の威嚇をやりすぎると、欧米諸国から更なる追加制裁、その他、必ずしもやり過ぎというのは良くないという政治的な判断がもしかしたらあったのかなという印象を持ちました。

(戦況は)

宇山:

(プーチン大統領にとって)最初は電撃作戦で短期に決着をつけるつもりだったでしょうから、不本意な状況だと思いますが。同時に、「正義の戦争」ということを唱えて始めた戦争を簡単に終わらせるわけにはいかないというのは、今回に限らない。それはロシアにも限らない。日中戦争とかアメリカのベトナム戦争、ソ連のアフガニスタン侵攻にしても、かなり無理な戦争であることは早くから分かったけれども、長年やめられなかったわけですから、今の段階でこれをやめるという選択肢は、プーチンには当面無いんだろうというふうに思います。

兵頭:

今の戦況ですけども、局面が変わりつつあると思うんですね。今、ウクライナ軍の反転攻勢が第2の都市ハルキウなどで始まっていて、今後欧米諸国が武器供与、これ加速して、前線に行き渡る6月中旬以降は、大幅にロシア軍が追い込まれていく。そういう予測がウクライナ側から立てられています。そうした中、プーチン大統領はどこまで軍事的に狙っていくのか。恐らく東部2州の完全制圧は、今までここの地域を解放するんだという、ロシア国内向けの説明でしたので、ここはやらざるを得ない。できるまでやり続けるんではないかと。南部に関しても、ロシア化の動きや住民投票、その他の動きが進んでいますので、ここも可能な範囲で狙っていくんだと思うんですが。ただ、オデーサを含めたモルドバまで支配地域を拡大していくのは、今のロシア軍の置かれた状況を総合的に考えると、現実的ではない。ロシア軍もかなり武器弾薬が枯渇するとか士気が低下するとか色んな問題を抱えていますので、理想の狙いと現実の狭間でプーチン大統領がどこで落としどころを狙っていくのか、その辺りが注目されると思います。

鈴木:

(焦点の)一つは、ドネツク州が今後どうなっていくかというところになると思います。これまで東部2州と言われましたけれども、ルハンスク州はかなりの部分でロシア派勢力が支配しているんですが、クリミア半島へ繋ぐ回廊をつくっていく上で、やはりこのドネツク州で今一番の激しい戦闘が行われていると。ここをロシア軍がどこまで支配を確保できるかというところで全体の戦況が変わってくるし、ロシア軍の戦略的な目標も、ここを取れるかどうかで変わってこざるを得ないと。マリウポリの激しい戦闘は、一端だったとは思いますけれども、多分そこは最重要拠点だったと思いますが、これから地帯全体にこの支配が及ぶかどうかというところが焦点になるかと思います。

ロシアへの圧力強化 経済への影響は

G7・主要7か国は、8日オンラインの首脳会合を開き、声明を発表。各国は、ロシアからの石油の輸入を段階的もしくは即時に禁止し、ロシアへのエネルギー依存から脱却していくことで一致しました。

これについて岸田総理大臣は、石油輸入の削減や停止の時期などは、「今後実態を踏まえて検討していく」と述べました。一方、ロシア極東で進められている石油や天然ガスの開発事業サハリン1・サハリン2については、「権益を維持することについては変わっていない」としています。

(ロシアへのエネルギー依存脱却は可能か?いつまでに実現を目指すのか?)

木原:

まず実現可能かということで言えば、実現させなければいけないと、こういうことだと思います。それから時期ということに関して言えば、G7の声明でも明確に言っていますが、代替供給、これはしっかり安定的に確保できることが非常に重要だと。こういった時間的な余裕を保ちながら段階的に対応していくということでありますので、時期については明確には申し上げられませんが、我々もエネルギー源の多様化であるとか供給源の多角化、こういったこともしっかり対応しながら然るべきタイミングでやっていきたいというふうに思います。いずれにしても大切なことは、ロシアにきちっとコストを与えることで、我々にはできるかぎり副作用を小さくすると、これが原則だというふうに思いますので、そうした対応をしたいと思っております。

(代替資源獲得の見通しは)

木原:

エネルギー源の多様化、そして供給源の多角化ということは我々取り組んできたところでありますが、これからまさに本格的に再エネ、それから総理は原子力発電所の再稼働も含めてエネルギー源の多様化をしていくという決意を述べられておりますし、供給源の多角化ということで言いますと、上流開発(※化石燃料などの開発)も含めて私ども徹底して対応していきたいと、必ず実現をさせたいと、こう思っております。

鈴木:

ロシアへの依存がどうしてもこれまで多くあったわけですけれども、それはある意味、多角化の結果でもあるわけですね。日本はこれまで石油・ガスはほとんどが中東に依存していたのに対して、中東に依存してばかりだと中東で何かあった時に困るということで、ロシア・サハリンの開発をやって来たわけですが。それが逆に言うと、ロシアへの依存を高めるという結果になってしまったという、そういうところが一点あるかと思います。石油とガスを分けることは、これは大変大事なことで。例えば石油の場合は非常に備蓄をしやすいというのが一つと、また生産源が多様化できるところもあるんですが、一番はもう一つ、運びやすいということがあります。他方、ガスはやはり備蓄しにくいということと、パイプラインが一回通じてしまいますと、これヨーロッパの場合ですが、コストが圧倒的に変わってくるということで、やはりヨーロッパの天然ガス、ロシアへの依存がずっと続いているのは、インフラでどうしても繋がってしまっているというところが大きな理由としてあるかと思います。

(サハリン1・サハリン2の扱いは)

鈴木:

短期的にはサハリン1・サハリン2の権益を維持することは、一方では大事なことだとは思うんですが、他方で、じゃあそこでの生産ですとか、そこからの輸出ですね。これをどうしていくのかというと、分けてまた考えていく必要があるかなと。つまり権益は維持するけれども、生産をやめるとか、減少させていくという形で、今、戦争にかかるロシアの費用を賄うような、そういうロシアへの収入を断っていく。そういう事を、何らかの形で政府が支援をしながらやっていくということは、可能なのではないかというふうに考えます。

木原:

今、鈴木先生がおっしゃった通りだというふうに思います。つまりロシアへの石油の依存。これは脱却をしていくと。そのことは制裁措置としては極めて重要で、コストの、ロシアにとっては高いものだというふうに認識をします。他方で、権益を維持するというのは、サハリン1・2共に、日本にとっては、長期的で、そして安価な安定供給と。日本を担ってきたということがあります。従ってこれを、我々自身から手放すことは、国民にとってはむしろマイナスだというふうに思います。実際に手放したときに、ロシアがこれを得るということになれば、そこからより高いお金で輸出がされてしまうということになります。あるいは逆に、今制裁に参加をしない第3国にこの権益が渡ったときには、そのそれぞれの国を利するということになりますから、私共としては、この権益は権益としてしっかり維持することが、制裁措置としても重要であるし、国際社会の一体性を確保するという意味でも重要だと理解致します。

(ロシアへの制裁の効果は)

宇山:

制裁は、戦争の継続能力を低める。そして、将来的な再発を防ぐという意味では、非常に重要ですけれども、戦争をすぐにやめさせるということはなかなか繋がらないことだと思います。ですから、制裁にどういうメッセージを込めるかということで、現状では、国民の中で必ずしも戦争に積極的ではなかった人たちも、制裁を受けると、ロシアがいじめられるということで、かえって戦争賛成に回るという現象があります。ですから、国民を敵にしているわけではない。そして将来的にロシアがまともな国になれば、制裁は止む。しかし、このような戦争を続けていれば、もっともっとひどいことになるということを、プーチンだけではなく、ロシアの政治エリート、国民にきちんと伝わるようにする必要があると思います。

三牧:

アメリカの場合は、侵攻進行が始まった当初は、4人に1人しかこのウクライナの問題を大きな問題と捉えていなかったと。それが今や、制裁に関しては8割超が、しかもこれだけ党派対立が激しいアメリカで、超党派の支持があるということで、ウクライナの善戦が相当アメリカの世論を変えたというところがあります。アメリカは、いち早く、ロシアへの依存度がそもそも少なかったこともあり、禁輸を打ち出して、世論としては、より強力な制裁というものを求める世論。それに議会。それに押される形で、バイデン大統領もそうした措置をとってきたということがあります。先ほど宇山先生からも制裁のメッセージということに言及があり、これとても大事だと思います。確かにすぐ戦争をやめさせることにはなっていません。しかし、こうしたやはり侵略を行った国に対して、きちんと制裁を科す、ペナルティを課すということを示すということ自体、やはり国際ルールを維持する上で非常に重要だと思います。

(ルーブルは 債務不履行は)

鈴木:

ルーブルの価値が下がらないのは、1つは、資源の値段が上がっているので、今でも、ガス・石油は輸出していますから、その分の収入が入ってきているということと、また同時に、制裁を受けているので、ロシアの輸入が減っているので、輸入と輸出のバランスで言うと、ガスの輸出で儲かっている分が増えているので、バランスが取れてしまっているというのが現状で、結局のところ、ロシアに物が入ってこない、物不足が起きている。その結果、今物価が上がっているという点は、かなり経済効果としての制裁の効果はあるだろうというふうに思っています。これが最終的にどの程度の結果になっていくのか。特に国債のデフォルトの問題は重要になってくるんですが、今のところ手元にある外貨でなんとかしているというのが現状ですが、ほとんどの外貨は、日本やアメリカ、ヨーロッパの中にあるので、ほぼほぼ凍結されていると。今はなけなしの、多分2割ぐらいだと思うんですけれども、持っている外貨の一部を使って、デフォルトを回避していますが、これはそう長続きしないのではないかというふうには思っています。

(制裁の効果は)

兵頭:

まず経済制裁の意義ですけども、力による現状変更をやれば高くつくという、これをしっかりと認識させるというためにも、国際社会が結束して、引き続き制裁を続ける必要があると思います。あとロシア、プーチン大統領にどういう影響があるかということですけども、戦争を即座に中止するという即効性はないと言われながらも、もう3か月近くこの戦争が続いているわけですね。そうすると、プーチン大統領の意思決定の際でも、いつまで続けることができるのか、そして、経済制裁が長期化した場合に、ロシア国民からどういう反発が出るのかというのは、計算するはずなんですね。この前の5月9日の演説などを見ていると、その辺りは計算し始めてるんじゃないかというふうに私自身は見ています。ロシアの国家財政は、かなりの部分、このエネルギー収入がありますので、このまま天然ガスの禁輸まで踏み切って、それが長期化すると、中長期的にロシアの国家財政は大きなダメージを受けますし、将来的には、資源大国という地位をロシアは失う。この決断をしなくちゃいけない。そう考えると、やはりこの経済制裁は、いつまで戦争を続けるのかというプーチンの判断には、これから影響を与えていくんだろうというふうに私自身は思っています。

木原:

まず制裁の効果ということで申し上げると、先ほど鈴木先生がおっしゃったように、かなり物不足は深刻だというふうに思いますし、物価への影響はかなり出ていると思いますから、これからロシアの国民の皆様にとって、これはじわじわ効いてくるんだろうと、こういうふうに理解をしています。それから外貨準備の話も、中央銀行の外貨準備、我々も凍結をしていると。こういう状況でありますから、これも早晩効果が出てくるというふうに見ております。いずれにしても、やはり国際法を破ったと。こういった行為には高いコストが伴うんだということを示すということは非常に重要ですから、制裁はこれからもしっかりやっていかなければいけないと。その中で、天然ガスについて申し上げれば、これはこれからG7の中でどういう議論になっていくかというふうに思います。G7の結束を守るという意味でやる必要が出てきたときには、対応を考えていきたいというふうに思いますが、まずは、今求められている石油。これに注力をしていきたいと思います。

(エネルギーや食料価格の上昇 日本への影響は)

木原:

先ほど申し上げたように、ロシアにコストを課す。しかし我々には、できる限り副作用を小さくすると。そうでないと、私たち自身の結束が保てないと。そしてまた国民の理解も得られないと。こういうことだろうというふうに思いますので、この原油高物価高というのは、しっかり対応しなければいけない。私共も、そういう意味で、原油高、そして物価高に対する総合緊急対策、13兆円用意をさせて頂いております。この国会の補正予算も準備をしておりますので、そうした対応を通じて、国民の理解を得られるように対応して参りたいと思います。

(穀物の価格上昇 世界的課題は)

鈴木:

ロシアは、穀物、小麦の輸出が世界一で、ウクライナは世界第5位ということで、しかも今は、黒海の封鎖というのをやっていて、ウクライナから輸出される小麦というのが、ロシア軍によって止められているという状態で、この分の供給が今、減っていると。加えて今、インドでは熱波があって、インドの国内での生産が落ちている。インドは世界第2位の小麦の生産国なんですけれども、こういう意味で、もう今、小麦を中心に穀物がなかなか出回らない状態で、特に今苦しい状態になっているのが、アフリカ諸国ですね。これまでやはり、小麦の供給はウクライナから安く提供されてきたものが今止まっているということで、中東・アフリカでは、ある種の飢きんの状態が起きる可能性があって、それがこの社会不安をもたらすであろうというのが、この間のG7の中でも議論された問題ですし、これは放っておくと、本当に世界的にも不安定な状況を生み出す可能性はあるので、注意をしていく必要があると思います。

木原:

今、鈴木先生からお話ありました通り、特にアフリカ、またアジアもそうでありますけれども、国際の物流価格、あるいは穀物価格高というのは、生活に直結を致しますから、私共、やはりそれぞれの国に対する支援というものは、強化をしていきたいと思いますし、それぞれの国での農業生産を引き上げられるような技術支援。こういったものも徹底をして参りたいと思います。