2022年5月8日「子ども・若者の声 社会や政治にどう届ける?」(後半)

NHK
2022年5月9日 午後8:46 公開

子どもや若者の幸せについて考えるNHKのプロジェクト「君の声が聴きたい」に参加した今回の日曜討論。社会や政治に次の世代の声をどう反映させていくのか、野田こども政策担当大臣と専門家、現場で支援活動を行う団体の代表と共に考えました。後半は、国が設置をめざす「こども家庭庁」で何が変わるのか?また子どもが直面するいじめや不登校の問題などをめぐって議論しました。

●子ども政策 何が求められているのか

子どもに対する政策をどう進めるべきか。先月、国会では新たにこども家庭庁を設置するための政府の法案の審議が始まりました。

こども家庭庁は、行政の縦割りを廃し、子ども政策の司令塔としての役割が期待されていて、政府は来年度のできるかぎり早い時期に創設するとしています。具体的には、子どもの貧困対策や児童虐待対策などの業務は内閣府と厚生労働省から移管。一方で、いじめ対策などについては文部科学省の所管にとどまったままで、今後どう情報共有を図るかが課題となっています。

子ども政策を推し進めるにあたっては財源の確保も課題です。国が子育て支援にかけるお金、家族関係支出のGDP国内総生産に占める割合は、日本は1.73%でスウェーデンやイギリスの半分程度です。

(こども家庭庁で何がどう変わる?)

野田:

少なくとも国会の中で毎日、子どもという言葉が与野党問わず出てきて、さまざまな意見、賛否が始まっていることはかつてないことです。それぐらい子どものことはとても大切だとみんなは言うんですけれども、実際に国の政策に反映されてきていない。少子化になってどんどん子どもの数が減り始めて、もう半世紀、50年ぐらい経つのに、大変だなと思いながら手が出せなかったのはやっぱりそこに受け皿、これはいいかどうかは別として、統一的な役所がないというのが私は問題だったと思います。文科省と厚労省で、保育園は厚労省、文科省は幼稚園みたいな、そういうところばかりが問題になって、子どもがいない大人の子ども政策に終始していたので、今回ようやく国会の中で、こども家庭庁という土台をつくって、そこに子供を置いて、子どもが発信する事で新しい日本づくりができるというのは大事なことだと思っています。

(縦割りを廃するというが機能するのか?)

野田:

今まで通りよりはるかに効果的になると思います。1つは子どもという言葉で1つの入り口が必ずあるということが国民にご理解いただけるし、こども家庭庁というのは国民の中でちょっと誤解があるんですけれど、省のほうが庁より偉いみたいに思っている方がいるんですが、庁というのは総合調整をするという事で、どこにでも、俗な言い方をすると、ちょっかいが出せるというか、省同士だとお互い言い合いがなかなかできない。だからいろんな融合ができないですけれども、内閣総理大臣の下の大変強い権限を持った庁がそれぞれをつないでいく、総合調整をしていくことで、今までそれぞれが単独でやっていた仕事がつながっていく。例えば、女性の問題といわれる女性の非正規雇用と、子どもの生活困窮というのはつながっているんだけど、それぞれやっている人が違うという事で、効果的な政策がとりえなかったんじゃないかと。そんなことを解決していけるようになっていくし、何しろ見えることが大事です。国民にとって子どものための役所がある。そしてさまざまな法律がそこに統合されて、子どものことで何かあればそこにまず問い合わせる、確認できる。子どももそこに物が言える、そういう事を作ることがこれまでできなかったことだと受けとめていただければと思います。

(若い人たちにはどう映っている?)

田中:

正直議論されていること自体まだまだ若者には届いていないのかなと感じています。もちろん情報収集を怠ってしまっている私たちにも責任があるとは思いますが、やっぱりそれが現状なのかなと感じています。政策を議論してくださるのは野田大臣であったり、他の国会や行政の方々だったりだと思うんですが、大人が主体となって議論を進めているというイメージは、若者の皆さんが思っているんじゃないかなと思っています。そして、こうやって前に出てくる若者もごく少数ですし、声を出せない若者もたくさんいる、もっと深い深い所にいる若者たちの多様な声を理解して、それを理解した上で議論を進めていかないといけないかなというふうに感じています。

野田:

いま途上なのでご期待に沿えなくて残念だと思いますけれども、多くの子どもたちの、それぞれ十人十色ですからさまざまな意見はきっちり入れた中での、今国会議員、大人しかいないんでやむをえないんですけれど、でも役所の中にはきちっと子どもの審議会を作って、常にパブコメにしても、子どもにしっかりこれやっていいかなどうかなっていうようなことをやるという組織体にしようと思っている。できるまではね、不安も感じるかもしれないけれども、世界で初めての子ども真ん中政策です。ですから、できてからの化学変化というのを期待してほしいし、むしろ、こども家庭庁なんかいらないという国にしなきゃいけないと思っています。

池本:

こども家庭庁については、1つは省庁をつくってもそれが本当に機能するかというところでちょっと不安を感じています。というのは海外には必ず子どもの省庁と別に、子どもコミッショナー(注:行政から独立し、子どもの権利や課題について調査・勧告する第三者機関 世界70か国以上に設置)という独立して子どもの実態を調査し、子どもの声を集めて、政府に提言なり勧告をする機関というのが別途設けられている。それが今回、こどもコミッショナーについては、できそうもないような議論も出てきているので、それがセットであると、すごく進んでくれるんじゃないかなと思いますが、そこがちょっと心配しているところです。あと国と地方の関係も、海外ですと国が、地方がきちんとやっているかを評価しているんですが、こども家庭庁が、地方自治体がやっていることまでもきちんと把握して、できていないところには支援、サポートするということがやっていけるか。そこまで本当に格差なく子ども政策が進めるということをやってほしいなと思います。

石井:

子どもが家の次に長く過ごしている場所は学校です。つまり最も子供たちのケアの手の届くのが学校なわけですけれども、高校生への支援をしていると、小中の9年間でただ椅子に座っているだけで何のケアもされないまま、ここにいるなんて子どもたちによく出会う。それは先生たちに問題があるわけではなくて、学校の中に福祉的な視点を持っている方がほとんどいないことが問題だ。この辺の学校の福祉的機能強化をどういうふうに果たしていくのかということが子どものケアにとってはとても大事なとこだと思うんですが、縦割りをこえて、ぜひ学校の福祉的強化というところに取り組んでいただきたい。

野田:

これまでざくっと文部科学省は学び、そして厚生労働省は育ちというような分け方をしていて、そこがなかなか1人の子どもですから交じり合わなきゃいけないんだけど、縦割りがあってうまくコミュニケーションがとれなかったりしていました。省同士はお互い介入ができないような仕組みになっているので、こども家庭庁、役所を作ってもなと言われますけれども、調整能力がこれまでなかったことで子どもたちが立往生していた事の解決は当然図れると思うし。私かつて消費者庁を作ったことがあるんですよ。それまでは消費者行政なんてこの国では消費者が非常に弱くて、いろんな意味で消費者被害があったけど、だいぶ消費者目線とかそういう言葉が当たり前のように使われるようになってきたんで、こども家庭庁というしっかりとした、箱だけじゃなくてちゃんと政策とか法律とか基本理念とかありますので、ただ役所をつくるわけじゃない、中身当然あっての役所なんで、そこに皆さんのような専門性の高い人たちがどんどん関わって頂く事で、かつての消費者庁のように、この国の景色を変えられる。私はそういうふうに固く信じています。

●子ども政策 予算は

安田:

予算の倍増といったときに、どの予算がどう倍増されるのかというのが一番気になるところ。提案したいことは2つあります。1つ目は子どもに関わる支援者に適切な賃金を払えるようにすることです。国や自治体から子どもの支援に関する事業を民間に委託する際、結構ボランティアが前提だったりとか最低時給ぐらいが前提だったりするんですね。ところが国が公共事業で橋を造ったり道路造ったりする時に、ボランティアで造ってください、ということはしないわけですよね。だから同様に子どもに対する支援者というのをプロとして認めて、適切な賃金を払えるようにしないと優秀な人材が子どもの支援をしたいと恐らく思わなくなってしまうだろうなということがあります。2点目は自治体の問題。子供支援においては、すごく熱心な自治体と熱心じゃない自治体というのが真っ二つに分かれていて、自治体の福祉の人たちが、熱心か熱心じゃないかで決まってしまっていると。つまり生まれた場所によって、子どもたちが受けられる支援が変わってしまうという状況をすごく現場で感じています。この2点に予算を使って頂けるとうれしいなと感じています。

池本:

先生にお金を払うというところは本当に重要なんですが、もう1つは無駄をなくすというところで、今回、幼稚園と保育所が別々の省庁で2つ法律を作るということになっているわけですが、海外ですと、行政事務コストにお金をかけるのは無駄だということで一元化していますし、質の悪い保育施設や学校に予算を投じるのは無駄だということですべての保育施設、学校を評価して、改善して、質を確保したうえで予算を投入することも海外では進んでいる。限られた予算がいかに有効に使われるかといったところについても工夫の余地が非常に多くあると思っています。

野田:

まず自治体の格差は私も非常に気にしていて、こども家庭庁の役割は、好事例をしっかりと知らしめて、どこに生まれても、福祉と教育はある一定の基準を満たす。例えば、こども家庭庁というのは妊娠中から、おなかの中にいるときから子どもということで、望まない妊娠があったり若年の妊娠があったり、そこからどんどん伴走していこうという形を取っています。今、幼児教育は義務じゃないんで行かない子もいます。さっき池本さんのお話しにあったように、保育園に行けないとか、幼稚園に行かせるために仕事との兼ね合いとか、行けない子どもたちが結構虐待の数を増やしているというのもあり、そういうところもちゃんと手を届かせる。それは自治体の仕事なんだけど、ちゃんとやってくれているところとやらないところがあるというので、きちっと情報共有をして、伝えていくのが私たちの仕事かなと思っています。あと賃金に関しては、NPO自体が日本はまだボランティアみたいな意識で、本来他の国々はここでちゃんとなりわいとして生活ができるような組織なんですね。私は実はNPOも担当しているので、そこまで引き上げていかないといけないなと。第3の社会の力として、皆さんがちゃんと持続可能な生活ができなければ、子どもたちにいい効果が出ないことは理解しています。それも別途、動いている最中なので、お手伝い頂ければありがたいです。

●いじめ・不登校などへの対策は

こども家庭庁の課題として指摘されている文部科学省との役割分担。特にいじめの問題や不登校、こうした問題についてどう対応していくのか。

2020年度認知されたいじめの件数は51万件を超え、過去最多となった前年度よりは減りましたが依然として高い水準が続いています。

また学校を30日以上欠席した不登校の小中学生の人数は増え続け、2020年度、19万6127人と過去最多となっています。

石井:

昔は学校が嫌でも学校が終われば学校はいったん終わったと思うんですけども、今はクラスのLINEが夜中までずっと教室のノリが続いて、いじめっ子は夜までいじめっ子だし、いじめられっ子は夜までいじめられている、24時間そういう状況にさらされている。授業中にLINEでグループからハブられたとか、ケンカした友達にツイッターの裏アカウントをさらされたとか、暴力的ないじめからコミュニケーションのいじめに変わってきている。そういった中でリアルな居場所がないので、SNSの中のコミュニティーに逃げ場を見つけていく。そこでは優しい大人たちが優しい言葉をかけてくれるわけですけども、その言葉の裏にはいろいろなたくらみがあったりするわけですよね。そういった意味で、大人たちのリテラシーの追いつかない目の届かない世界が確実に広がっていて、リアルに自分を受け止めてくれる居場所がないことが彼らの逃げ場として落とし穴になっているような感じがします。

田中:

今の日本はぜいたくな悩みかもしれませんが、学校に行けることが当たり前の社会になっている。なので、学校は行かなくてはいけない場所になっていると。その結果、行けないことが劣等感を与えたり、他人と違うっていうようなところだったりとか自己肯定感を下げる要因の一つになってしまっていると思います。実際私自身もあまり言いたくはないんですが、いじめに遭って中学2年生の時にちょっとだけ不登校になった時があって。その時はみんな行っているのに自分だけ行けないという自分を責めてしまったところがあったので、そういう心の部分が負い目を負っている子もいるんじゃないかなというふうに思っています。

安田:

学校に行かなくても自己肯定感を持って成長できるような場所を学校外でもいいから作っていくことがやはり大事だと思います。学校というのは子ども達が育っていく上で手段ですよね、目的ではなくて。学校に行かないのであれば他の手段で子ども達が健全に育っていくようなことをしていく必要があると思います。学校に居場所がなくても、学校外に居場所を作れば、子どもたちの自己肯定感が高まっていくなと思っています。ただ一点だけ。現状ではお金が無いと学校以外の居場所にアクセスすることができないんですね。お金があれば塾が居場所になったり、習い事が居場所になったり、フリースクールが居場所になったりすることがあるんですが、低所得世帯の子どもが不登校になると、もうどこにも支援先が無くて孤立していってしまう。そういう現状に対して何とかしなければいけないなというのをいつも感じています。

野田:

いじめというのは子どもの世界だけじゃなくて、大人の世界にも国会にもあります。学校はどうしてもいじめを無くそうというスローガンを掲げているので、なかなか自分とこでいじめがありますと公表がしづらいんだろうと思うんですね。だから文科省としては、一生懸命学校は取り組んでくれているけれども、石井さんが指摘したように、学校に大体いるんだけど、今サイバーの中で、学校外でもいじめがあるということを、もっと大人は気が付いてあげなきゃいけないし、学校の先生に全てを任せるのはいかがなものかと思ってあげるべきだし、学校の先生は学びの専門家であって、十人十色の子ども達全てを把握する超人的なことを、私達は先生だからということで押し付けてこなかっただろうかと、そういう反省を踏まえて、石井さんが活動されているような方たちとしっかり学校が外と繋がっていくこと、その門をこじ開けていくことがこども家庭庁の仕事だし、いじめ対策、不登校にしても、学校に大方いるからということで、そこに責任の所在を持って来ていたけれども、1人のプレーヤーより2人でになっていくことで、どうしても囲い込みがちになるようなことを解放していくということが、こども家庭庁に求められる仕事だと思います。

池本:

本当は全ての子どもがちゃんと学校で居場所があると感じられるようなふうに学校が変わらなきゃいけないと思う。海外の例ですと、学校のいじめに対する対応が足りないだとか、教育委員会がちゃんと調査をしないとか、そういうことに対して行政機関に対する市民の苦情を受け付けるオンブズマンという組織が、先ほどの子どもコミッショナーとは別にある。その2つで、子どもたちを海外では守っていて。でも、日本にはその両方が無い状況です。ですから、せめて、子どもコミッショナーは設置して、子ども達のいじめについてどう感じているかという海外でやっているような調査を実施して改善策を政府に求め、子どもが本当に困った時に駆け込めるような場所を作るということが必要ではないか。

石井:

子どもの居場所ですけども、最近の子ども達は知らない大人がいる場所に行かない。関係性を作っておかなければそこに行くことをしないので、学校の中に居場所があることはとても重要なことだと思う。今、校内居場所カフェというのが全国で60校ぐらい広がっている。親でも先生でもない、つまり評価や指導をしない多様なロールモデルに学校の中で出会えると。自分の話をフラットに聞いてもらえて、居場所が学校の中にどんどん広がっている。心配なことがあれば、ソーシャルワークを通して社会資源に繋げていくなんてことをしています。僕、今公立高校の中に入って12年目。12年そこで勤めている先生はいないんですよね。僕がそこでカフェをやり続けていれば、そこは母校であり続ける。何かあった時に相談に帰って来られて、そこから僕はソーシャルワークを開始することができる。学校の中にずっと居続けるNPOがちゃんと資本提供を受けてそこに居続けられるということが、僕は子ども達の居場所を作っていくことになっていくのかなというふうに感じています。

田中:

居場所は大前提として必要だと思っています。ただ、いま行政が用意してくださっている居場所というのは、やはり大人が作った居場所であって、子どもたちが行きたい場所になっているかというのは、もう一回問い直したいと思っているところです。この居場所について、どうしたら良くなるのかというのは、私自身も答えは出ていないんですが、例えば利用する子ども達に運営を任せるとか、そこに大人がサポートするという居場所があったりすると、子どもが主体的になれる居場所になっていくので、そういった居場所が増えていくといいなと思っています。

安田:

不登校の子どもの支援をする時に、学校が嫌で不登校になっているわけだから、その支援の場所は学校的な雰囲気じゃない方がいいわけですよね。ところが大人目線で作ると、すごく学校っぽい雰囲気で作ってしまうところもある。そういったところには、当然ながら子ども達は通いませんよね。だからどうしても大人が作っていくので大人目線が入ってしまうのはしょうがないかもしれないけれども、できる限り丁寧に子ども達の声を拾い上げて、子ども達が通いたくなる場所を作っていくこと、そしてニーズに合わせることというのも大事だと思います。小学生であれば、友人と遊ぶ時間があるとか。例えば中学3年生であれば、高校受験に向けた支援ができるとか、年齢に合わせた支援というのも重要かなというふうに思っています。

●子どもの声をどう聞いて社会や政治に反映させていくか

石井:

子どもって、自分から声を上げることが非常に難しいか弱い存在。なので、子どもの声を身近で拾ってくれる大人達をどういうふうに増やすかということが大事だと思っています。学校の校門に必ず書いてある言葉は何だか分かります?「関係者以外立入禁止」と書いてあるわけですが、学校はこの関係者を増やす努力をしてきたかと言うとしてこなかったなと思いますし、先生方もそういうことが苦手な方が多かったりするわけなんですが、学校の中に入れる関係者を増やしていくことが、僕は大事だと思ってます。うちのやっている校内居場所カフェで、年間300人ボランティアが来るんですね。300人のボランティアと子ども達が学校の中でフラットに出会っていると。廊下で知った生徒と立ち話や挨拶なんかをしている。そういうボランティアさん達のことを僕は「善玉菌」と呼んでいるんですけども、学校が善玉菌を培養するインキュベーターになって地域にばら撒いていくような、そういう子ども達の声を政治や社会に反映させていくことになる媒介者を作っていく、大人を作っていくことが大事だなというふうに思います。

安田:

まずこども家庭庁設置法にある子どもを中心に置いた政策を作っていこうという理念は、すごく大事にしてほしいなというふうに思っています。子どもの未熟な意見は聞かないという姿勢だと、何言っても変わらないという子どもの諦めに繋がっていくと思います。特に私が不登校の子どもの支援をしているので気になることは、やはり声が上げづらい子ども達の声をどう拾っていくかということだと思います。不登校の中だと、例えば人にあんまり発信するのが得意ではない子ども達、たくさん私は会ってます。ただ、彼らは不登校という状態を以て、彼らは自分達の意思表示をしているわけですよね。そういった声も丁寧に拾っていけるようなことがすごく重要になっていくというふうに思っています。

池本:

子どもの権利条約では、子どもが自分に関係あることについて意見を言える。そして、その意見はきちんと取り入れなければいけないというところは非常に大切にされている。そのことをまず子ども自身が知っているのかなというのがあって、それを誰もが自分の意見を言って、聞いてもらえるということを知る必要があると思います。そして子どもコミッショナーという、子どもの声を全て受け止めて、子どもの声を政治に反映させる機関がまず必要で、国連からは全ての国にそういった機関が必要、それは子どもの声を上げにくい存在だからというふうに言われていますので、そこが私としては期待するところで、もう一つ日本の特徴として、とにかく忙しくて、大人が子どもの声を聞く余裕が無いんですね。先生も一人でたくさん見るから聞けないわけです。そういう大人の、親の労働時間を短くすることですとか、先生が見る子どもの数を減らすという、そういった環境整備も非常に重要で、子どもの声を聞く余裕を大人が持つ必要があるなというふうに思います。

田中:子どもの声を受け止めていただいて政治や社会に反映するということは重要ですが、やはり私からは声を伝えることが難しい子もいるということをお伝えしたいです。例えば私の姉は、小学校5年生の時に自ら家を出て交番に駆け込み、助けを求め一時保護されました。この時姉がいなければ、小学校1年生の私は、きっとSOSを発することはできなかったと思います。また不安定な気持ちを、物を壊すことでしか表現できない子もいます。なので、今後は子どもの声を聞く大人を増やすだけではなく、声を出すための子ども側のサポートというのをより充実させていただいて、子どもがSOSを発信しやすい環境を整えていただけたら嬉しいです。

野田:子どもがいることが、この国の未来の指標なんですね。だから、子どもに何かやってあげるのではなくて、子どもがやってくれるんです、大人に対して。私達に夢や希望というものを与えてくれるという意識を持つために、こども家庭庁は、大人をもう一回教育し直さないといけないなと改めて思います。子どもという一括りにせずに、一人の人間として、そして日本に住む仲間として、彼らが望んでいることを自由に言える国こそ、これから日本が目指していく。この30年、日本はどんどん斜陽の国家になっている。その原因は、私達が子どもに対して力を入れてこなかったという反省をしながら。でも子ども達がいるから、また私達は温かな国が作れるという、そういう期待を持って取り組むことができればいいなと思っています。しっかりみなさんの声を活かしていきたいと約束したいと思います。