2022年5月15日「長引く戦闘 ウクライナ危機打開は」(後半)

NHK
2022年5月16日 午後7:12 公開

ロシア戦勝記念日の式典でウクライナ侵攻を重ねて正当化したプーチン大統領。G7・主要7か国は、ロシアからの石油の輸入を禁止することで一致するなど圧力を強めています。事態の長期化への懸念が高まる中、日本と国際社会はこの危機をどう打開すべきなのか、木原内閣官房副長官と専門家が討論。後半は今後の情勢、そして事態打開のために何が必要なのかを議論してもらいました。

今後の情勢は 停戦は

アメリカのバイデン大統領は、ウクライナへの軍事支援をさらに推し進めようとしています。9日には、レンドリース法、武器貸与法が成立。ウクライナや近隣の東欧諸国に対して、来年9月末までの間、軍事物資を貸与するための手続きを簡略化し、迅速に提供することを可能にするものです。

一方、北欧のフィンランドとスウェーデンは、ロシアの軍事侵攻以降、NATOへの加盟を検討してきましたが、12日、フィンランドはNATO加盟を速やかに求めるべきだという立場を表明しました。これに対し、昨日プーチン大統領は、フィンランドのニーニスト大統領と電話で会談し、両国関係に否定的な影響を及ぼすと強く牽制しました。

(武器貸与法成立 アメリカは)

三牧:

アメリカは、昨年のアフガニスタン撤退以来、ずっと非介入。それ以前から、ずっと非介入志向というものが強く、そこからこうした転換。先ほど申し上げたように、これも米国世論の強い後押しがあっての、こうした法律の成立ということで、そして、やはり再度強調すべきなのは、超党派で、民主党と共和党がここまでまとまって、こうした法案を後押しするということは、昨今のアメリカ政治では見られない風景だったということで、これは確固たる基盤がある行動ということで、それだけやはり看過できないことであったと。バイデン大統領就任以来、中間層のための外交ということを掲げて、世論に配慮した、そうした外交を掲げてたわけなんですが、それゆえに、こうした米国世論議会、それがまとまって、こうした動きを見せているというのは、非常に大きなことだというふうに感じています。

兵頭:

ロシアの受け止めっていうのは、かなりこれ深刻に受け止めてるんだろうというふうに思います。つまり、欧米諸国からウクライナ軍に対する武器供与っていうのが、今回のこの法律、武器貸与法によって、来年の9月末ということになりますから、中期的にも続いていくんだと。そして、手続きが簡素されながら、続々と前線に送られていくということになりますので、今後ロシア側が将来的な戦況を分析する上でも、こうした欧米諸国の動きを踏まえて、どうやってロシアが状況を打開していくのかっていう、そういうちょっと追い込まれたような、そういうところに結び付いていくんではないかなというふうに思っております。

宇山:

やはり、ウクライナにどんどん武器が送り込まれている。それによって、戦況が不利になってるということは深刻に受け止めていると思いますが、ただ、まだロシア軍が総退却に追い込まれるというような状況ではない。軍の中にはまだ、強硬に戦えると思ってる人たちが少なくないわけで。そして、プーチン政権自体、非常に計算高い現実的なところと、いわばカルト的、終末論的なところが両面あって、ロシアのテレビのプロパガンダでは、第3次世界大戦も辞さずというようなことも言っていますので、こういった軍事的に不利な状況が、もっと現実的な対応に移っていくことになるのか、それとも、かなり暴発的な対応を引き出すことになってしまうのか。両方の可能性に備える必要があると思います。

(米ロ国防相の電話会談 評価は)

宇山:

先ほど演説の中でも、アメリカやイギリスと一緒に戦ったという過去を引き合いに出したということを言いましたけれど、やはりロシアとしては、世界の中でもっと発言権を得たい。そのためには、アメリカと対等に話し合えるようになりたいということを考えていますから、現在の状況の中でも、ウクライナというよりも、アメリカと話をしたいということはあると思います。

兵頭:

両国防相の会談は侵攻以来初めてなんですね。恐らく今後ロシア側は戦況が悪化する中、不測のエスカレーション。やっぱりこれを心配してるんだと思います。それはどちらもだと思います。戦況が悪化した場合、欧米諸国の武器供与がどんどん前線に送られて、ロシアの軍事的な支配地域が縮小していく、追い込まれるような状況になった場合、欧米諸国が懸念してるのは、やはり大量破壊兵器の使用、これにプーチン大統領が踏み切るんではないかという、ここになるわけでありまして、そういう不測の事態、そして双方の読み間違い。そういうミスカリキュレーションといいますけれども、こういうものがないためにも、この段階で両国防大臣がしっかりとコミュニケーションを取っておく、その必要性を双方とも認めて、そして電話会談を行ったんだろうというふうに見ています。

三牧:

世論は実はかなり軍事支援に積極的で、しかし、アメリカ軍を送るということには明確に反対。そして、当然のことながらバイデン大統領と同じく、第3次世界大戦というようなことは望ましくない、エスカレーションは望ましくないというところで、正直なところ、かなり混乱した世論があると。しかしそれは、私たちみんなが抱えてるジレンマで、さらにやはり支援を推し進めなければならない。しかし、そしたら第3次世界大戦、核戦争ということは避けなければならない。そのジレンマの中で、バイデン大統領、かなり慎重すぎる外交を展開してきたかもしれませんが、その外交は概ね評価されている。ただ、こうした米国政治の状況では、特に共和党では、バイデン大統領のウクライナ問題のハンドリングというものに関しては、かなりネガティブな見解も強いですが、では、それ以外の選択肢があったのかというと、ないというような状況です。

(日本からの防衛装備品供与 強化の余地は)

木原:

私共も既に、例えばドローンであるとか、あるいはこういう防護の(ヘルメットなどの)装備を供与させて頂いております。これをさらにどこまで広げられるのかというのは、私たちの憲法との関係。それから、武器輸出三原則との関係。これは我々やっぱり慎重に議論して、検討していくべきだというふうに思います。むしろ我々は今、人道支援は2億ドルやらせて頂いておりますが、この人道支援をしっかりやらせて頂く。併せてこれから、いずれにしても復興のフェーズというのは出てきますので、この復興段階における、きちっとした支援。こういったものをより積極的にやっていく。これが必要だと考えています。

(フィンランドのNATO加盟を求める動きは)

木原:

安全保障はそれぞれの国がそれぞれ決めることなので、あんまり我々からとやかく言うことは差し控えたいと思いますが、しかし、このロシアのウクライナ侵略というまさに暴挙を目の前にして、伝統的な対ロ外交をフィンランドが変更していくということについては、理解をしたいと。こう思います。しっかりと状況を注視していきたいと思っております。

(ロシアの見方は)

宇山:

もちろん好ましくないことだと見ていると思います。ただ、NATO拡大への反対というのは、実は、ロシアの隣国であるエストニア、ラトビアが加盟したときには、それほど強く言っていなかったことで、安全保障、実際にNATOがロシアを直接、先に攻撃するということはないので、安全保障の問題というよりも、ウクライナというロシアにとって非常に近い国、精神的に近い国にNATOが入り込んでくるということに抵抗感を示してきたので、フィンランドの加盟というのは、ウクライナほど大きな問題はない。そして更には、現在トルコが強く反対していて、これを説得するのはかなり難しい状況ですから、トルコとかハンガリーが反対してくれれば、加盟は防げるということも考えているのではないかと思います。

(アメリカの見方は 加盟までの間は)

三牧:

そうですね。イギリス、アメリカ、その間に関しても、安全保障というものを与えるということで、アメリカは概ね後押しするような方向だというふうに思います。そして、そもそもこうしたNATOの脅威ってものをプーチンが非常に強調すること自体、先ほどありましたように、非常にレトリックというところがありますので、そしてウクライナの問題に関しては、バイデン大統領、非常にNATO諸国に関しては1ミリも領土に手出しをさせないってことを明確にして、非常にNATOとの差を際立たせてきたわけなんですけれども、そうしたものからやはり、そもそもというのはそういったNATOのような軍事同盟の上に集団安全保障ってものがありますんで、そうした観点からこうした明確な侵略に対してアメリカ、国際社会が何もしないっていうわけにはいかないということは、バイデン政権にもよく理解されているところだと思います。

兵頭:

ロシアの受け止めなんですけれども、ウクライナへの侵略戦争、これはウクライナがNATOに加盟させないっていうのは1つのレトリック、ロシア側のレトリックだと思います。ただ、ウクライナとフィンランドはロシアにとって位置づけは違うんですけれども、ただロシアにとってみれば、NATO国境がかなり迫ってきて、フィンランドとロシア、1300キロの国境を共有するっていうこのやっぱり軍事的な、ロシアとしてはなかなか受け入れられないっていう、そういう思いは間違いなくあるんだろうと思います。ですから、フィンランド、スウェーデンこれが入ってしまいますと、ロシアの飛び地カリーニングラード州は、NATO加盟国に完全に取り囲まれたような形になってて、こうした状況に追い込まれること自体も、プーチンからすると想定していなかった大きな誤算だろうと思いますんで、今後NATOとロシアの関係がより一層複雑になっていくと、ロシアからのNATO批判もより強くなるという、この辺りが懸念されるんじゃないかと思います。

ロシアの侵攻 どう終わらせる

こうした状況に今後ロシア軍はどう動くのか。イギリス国防省は9日、ロシア軍の精密誘導兵器の備蓄がかなり減っていて、精密な攻撃ができなくなっているという分析を示しました。

兵頭:

これは既に、指摘をされているところでありまして、当初はロシアによるウクライナ侵攻は短期で終わると見込んでいましたので、長期戦の準備はほとんどできてなかったというふうにみられています。ですから、この精密誘導弾を始めとした武器弾薬の枯渇、それから今後ロシア国内でも、なかなか経済制裁で、外国から半導体その他の電子部品の輸入ができない中、新しい兵器の配備、これも難しいと見られています。さらにロシア軍の士気低下も大幅に深刻な問題になっているということで、前線の兵士が上官の命令を聞かないとか、あるいは現場から離脱するとか、そういう問題もありますし、さらに指揮命令系統、ここに構造的な欠陥があるんじゃないかっていう指摘もありまして、ゲラシモフ参謀総長という軍のトップが、前線の激戦地を視察するという、こういうちょっと考えられない事態も発生しています。ですから、かなりロシア軍の状態はよくない。この中どこまで長期戦を戦うことができるのかっていう、この辺りは大きな問題になっているんだろうと思います。

(ロシアの戦闘継続力は 戦線拡大は)

宇山:

能力は明らかに下がってきている。ただ、この戦争に懸けた野心があって、その野心と能力のギャップがどう働くのかということが今後の鍵であると思います。ウクライナ全体を占領するということはできないのは明らかですけれども、ドネツク州を全部制圧する事に力を入れるのか、それとも、オデッサとか更にはモルドバ方面に戦線を拡大していくという方向に持っていくのか、客観的には無理なことであっても、ここでうまくいかなければ別のところでうまくいくかもしれないということを、こういう戦争で不利になった国は考えがちですので、さまざまな可能性を考える必要があると思います。

鈴木:

先ほど兵頭さんおっしゃったように、新しい兵器が作れなくなっていくと、手持ちの兵器でなんとか状況を打開しなければならないということになると、いわゆる通常兵器を精密誘導なしに、無差別に攻撃していくか、ないしは大量破壊兵器を使うという可能性もなきにしもあらずだというふうには思っております。ただやはり、ウクライナに侵攻するときに、例えば核を使うということは極めてハードルが高いことではありますし、いざ自分たちが攻められて来て、そして守りきれないというような状態になって使うような兵器だとは思いますので、攻めていく時に核を使うというのは、これはもうかなりタブーというか、核兵器を使うハードルとしては高いだろうというふうに思いますんで、こっから先のエスカレーションのしかたはちょっとどうなるかわかりませんけれども、プーチン大統領の野心、それからなんとかして戦果をあげたいっていう思いと、そして手もとにある弾薬、ミサイル、そういった武器の限界との競争になっている状態になるのではないかなっていうふうに思います。

(エスカレーションさせないために日本は)

木原:

先ほど精密誘導兵器の話もありました。枯渇してるということは、我々も報道等は承知をしています。その中でやはりかなり、ウクライナ軍の士気は高く、そしてNATOの結束も固いっていう中でロシアも苦労してることの表れだと思いますし、制裁の中で、いわゆる半導体とか、こういったものの輸出禁止もありますから、そういったことも効いてきていると思います。したがって、引き続き我々としては制裁措置を、しっかりと強固に結束して科していくことは、非常に重要だというふうに思っています。核兵器については、我々はもう世界で唯一の被爆国、そして被爆地広島、長崎を抱える国でありますから、これは決して使わせないということは非常に大切だと思います。それから日本の役割ということでは、われわれは来年のG7の議長国でもありますし、アジア唯一のG7のメンバーでもありますから、そういった立場に立って国際社会をしっかりリードしていきたいと思います。

(停戦の可能性 どう見出す)

三牧:

国際社会が一致していくところが大事で、今のところ、国連の非難決議に関しては140か国超の一致が見られたところだと思うんですが、ロシアの国連理事会からの資格停止ということになると、かなり棄権、無投票が目立ったというところで、制裁に関して参加していない国が本当に多いというところなんですけれども、例えば制裁に参加していない国でも、ウクライナの避難民を受け入れたり、人道援助はしていたりとか、さまざまにウクライナ支援をにじませている。インドのような国であっても、きわめて旧ソ連時代からの他意が有る国であっても、非常にそうしたジレンマをにじませている。プーチンの狙いというのは国際社会を分断させることにあるというところで、私たちがそうした最大公約数のウクライナ支援っていうところを揺るがさないことが極めて重要だと思います。圧力をかけ続けるということです。

兵頭:

この戦争の出口っていうのは、何よりもプーチン大統領が戦争を終結するっていう決断をまずしない限りは、なかなか止まるところは無いと思うんですね。国際社会はウクライナを支援して、それからロシアに制裁を科すというこの基本路線は続けながらも、もう1つとして、ロシア国内の世論に、どう国際社会が働きかけていくのかっていう、つまり外からだけじゃなくてロシア国内の中から、プーチンに働きかけるっていう、これも両方やっていく必要があると思っていて、やはり潜在的に長期化する戦争に不信感を持つ反発する声ってのは、情報統制進められていますけれども、やはりそこはロシア国内でも一定程度はあるというふうにみられます。ですから、なかなか難しいんですけれども、うまくロシア国内に、われわれのメッセージを伝えながら、ロシアの中から声を上げてもらう。そして2年後には大統領選挙、ロシアも控えてますので、そこに向けてロシア国内の世論、ここからなんとか戦争を停止させるっていう、こういう方策も考えていく必要があるんじゃないかと考えております。

鈴木:

非常に難しいのは、最終的に領土を取ったか取られたかっていう、こういうところでどこかで妥協をしなければいけないというところが停戦の条件になってくる。プーチン大統領としては、東部2州、それからクリミア半島、そしてそれをつなぐ回廊ここを獲得したということを、これは最低限の戦果として得たいので、これを諦めるか。でもそれを諦めさせることはウクライナがそこの主権を放棄するということになるわけですから、これはもうどっちがここを取るかっていう、ゼロサムっていうか、勝ったか負けたかっていう事ははっきり決着をつけなきゃいけないっていう話になってしまいます。ですから、ずっとこの決着がつくまで戦い続けるというような、土地を巡る戦いは、どうしてもそういう傾向を持ってしまうと思います。なので、落としどころとしては、例えば高度な自治を認めるとか、何かそういうような形でウクライナ側が折れるか、さもなくば、ロシアが戦争を続けられない状態になって撤退するか、いうような状況が生まれないと、なかなかやっぱり停戦に結び付くような流れはできにくいのかなと思います。

宇山:

プーチン大統領の世界観としては、やはりロシアが、再び超大国にならなければいけないということを考えているので、しかしそれは現実的ではない。だから現実的な、落としどころというのはない。その段階で、ロシアができることを達成するしかないということなので、非常に対応が難しいんですね。ですから停戦といっても、一時的な停戦と終戦に向けた停戦があって、一時的な停戦は双方が決断すればいつでもできる。ただし、それがかえってロシア軍が休息して、再び力をつけるようなことに結びつく可能性も考えなければいけない。そして最終的な終戦はやはりロシアが、ロシア軍がウクライナから出ていく。少なくとも2月24日以前のラインまで戻るという事でしかありえないはずなので、これは非常に時間がかかる難しいことだと思います。

(ウクライナの都市でロシアへの編入・帰属を求める動きは)

宇山:

今、特に動きが出ているのはヘルソン州ですけれどもしかし、現地で新しい権力を代表してると称するのは、かなり変わった人で、住民を代表してるとはとても言えない。その人が勝手に、ここをロシアに編入してくださいと言って編入してしまっても、住民は決して納得しないですから、これはロシア側としては、そういったことも材料としつつ取引をやろうとするでしょうけれども、それで決着ということには、なかなかならないかと思います。

(改めて日本の役割は)

木原:

先ほども少し触れましたけれども、私どもは来年G7の議長国です。そういうことも踏まえて、総理、ゴールデンウイーク中もイタリア、イギリスと回り、ゴールデンウイーク明けてからはEUの首脳会談にも臨み、そして来週にはバイデン大統領もとこういう事でありますから、日本の1つの役割はG7の結束をしっかり強固に、維持していくことだと思います。もう1つは、やはり先ほどから今お話ありましたけれども、制裁措置等に必ずしも積極的でない中間的な国々がかなりございます。総理はゴールデンウイーク中も、インドネシア、ベトナム、タイといった国々も回ってきていますから、こうしたアジアの国々、またアフリカの国もそうかもしれませんが、こうした国にやはり国際法をしっかり守るということがいかに重要かということをしっかりご理解をいただき、そしてともにこの戦争をやめさせるための行動を取ってもらうと、いうそういった役割も果たしていきたいと思います。

(国際秩序をどう立て直す)

三牧:

そうですね。やはりロシアを巡っては最終的に、戦争を終えることが非常に困難で、しかし取り組まなきゃいけない。もう1つはやはりロシアを取り込んだ国際秩序をどう作るのかっていうところで、1つはそういった人権理事会から資格停止するという時も、やはり反対が多かったのは、ロシアを取り込んでそこでやはり議論する、いかに議論ってものが表層的なものであっても、やはり多国間主義につなぎ止めておくという事に関する、そうしたアジア諸国、ラテンアメリカ諸国の意向もあったと思うんですね。なので、国際社会はロシアに対して制裁等、非常に厳しく当たる、圧力をかけることは非常に重要ですけれども。と、同時にやはりロシアをどこかに多国間主義に取り込んで国際秩序というものの将来を議論する場を確保することも非常に重要なのではないかと思います。

兵頭:

アメリカの警察能力が、昔に比べて縮小する中、やはり力による現状変更をした場合に高くつくんだってことをしっかりロシアに認識させると、そこをロシアが認識したってことを東アジアのほかの国の指導者にも認識してもらうっていう、やはりここが一番重要じゃないかと思います。

鈴木:

やはり今回際立っているのは、G7それから西側諸国の結束だと思います。西側諸国が結束すれば、仮にアメリカの力が弱っていくっていうか、こうした国際秩序をつくっていく力が弱っていっても、やはり一定程度の方向性を示すことはできるということと、もう1つはやはり、この戦争がどう終わるかにもよるんですけれども、日本がウクライナに対してできることの最大の部分は、やっぱり復興の部分だと思います。ですから早期に戦争を終結させ、そして日本がこれまでさまざまな形で培ってきた復興のノウハウ、そういうものを踏まえて、インフラの再構築等に貢献していくことが望まれるのではないかと思います。

宇山:

長期的な国際秩序を考えた場合、ロシアの戦争を支持する人たちが国内に多い、そして国際的にも、必ずしもロシアを非難する事で結束していないということは、ロシアが欧米中心の国際秩序が不正義であるという主張が、ある程度の支持を得てしまっているということから考えなければいけません。ですから長期的には、欧米G7は決してウクライナがヨーロッパの国だから肩入れしているのではない。小国、中小国の主権を守るという立場から支持しているのである。欧米のやることによって、ロシアに大国主義的な行動を、欧米批判という形で正当化する口実を与えない。より平等な国際環境をつくっていくということが必要だと思います。

木原:

1つは今回の問題はヨーロッパだけの問題でなく、アジアそして国際社会の問題だと、このことをしっかり確認すること。そして兵頭さんがおっしゃったとおり、現状変更の試みは、しかも力による現状変更の一方的な試みというのは、このアジアでは絶対許さないということをしっかり確認するということだと思います。そのことを日本が主導しながら、しっかりリードしていきたいと思います。