2022年6月12日「各地で梅雨入りへ 災害から命を守るには」(前半)

NHK
2022年6月13日 午後9:03 公開

近年、各地で大雨による甚大な被害が相次ぎ、犠牲になる人が後を絶ちません。本格的な雨の季節を迎えた今、私たちの命を守るためには、どうしたらいいのか。気象や災害の専門家、地域の防災に携わってきた皆さんに議論していただきました。前半は、激甚化する水害をどう見るか、そしてハザードマップや避難情報などをどう生かしていくかについてです。

出演者

小池俊雄さん   土木研究所水災害・リスクマネジメント国際センター長

           (専門は河川工学 各地の治水対策に携わる)

阪本真由美さん  兵庫県立大学大学院教授

           (専門は防災危機管理 被災地の調査・支援に取り組む)

中村 尚さん   東京大学教授

           (気象庁異常気象分析検討会長)

西澤清文さん   長野市長沼地区住民自治協議会元会長

           (3年前千曲川決壊で被災 地域の防災に取り組む)

野澤千絵さん   明治大学教授

           (専門は都市計画 災害に強いまちづくりを提言)

●近年の豪雨災害をどう見る

大規模な水害は、毎年のように各地に甚大な被害をもたらしています。主なものでは8年前の平成26年、広島で大規模な土砂災害が発生。翌年には関東・東北豪雨。平成29年には九州北部豪雨。そして平成30年、西日本を襲った記録的な豪雨では、死亡した人や行方が分からなくなった人が300人を超えました。その翌年、令和元年の台風19号では、各地で年間降水量の3割から4割にあたる雨がわずか1日、2日の間で降り、千曲川や阿武隈川など70以上の河川で次々に堤防が決壊しました。そして、おととしの令和2年7月豪雨。熊本や福岡など九州の各県や、岐阜、長野など広い範囲で記録的な豪雨となり、犠牲が相次ぎました。

(以前と比べ何が変わってきているのか)

中村:

実は昨年の8月中旬にも、真夏にもかかわらず梅雨のような広域豪雨が起きていまして、ほぼ毎年のように、ここ4年間は広域豪雨が起きていると。気象庁の最新の分析によりますと、過去45年で豪雨の件数というのが倍増していまして、特に梅雨の後半の7月は実に3倍半以上になっている。豪雨が頻発する背景は、基本的には組織化された積乱雲によって、線状降水帯も含めて豪雨が降るわけですけども、その降り方が、かなり雨量が増えてきていると。背景にあるのはやはり過去40年で大体1℃夏の気温が上がってきている。それから日本の周辺の海域もやはり世界の平均よりも倍以上早く温暖化してきているということで、熱帯からの湿った気流が不安定さを保ったまま日本列島に流れ込むと。そういう状況になっているということですね。

小池:

これまで取り組んできた、施設による水害対策をますます強化する必要もありますが、それに加えて、地域の皆さんと協力してやる水害対策というのが必要になってきます。例えば東日本台風19号のときは142か所で堤防が崩れると。それから西日本水害のときにも非常に多くのところで土砂災害も起きていますし、崩れた土砂が洪水に乗って流されて、下流にたまって氾濫するという新しい水害の形態も起こってきております。長時間続く豪雨によって、ダムで貯める計画をしていた量をはるかに超えてしまいますので、上流から流れてきた洪水をそのまま下流に流さざるを得ないような状況もあります。そういう中で新しい治水対策というのを進める必要があると思います。

阪本:

ここのところの豪雨災害を見ていますと、いつもとは違う雨の降り方をしていたという話をよく聞きます。すごい量の雨が降った、これまで何十年も災害がなかったけどこのような経験をしてしまった、という話もあります。いつもとは違うような雨が降ったときは、いち早く避難する避難の重要性をすごく強く感じています。

西澤:

私は、住民目線で話したいと思うんですが、昭和58年9月の洪水と、この令和元年の台風19号の両方経験しましたけれど、2つを比べて明らかに違うのは、水位の上昇速度があまりにも速いですね。過去の経験が通用しなくなっている。そういう災害が多発する時代にもう突入してしまっているということを実感しました。当時、午後3時半に大雨特別警報は長野県発で出ているんですけど、目の前の雨は大したはことないんです。でも、上流の佐久市佐久穂町で、7時間後に被害があることが分かっていれば、もっと違った対応がとれたと思いますけれど、やっぱりそういう時代にもう入っていることを認識すべきだと実感しました。

野澤:

これまで日本の法制度というのは、地震(耐震性)、火災(耐火性)というものには着目してきたんですけれども、水害に対する視点というのは少し欠けていたかなという面があると思っています。今後はもちろん堤防などのハード整備、そして避難などのソフト整備、ソフト面の取り組みも十分しながらも、新しい開発に関しては、命に危険が及ぶようなリスクの高いエリアでは抑制していこうという、実効性のある規制誘導策というものもこの時代には求められているのではないかと感じております。

●命を守るには ハザードマップをどう生かす

洪水や土砂災害のリスクを知るために重要となるのがハザードマップです。これまでは最大でも200年に一度の雨を想定してきました。しかし、大規模な水害が相次ぐ中、国は平成27年から、河川を管理する都道府県などに対し、1000年に一度の大雨を想定して浸水想定区域図を作るよう求めています。NHKではそのデータを47都道府県と国から収集し、独自の全国ハザードマップを作成。そして、国勢調査の人口データを使って分析しました。その結果、浸水リスクがある場所で暮らす人は日本の人口の4割近くにあたる、およそ4700万人にのぼることが分かりました。

※全国ハザードマップは上のQRコードから期間限定でご覧いただけます。なおこのハザードマップには、中小河川などが掲載されていない場所もあります。地元自治体のハザードマップなども合わせてご確認ください。

(NHK「全国ハザードマップ」をどう見る?)

野澤:

人口のかなりの割合の方が水害に対して、これからは他人事ではないということを自覚するということが大事だと思っています。もう1つ、ちょっとびっくりしたのがここ20年間でリスク想定がないところの人口は、実は25万人減っていて、リスク想定があるところの人口が177.5万人も増えているということです。先人の知恵でリスクが少ないところにたくさんの人が住んでいたんですけれども、そこが高齢化などで空き家も増え、そういったところは人口減っているんですけれども、むしろ危ないところに宅地化が広がってしまったというところが着目すべき点かなと感じています。ただ一方で、そういった人口が減っている災害リスクが少ないところに、これから人口、居住を誘導していくという余地もあるという期待もできるかなと捉えております。

(人口集中の背景に何が?) 

野澤:

かなり構造的な問題がありまして、日本の土地利用規制というのは基本的に郊外へ行けば行くほど緩くて、かつ地価も安いという構造になっているので、そういった農地が地価も安くて広い敷地が手に入るということで購入者側のニーズもありますし、自治体側は人口が減っていく中で少しでも人口流出を食い止めたいということで、「市街化調整区域」といって原則的に市街化を抑制しようといった区域に規制緩和をしていたり、あるいはさらに外側には「非線引き区域」という、さらに土地利用規制がちょっと緩いエリアがあったりしまして、そういったところの農地などが宅地化していくというようなこと。さらに、住宅を建設される業者の方も土地を安く仕入れて宅地開発できる方がいいというようなことで、そういったいろんな方のニーズが絡み合って、町がどんどん拡大していく。その拡大したところのリスクが農地、つまり低地であると。そういうところに1000年に一度レベルの災害、危険があるという構図になっていると見ております。

中村:

これまでハザードマップは、例えば100年に一度とか、そういうクラスの大雨を想定していたわけですけれども、今回この1000年に一度という、さらに極端な雨を想定しているわけで、例えば100年に一度のクラスの大雨ではそんなに危険がないような地域に対する警鐘を鳴らすという意味で、非常に意義深いものだと思います。今後、温暖化していきますと、将来ますます極端な雨、雨量が増えてくるという予測がありますので、そうした将来の想定にも有効な情報ではないかと思っております。

(ハザードマップをどう生かす?)

阪本:

ハザードマップは自分の住む周りの地域のリスクを知る上で、とても大事な手がかりなんですけれども、ハザードマップはすべての市民の方に配布されているにもかかわらず、きちんとその情報を認識されていない方がいるんですね。西日本豪雨の後に被害を受けた岡山県倉敷市真備町で、ハザードマップがどれぐらい認識されているかという調査を行ったのですが、ハザードマップを理解していると回答した人は24%しかいなかったんですね。きちんと読んで理解していただかないと、自分の家の周りがどんな危険性があると分からないと思います。ですので、しっかり読んで、自分の家を見つけて、自分の家がどれぐらい水に浸かるのかということを知っていただきたいです。

西澤:

私もNHKの「全国ハザードマップ」を使ってみたんですね。自分の住所を入れますと、10メートル以上20メートル未満とはっきり出ていますね。長沼地区の大部分がそうです。言いたいのはハザードマップは、床の間のお飾りではなく、使ってなんぼだと思うんですね。だから、できればこのマップを加工できるんであれば、例えば私の紙のマップでは、避難所まで歩いて何分、車で何分とか書き込めるんですよね。それができるといいなと思いました。

(避難行動にどうつなげる?)

小池:

マップがあるということと、それを理解して行動に移すというところには、やっぱりギャップがあります。あるというところから理解して、それに関心を持って、そういう避難行動に関わりたいという動機が出てきて、機会さえあればもう避難できるという、そういうところまで一つ一つ考えを進めないといけないんですが、それにはやはり危機感だとか、家族とか地域に責任を持っているとか、こうやったらうまくいくということを知っているとかいうことが深く関わっています。それから、ほとんどの人が未体験の現象をこれから経験するわけですが、科学技術でこれを数値計算で表現して、それをバーチャルリアリティーという道具を使って体験できるような仕組みももうできておりますので、そういう経験を積んで、そして学習をしていくということが、こういう災害から命を守る一番の近道かなと思います。

中村:

例えば線状降水帯であるとか、そういう情報・予測が出た時に、気象の情報を、このハザードマップも含めて、いかに情報をきちんと読み取れるかと。まずそういう人材の育成というのが求められると思います。例えば自治体等で、そういう情報をきちんと噛み砕いて分かりやすく伝える。それから、普段から訓練等に使うと。そういう人材の育成というのはこれから求められると思います。

野澤:

今後、避難に結びつけていくということでは、災害が迫りくるという時に、今いる場所とその位置情報、そして今後の気象予報、避難所の情報みたいなものが一括でパッと見られるような、そういった新しい仕組みみたいなのも非常に必要で、DX(デジタルトランスフォーメーション)と最近言われますけれども、いろんな技術が今後活用されていくということが大事かなと思っています。

●「線状降水帯」の予測は?

このところ、各地に記録的な豪雨をもたらしている原因の1つが「線状降水帯」です。発達した積乱雲が次々と連なる「線状降水帯」。気象庁は今月から、発生のおそれがある場合、半日から6時間前までに気象情報の中で伝える取り組みを進めています。

(予測が難しいとされてきたが?精度は?)

中村:

線状降水帯がいったん形成されますと、多くの雨が降るということが分かってきていますので、なるべく早めに予測を出して、明るいうちに避難をすると。それを促すような仕組み作りを気象庁は急ピッチで進めているわけですが、まずは地域ということで出して、ゆくゆくはですね、都道府県、それから市町村単位というふうにどんどん情報を狭めて、最初は30分前ですが、いずれは数時間前ということで、なるべく早く明るいうちに避難ができると、そういうような予測体制を目指していると。ただし、まだまだ不明な点もありますので、今月から来月の前半にかけて、気象庁それから大学、研究機関が揃って、洗浄降水帯は海の上で発生することが多いので、その水蒸気がどうなっているのかとか、そういうことを実態把握するための共同研究が、今まさに行われようとしていますので、そういう成果が取り込まれると、さらに予想精度が上がってくるんじゃないかと思います。

阪本:

線状降水帯がかかると気になるのが、雨は一体いつやむんだろうというところなんですね。その見込みとして使えるととてもありがたいですが、まずは避難というところが大事でして、夜間にかけて雨が降り続くことが想定される場合は、いち早く避難してほしいと思います。今の段階で降っていなくても、これから先夜間にかけて降る、それであればもう今のうちに避難するということをぜひやっていただきたいと思います。その上で将来的には、いつやむのかというところまで分かると、災害対応においてもとても有効だと思います。

(予報の“空振り”や“見逃し”の可能性をどう考える?)

中村:

まだピンポイントというところまではいっていないわけですけれども、とはいえ予測の精度は以前よりは確実に向上しているわけでして、命を守るという観点からすれば、空振りは致し方ないなと。つまり見逃しよりはですね。もしこれから線状降水帯が形成されそうだという時は、それに備えていち早く避難をする、行動を起こすということから進めるのがいいのかなと思います。

小池:

まだまだ課題が多いわけですが、特に研究、観測体制を継続的に進めて、少しでも精度を上げていっていただきたいと思います。一方でちょうど今年で、「大雨特別警報」という制度ができて10年となります。この10年間、いろんな試行錯誤をやりながら、特別警報の使い方を私たちは学んできたわけで、今あるこの新しく出た線状降水帯の予測につきましても、私たちがこれをどう使っていくかということが私たちに求められる非常に重要なことだと思います。

●「避難情報」の課題は

命を守る上で重要になるのが、いかに情報を受け取って避難につなげるかです。大雨などの災害時に自治体が発表する避難情報は、去年5月に大きく変わりました。レベル3は、これまでの「避難準備・高齢者等避難開始」から、「高齢者等避難」に名称が変更。レベル4は、これまで「避難勧告」と「避難指示」がありましたが、違いが分かりにくいとして、「避難指示」に一本化されました。さらにレベル5は、取るべき行動が分かりにくいとして、これまでの「災害発生情報」から「緊急安全確保」に変更されました。

阪本:

レベル化されたことによって、分かりやすくなっているところはあると思います。「私はレベル3で逃げるんだ」と決めている人ですとか、「家は立ち退き避難が必要なので、レベル4で逃げます」と決めている人もいらっしゃいます。その一方で、避難に関する情報ですとか、災害に関する情報は増えていて、どの情報を手がかりにして逃げればいいかなと悩んでいらっしゃる方もいます。ですので、あらかじめ自分がどの情報を受けたら逃げるのか、そういうことは決めておく必要があると思います。

西澤:

去年の5月20日に変わりましたけれど、翌日の21日、ある避難所では避難指示が出ているにもかかわらず、集まったのは若干1名でした。そんなもんですね。そんな急には変わりませんよね。わかりやすくなったと言われましたけど、警戒レベル3、「避難準備・高齢者等避難開始」ですけど、私は「避難準備」があったほうがいいと思いますね。物理的にも、心の準備も含めて。それは、特に農業をやっている方は、農業機具がいっぱいありますから、少なくとも警戒レベル3のときは、農機具は高台に避難して、あと自分は少なくとも4の時には避難開始できるように、としたほうがいいと思う。やっぱり自分なりの警戒レベルが必要だと思います。

(「まだわかりにくい」との指摘については)

阪本:

やはり「高齢者等避難」とあるので、高齢者だけが逃げればいいと勘違いされている方もいらっしゃったり、あるいは以前ですと「避難準備」という情報だったので、そうすると避難の準備だけしていればいいと思ったり、字を見て、そのまま考えていらっしゃる方もいらっしゃいました。文字とやはり自分自身の行動を一致できるようにしないといけないと思います。なので、高齢者等避難という情報が出て、避難に時間がかかる、早く行った方が安心だ、という方はこのタイミングで避難していただきたいと思います。

西澤:

手元に(避難情報について国が作成した)資料があるんですけど、しっかりここに注意点があるんですよね。「警戒レベル3は、高齢者等以外の人も必要に応じ、普段の行動を見合わせ始めたり、避難の準備をしたり、危険を感じたら自主的に避難するタイミングです」と、しっかりしていますよね。ただ表だけではここまでは分かりません。

(「避難情報」を出す側の課題は?)

阪本:

これまでは「避難勧告」をこの水準で出す、「避難指示」はこの水準で出すという基準をそれぞれ市町村が決めていたんですが、今回一本化されたことによって、どちらに基準をもっていくのかというところが市町村にとっては悩ましくなっていると思います。「避難指示」が必要になってくるのは、立ち退き避難が必要なタイミングなんですね。立ち退き避難が必要な人が必ず立ち退くというのが、どの基準なのかを市長村がもう一度考え直して、そして出せるようにしていかなければならないと思います。地域によっては従来よりも早いタイミングで避難指示が出てくることも考えられます。とはいえ避難情報は早め早め、被害が発生する前に出される情報ですので、早めの情報を受けて、早めに避難するということをやっていただければと思います。

小池:

行政、市町村長さんが避難情報を出す時に、これをどうサポートするかという問題は非常に大きな課題でして、平成27年の関東東北豪雨、それから28年の北海道・東北豪雨と続いて、避難の遅れによる被害が、命を落とされた方がいらっしゃいました。これに合わせて、どのように河川を管理する側からどのように市町村長さんに情報を出すか、その情報を市町村長さんたちがどの様に理解して判断されるかというところのいろいろな施策を提言いたします。その一つは、例えば市町村長のところに継続的に、そういう業務をされる危機管理監というようなものを置くとか、そういう情報を分かりやすく市民の方々にお伝えする役割の方をセットするとか、そういうような工夫をしていただくように、水防災意識社会の再構築というような枠組みで、そういうものを進めているということも現在は進めております。

(いつ、どのタイミングで避難を開始すればいいのか?)

阪本:

先ほどからお話のあるようにハザードマップをしっかりご覧いただいて、自分の家がどれぐらい水につかるか知っておく。それから自分がいつどのタイミングで、どの情報が来たら逃げるのかということを、心で決めておく。“避難スイッチ”という言葉がよく使われますが、スイッチをONにするタイミングを決めていただくことですね。

西澤:

先ほどの警戒レベルでいいますと、3以上は市町村長が発令できますよね。でも実際、令和元年10月12日、長野市は警戒レベル3を長沼地区には出さなかったんですね。でも地元は自主的に避難ということで、私も覚えがあります。それでもなかなか、どうしてもやっぱり2割ぐらいは(避難せず)残っちゃうんです。避難行動としては、やっぱり近所の身内の人たちの声かけが非常に有効でしたね。昔から言われた「隣近所、向こう三軒両隣」ではありませんけど、声かけできる範囲は声かけする必要があると思います。

小池:

人間はなかなか、とっさに合理的な判断ができない場合が多いです。なので、あらかじめ手順を決めておくことが大事で、こういう情報が来たら自分はこうする。それはご家庭の家族構成だとか、家が川の近くにあるとか、崖のそばにあるとかで、変わってきますので、各ご家庭でこういう「マイ・タイムライン」を作っておく。先ほどお話のあった「避難スイッチ」ですけども、周りの風景がちょっと変わったとか、いつも見えている河原の石が見えなくなったとか、用水路があふれて来たとか、そういう身近な異変、それから今まさにお話があった近所の方のお声がけ、こういうようなものが避難スイッチになります。そういうマイ・タイムラインを作っておくと、行動がしやすくなるわけですが、いざという時に応用動作もできるようになってくるんですね。ぜひマイ・タイムライン作りをお願いしたいと思います。

野澤:

ハザードマップは2次元の紙の上ですけれども、浸水の被害で避難をする場合には、やはり3次元で考えないといけない、高さを考えなければいけなくて、都市部は比較的高い建物が密集してあるので、徒歩で垂直避難をするというようなことはある程度可能なところが多いんですけれども、地方は低い建物がそんなに密にはないので、車で移動せざるを得ないということになると、道路が冠水してしまって動けなくなるということもありますんで、やはり都市構造や建物特性の違いに応じて、自分たちの町の構造とか建物の状況を見て、マイ・タイムラインを作っていくことが非常に大事で、3次元で考えることも大事になってきていると思います。

中村:

どれだけ避難に時間がかかるかとか、準備の時間がかかるとか。やはり、それぞれだと思うので、自分のタイムラインをしっかりとまず把握して、それであと過去の情報からしっかり学ぶと。それで予報が出てきた時にそれをどう生かすか、その訓練を繰り返しておくと。そういう情報を自治体が出す、行政もそういうところをしっかりとフォローしていくという、そういう体制づくりが必要なんじゃないかと思います。